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子どもと大人が一緒に成長する、少人数での探究プロジェクト「とうきょう すくわくプログラム」とは?

乳幼児期の子どもたちの成長と発達をサポートする新しい試みが始まりました。東京都では、積極的な子育て政策を進めていますが、そのなかでも特に注目すべきなのが「とうきょう すくわくプログラム」です。

「とうきょう すくわくプログラム」は、保育園や幼稚園を越えて、乳幼児期の子どもたちの成長と発達をサポートする新しい取り組み。「光」「音」「植物」などのテーマに沿った探究活動を通じ、意欲や自己肯定感、社会性といった「非認知能力」を高めるなど、子どもの生涯発達における土台形成を支援することを目的としています。CEDEP(セデップ/東京大学大学院教育学研究科附属 発達保育実践政策学センター)の協力のもと、このプログラムがスタートしました。ママスタセレクト編集部は実際にこの取り組みを実施している江東区の塩崎保育園を訪れ、5歳児クラスの子どもたちの表現活動を取材してきました。

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物語の世界を子どもたち自身で作っていく

では実際、どんな活動が行われたのでしょうか?

保育室に集まった子どもたちは、まず小さなグループに分かれ、自分たちで物語を作り上げる表現活動に取り組むことになりました。協力アーティスト(CEDEPより派遣)で画家として活動しているひぐちけえこさんが先生となって、子どもたちに活動内容を説明。普段の保育活動のなかで取り組んでいる絵本「エルマーとりゅう」をテーマに、物語の世界を子どもたち自身で作っていくことになりました。子どもたちのなかには、模造紙に絵の具を塗ったり、絵の具で自分の手や足に色を塗る子も。ひぐちさんも、担任の保育士さんも一緒に絵を描いたりと、とても楽しそう。グループ内でのコミュニケーションも活発で、子どもたちは自分たちでアイデアを出し合い、心から楽しんでいる様子が伝わってきました。

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振り返りで見えてきた子どもたちの成長

保育活動の後、このプロジェクトを視察したママスタセレクト編集部は、ひぐち先生や保育士さんたちと一緒に振り返りを行いました。話し合いのなかで、「子どもたちは新しい活動や素材に興味津々で、感触を楽しんでいる」「お互いに教え合いながら、色の混ざり合いや絵の具の使い方を楽しんでいた」「街づくりの活動では、子どもたちがアイデアを次々に生み出していた」といった感想が寄せられました。子どもたちにとってクリエイティブな時間が、大人たちにも新たな気づきや発見をもたらしている様子です。

主人公は子ども!心の育ちを支えるプロジェクト

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ひぐち先生は、このプロジェクトの目標は「子どもたちが主人公になり、自分の可能性を見つけて、自らを表現する力を身につけること」だと語ります。

『従来の教育では先に設定されたゴールを達成させ、評価が主体であり、子どもが受身でいることが多かったんです。それに対してこのプロジェクトでは、子どもたちが自分のやりたいことを見つけ、自らの表現を通じて深いところで成長することが重視されています。子どもたちは自己肯定感や自分の力を実感し、次の挑戦への意欲が湧いてくるのです』

与えられたゴールを達成するのではなく、子どもたちの想像力や表現を引き出し、実現していく。「とうきょう すくわくプログラム」は、子どもたちにとって、とても意味のあるプロジェクトだということが改めて理解できました。

個々の輝きを引き出す、小さなグループの力

今回のプロジェクトでは、1クラス20人程度の子どもたちを5、6人の少人数のグループに分けて活動を行いました。その理由について、ひぐち先生は「少人数の関わりのなかで、普段は引っ込み思案と思われていた子どもが意外な一面を見せたり、困難さがある子どもの長所がわかったりすることがある。一人ひとりの良さを引き出すことにつながる」と説明してくれました。小さなグループでの活動は、子どもたちがお互いに自分の得意なことを発揮し合い、アイデアや意見を自由に出し合うよい機会にもなっているようですね。

子どもと一緒に保育士も成長!

一方で、保育士さんたちも「子どもたちの成長に共感し、新たなアイデアや方法を見つけ出すことができた」と語ってくれました。このプロジェクトは子どもたちが自分で学ぶ楽しさを引き出すだけでなく、大人も子どもたちを理解し、一緒に成長していく場所なんですね!

子どもたちの興味や関心に応じた「探究」を積み重ねることによって、意欲や自己肯定感、社会性などの「非認知能力」を高めるなど、生涯発達における土台形成を支援することを目的とした「とうきょう すくわくプログラム」。このプログラムを通じ、子どもたちや大人に新たな発見や感動をもたらし、ワクワクする楽しさが広がっています。これからも素敵なアプローチがどんどん広がり、子どもたちと一緒に成長できる場がますます増えていくといいですね。

取材、文・間野由利子 編集・荻野実紀子

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