赤ちゃんの写真、アップばかりじゃない? カメラマンのアドバイスに納得
かわいい寝顔、笑顔、泣き顔……。座った! 立った! 歩いた!
赤ちゃんの写真、たくさん撮っていますよね。
あ! 今シャッターチャンス! と携帯カメラを構えて……ちょっと待った。「うわー。部屋汚いー、ちょっとソレどけて、あっ、その食器の山、写りこんじゃうからこっちの角度から撮ろう」
っていうこと、ありませんか?
カメラマンからのアドバイス
写真としての完成度にこだわるあまり、顔のアップにする、寝姿も部屋のいちばんマシな角度から撮る、間に合わないときにはとりあえず撮って、後からトリミングする。そしてアルバムにはきれいな写真が並ぶ。第一子を出産した時、私はそんな感じでした。
ところがある日、カメラマンの方と話していて、アドバイスされたんです。
「顔のアップばっかり撮ってない?」
「写真撮る時はね、広角で、部屋全体を撮るといいよ。写真は情報が多い方が想い出になるよ」
ええー。そうかなあ? 育児に必死でほとんど片付いてない、あんな汚い部屋の写真残したくない。当時はそう思ったものです。
想い出になったものたち
ところがだまされたと思って広角で撮るようになり、数ヶ月、数年経った時、「こういうことだったのか!」と納得しました。
部屋のすみに写っていたオムツ用ゴミ箱。脱ぎ散らかしてある、子どもが小さかった時に愛用していたカーディガン。タオル。旦那がうたたねしているソファー。ペットのしっぽ。赤ちゃん用のマグ。
それは、今はもう家にはない、懐かしいものたちでした。
自分の視野は狭角になっていたあの頃、見ていなかった、見る余裕なんてなかった風景。それがすべて写真の中に残っていてくれたのです。
カメラマンの方の言ってた通りだ……。
それ以来写真を撮るときには人間だけでなく、靴であふれた玄関、ぐちゃぐちゃの寝室、ベビーカーで歩くときにいつも見ていた道、空、よく通うパン屋さん。すべてが被写体となりました。
今アルバムをめくると、その写真たちは忙しすぎて欠如していた記憶の周辺を、しっかりと、優しくカバーしてくれています。
すべてを撮っておこう
赤ちゃんのお世話で顔を洗うヒマもメイクするヒマもなく、髪を振り乱しているママには特に、今のそのバタバタな日常をたくさん写真の中に残して欲しい、と思います。
家族でおしゃれして出かけ、ピースしてる写真も大事だけど、髪ボサボサ、授乳服にメガネの自分も一枚、撮ってもらってはいかがでしょうか。
ときが経てば、愛おしい写真になるかもしれませんよ!
文・yuki イラスト・ヨシユキ