【箕面市 上島一彦市長第4回】公立・私立、施設の垣根を越えて連携する子育て支援
前回からの続き。大阪府箕面市の上島一彦市長へのインタビュー第4回は、特別な支援が必要な子どもに対する取り組みと、公立・私立の垣根を越えた子育て支援についてです。かつて地域ぐるみの子育てが行われていた箕面市で、現代ならではの「地域ぐるみ」の子育て・教育の形が見えました。
特別な支援が必要な子どもに対しての取り組み
――特別な支援が必要な子どもに対しての取り組みは、ありますか?
上島一彦市長(以下、上島市長):通級指導教室や特別支援学級を、箕面市内すべての小中学校に配置しています。令和8年度に国は通級指導教室を整備するとしていますが、通級指導教室がナショナルスタンダードであることから、箕面市では本年度全校に設置し、学びの場の選択肢を増やしました。
通常学級の中で、特別な支援が必要な子どもも一緒に学ぶという方法も取り入れています。しかし一番適切な方法が何かということは、引き続き考えていかないといけないと思っています。市内の支援学級か府立の支援学校か、あるいは通級指導教室か通常学級か、まだまだ検討の余地がある段階です。
『通常学級に在籍し、通常学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする児童生徒に対して、障害に応じた特別の指導を別室で行う指導形態』
箕面市ならではのおでかけ情報
――箕面市といえば、緑豊かな土地で暮らせる魅力があります。
上島市長:緑自体がやっぱり子育て環境にはいいと思いますよ。親としては緑のあるところに住み、子どもには綺麗な空気を吸わせてあげたいというような気持ちにもなりますよね。箕面市は「箕面大滝」が有名で、そこまでに至る道は「滝道」といい、気軽にウォーキングやハイキングができます。現在トレッキングなどのルートマップを作成しているところです。山の保全とともに、みなさんにも山での運動を通して元気になってもらいたいと思っています。
実は、箕面市は平均寿命も高いんですよ。男性が近畿で3位(83.2歳)、女性は府内3位(88.3歳)です。子育て中のパパママたちからすると遠い未来かもしれませんが、平均寿命と健康寿命をいかに近くするかというのは、箕面市が抱えるミッションでもありますね。
公立・私立や施設種別の垣根を越えた子育て支援を
――引っ越してきた子育て世帯が、お友達ができなくて孤立してしまうというお話を耳にすることがあります。そういった方々が縁を繋げられる場所はありますか?
上島市長:子育てひろばの他には、たとえば図書館でしょうか。箕面市には小さい子どもたちが過ごせる図書館が7つあります。14万人規模の市で図書館が7つあるのは珍しいと思います。図書館の中には、子どもたちが遊べるスペースがあり、読み聞かせをしたり静かに本を見たりするスペースがあったりと、思い思いに過ごすことができます。
また本が好きなご家族でしたら、船場(せんば)図書館にも行ってみてほしいですね。船場図書館には71万冊の蔵書があるのですが、そのうち60万冊が大阪大学の蔵書です。また25言語の原書もおいてあります。大学の蔵書や他言語の原書といったものを見られる場所は、なかなか他の街にはないと思います。これも大学と市の、垣根を越えた取り組みです。
引っ越してきたばかりでお友達がいない、あるいはお母さんになったばかりで不安なことが多くて辛い、そういった孤立の問題を解消するには、やはり相談できる人が身近にいることが必要であり、重要だと考えます。箕面市にはそういう施設が至るところにある、箕面市でだったら安心して子育てができると思っていただけるよう、今後も市民の声を聞きながら、取り組んでいきます。
――これまでのお話を聞いていると、公立・私立や施設種別の垣根を越えたといったことが多く登場していました。
上島市長:箕面市では公立・私立や保育所・幼稚園・こども園など施設種別を越えた取り組みに早い段階から取り組んできました。令和4年度には「保育・幼児教育センター」をオープンしています。また幼児教育と小学校教育をつなぐ「架け橋期カリキュラム」の策定を今、すすめています。施設だけではなく、先生や保護者、地域など、子どもに関わる大人が立場の違いを越えて一体となって取り組んで、子どもの成長を切れ目なく支えることを大切にしていきたいと考えています。
――お話の中では、先生たちへのリスペクトがあるようにもお見受けしました。
上島市長:私も大学などで教育に関するお話を聞いたりしていますが、とても興奮しますね。現場の先生たちはそういうところで悩まれているんだと、目から鱗が落ちるような話もたくさん聞いてきました。先生方や保育士さんたちは研修やオンライン講座などを活用して、知見を深めています。箕面市は民間の企業とも連携していますが、これからもいろいろなところから知恵を頂く仕組みは作っていかないといけないと思っています。
――ここまでありがとうございました。最後にこの記事を読んでくださってみなさんに向けて、メッセージをお願いいたします。
上島市長:箕面市は子育て・教育日本一のまちをめざしています。子育てに頑張るママさん・パパさんを応援できる街として、これからも励んでいきたいと思っています。またシーズンごとに違った魅力を楽しめる観光の街でもありますので、ぜひ箕面市へいらしてください。
(編集後記)
箕面市の上島市長のインタビューを4回にわたりお送りしました。子育て支援に関する多彩な施策がなされていることがよくわかるインタビューでした。関西でお住まいを探す際には、緑豊かで大阪の都心部にも近い箕面市も候補にいれてみてはいかがでしょうか。
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取材、文・編集部 イラスト・ももいろななえ