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千葉県流山市 井崎義治市長第1回「子育ても仕事も!自己実現のためにがんばるママやパパを応援」

流山市市長①

子どもが生まれて子育てに専念したいママがいる一方、子育てを楽しみながらも仕事でキャリアアップしたいというママもいます。ただ夫婦共働きとなった場合、保育園の預け先が確保できるか、運よく園に空きがあっても遠すぎて入れられないといった問題も起こりがちです。この問題を解決する取り組みが、千葉県流山市にありました。流山市・井崎義治市長にお話を伺いました。
井崎市長プロフィール

ママやパパとしてだけではなく自己実現も

――流山市のキャッチフレーズで「母になるなら、流山市。」「父になるなら、流山市。」があります。これはどういった意味ですか?

井崎義治市長(以下、井崎市長):流山市では、共働きの子育て世代を応援したいという思いから、「母になるなら、流山市。」「父になるなら、流山市。」というキャッチフレーズを掲げました。また、親としてはもちろんのこと、「流山市は、父として母としてだけではなく、一人の人間として自己実現のために頑張る人を応援しますよ」というようなメッセージを込めています。実際、流山市には意識が高く、市民活動や地域活動にも関心を持って参加している方が多いです。

――子育てとキャリア支援の両方を支援されているんですね。

井崎市長:頑張って仕事を続けたいと思っている女性の中には、お子さんが2人、3人と増えてくると、いくらパートナーと協力してやっても仕事を辞めざるをえなくなることがあります。流山市では、一度キャリアを中断した人でも、再度挑戦できるように流山市で女性向け創業スクールを実施しています。みなさん非常に熱心で、これまで7年間で170名以上の卒業生がいて、そのうち40名以上が起業しています。

流山市では、子育てのサポートはもちろんのこと、自己実現に向けてのサポート体制ができています。流山市民一人ひとりが夢を叶える街、自己実現に近づける街という意味を込めて、このキャッチフレーズを掲げています。

13年間で認可保育園6倍、定員4.8倍に

――子育て世代に選ばれる街づくりをするために、どんな政策を行ったのでしょうか?

井崎市長:まずは保育園の整備から始めました。子育て世代、とくに働くママやパパたちが何を必要としているだろうかと考えたとき、子どもを預けて働くために認可保育園が必要だと考えました。そのため認可保育園の整備に全力を注いできました。

認可保育園の数を13年間で6倍、定員数を4.8倍に増やしました。待機児童数は、令和3年度にいったんゼロになりましたが、令和4年度にまた少し増えました。

――待機児童数がなかなかゼロにならないのはなぜでしょう?

井崎市長:保育園に子どもを預けたい人のニーズが正確につかみづらいという問題があるからです。20年前、流山市はどちらかというと専業主婦の方が多い街でした。しかし急激に共働きの子育て世代の数が増えたのです。共働きの率は出せるのですが、どれくらい増加するかという予測はなかなか見当がつきません。
また合計特殊出生率も令和3年時点で全国が1.30に対し流山市は1.56となっていて、女性一人あたりが産むお子さんの数が増えています。

※編集部注
合計特殊出生率:一人の女性がその年齢別出生率で一生の間に生むとしたときの子どもの数
参考:合計特殊出生率|千葉県

共働き世代が増えたことと、合計特殊出生率が20年間で約4割増えてきたこと。この2つの要因によって、待機児童数がなかなかゼロにならなかったのです。現在は保育園の増設はもちろん、子どもが増えると小学校の数も必要になってくるので、既存の小学校を計画的に増築するなどして対応しています。

「保育園が遠くて送迎が大変!」問題を解消

――保育園への送迎が楽になる「駅前送迎保育ステーション」があるそうですね。

井崎市長:「駅前送迎保育ステーション」とは、駅前に園バスが迎えに来て、保護者はそこで子どもを園バスに預けたり、迎えに来てもらったりするシステムです。具体的には、流山市にある流山おおたかの森駅、または南流山駅まで園バスが迎えに来てくれて、帰りも駅まで送ってきてくれます。

毎朝の送迎が楽になれば、保育園の選択肢も広がります。保護者からも「とても便利」「駅前送迎保育ステーションがあるから、流山市に引っ越してきた」といった声も寄せられています。

――誰でも利用できるのでしょうか?

井崎市長:駅前送迎保育ステーションは、自宅から保育園まで500メートル以上離れている場合に利用できます。2023年3月までは700メートル以上離れていることが条件でしたが、駅前に保育園をたくさん作っていることもあって利用者が減ってきたため、利用条件を緩和しました。

(※編集部注:利用条件はほかにもあります)

社会的インフラを整えて共働き世代を応援

――流山市では、社会的インフラを整えることによって、共働きで子育てをしている世帯を応援しているのですね。

井崎市長:送迎で、毎朝毎晩1時間以上かかっていたら、疲れてしまい仕事に集中できませんからね。毎朝の登園、降園の送迎の負担軽減をするのも、子育て世代を応援するための仕組みです。流山市では、これまでも共働きで子育てをするママやパパたちが、今どんなことが必要なのか、意見を聞き、政策に反映させてきました。これから先もしっかりと市民の方のニーズを受け取り、子育てをしながら働きやすい街づくりを目指していきます。

第2回へ続く。

取材、文・間野由利子 編集・みやび イラスト・おんたま

※本記事は2023年3月に取材を行いました。記事の内容は取材時時点のものです。

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