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育児に介護も、愚痴も言わないでがんばる、は間違い

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介護と育児が同時進行で直面することを、ダブルケア、といいます。少子化、晩婚化が進み、日本でもダブルケアを行う人が増えてきています。ダブルケアという言葉になじみがなくても、他人事ではない、と感じる方は多いのではないでしょうか。

私もそんなひとりです。今私は、夫の仕事の関係でオランダに住んでいますが、私の両親も義理の両親もオランダまで遊びに来てくれるくらい元気です。でも、親たちもいつまで元気にいてくれるか、わかりません。

オランダのライフスタイルに触れて、一番意外に思ったのは、育児は家族の手で、介護は在宅で、と考えられているところです。共働きが多く合理主義な彼らは育児は保育園、介護は老人ホームといった施設を重視して充実させているだろうと思っていました。

一歩先行くオランダ流の育児と介護

保育園や老人ホームよりも、育児も介護も家庭で、ということになると、さぞかし負担が重くなってしまうことだろうと思いましたが、

仕事は週3日

高齢で一人暮らしの母の介護は、週1日

2歳の子どもの平日の世話は、週1日

というような生活をしている友人もいました。

日本で仕事をするとしたら、フルタイムかパートタイムかによって待遇に大きな差がありますが、オランダでは同一労働同一賃金が徹底されているので、週3日勤務でもフルタイムと待遇に差がありません。

オランダでは一人暮らししている高齢者が多く、在宅介護をサポートする体制が整っています。週に1度の家族の訪問は、一緒にスーパーで買い物をしたりテレビを観たり、家族一緒の時間を過ごすため、だそうです。

保育園に子どもを預けるのは週に2日だけ。自分が週1日子どもの面倒を見ますが、残りの2日は旦那さんが子どもと過ごす、そんなパターンもよくあります。旦那さんも子どもが小さいうちは週3日に勤務時間を減らす、なんていうことができます。(この背景には、勤務時間の変更などは社員の都合で可能な場合が多い反面、オランダの保育園は費用がとても高いという事情もあります。)

恵まれたライフスタイルでも、つらい時はある

こんなライフスタイルが可能ならば、ダブルケアも十分対応できるのではないか、と思いました。でも必ずしもそうではないようです。

「オランダでも、育児や介護の負担が重すぎてしまうことがあるわよ。」

「そんな時、どうするのですか?」

私はすかさずオランダの友人に聞いてしまいました。

「まずはまわりに話すのよ。介護をする家族のケアを担当する専門家がいるし、介護や育児で同じような問題を抱える家族の集まりもあるわね。近所の人が助けることもあるわよ。近所の高齢の女性が病気になった時、隣人の私が毎日食事を持って行ったことがあるし、そういう近所の助け合いもあるわ。」

本音を話せない、それが一番問題では?

育児や介護がつらいと声を上げる。それって難しい、と私は思いました。自分の子どもの育児だから、自分や夫の親の介護だから、がんばって当たり前。それをつらい、なんて言いにくいのです。

日本とオランダ、社会制度の違いもたくさんありましたが、根本には、育児や介護をする人が声を上げられる環境にあるかという大きな違いがあるように感じました。

私たちはもっと声を上げていいのではないでしょうか。

ただの愚痴であっても、そういう本音を言えることが、育児や介護にやさしい社会への一歩となると思います。

文・野口由美子

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