ママの再就職に向けた面接のポイントと働きやすい職場の見つけ方【Re.muse勝友美さん・第3回】
前回からの続き。
子どもの手が離れ、再就職を希望するママたちは、面接に臨む際にどんな点に注意すべきでしょうか? また働きやすい職場を見つけるためにはどうすればよいのでしょうか? オーダーメイドスーツ店「Re.muse」(レ・ミューズ)の代表取締役である勝友美さんに、採用面接のポイントやママが働きやすい職場の見つけ方について教えていただきました。
「あなたにとって仕事とは」の質問にどう答える?
――「Re.muse」には、たくさんの方から面接の希望があると思います。勝さんが「採用したい!」と思うのはどんな人ですか?
勝友美さん(以下、勝さん):まず、大事なのは仕事に対する価値観が一致している人です。たとえば「あなたにとって仕事とは?」と尋ねた場合、みんな答えが違います。「自分の時間を切り売りすること」「お金を稼ぐ手段」という人もいれば、「人生を豊かにするもの」と答える人もいます。
私は、「仕事は人生を豊かにするもの」と考えているので、その価値観が合致している人と一緒に働きたいですね。
――面接では、ほかにどんな質問をしますか?
勝さん:「Re.muse」は何を売っている会社か、という質問もします。ここで聞きたいことは、「Re.muse」にしかない価値、そしてビジョンを知っているか。他社と比べたときの優位性をどこまで理解しているのかが知りたいのです。私の質問に対しての回答が「オーダーメイドスーツを売っている会社です」であれば、「うちじゃなくても、ほかのオーダーメイドスーツのお店でもいいのでは?」と思ってしまいます。
私たちは「100年先まで愛されるブランド」ということを大切にしていますが、その思いにどれだけ真剣に向き合えるかもチェックします。お互いの価値観が合い、初めて最高のパフォーマンスが出せると思うので、価値観が一致しているかどうかは、非常に重要なポイントですね。
面接官が見るチェックポイントとは?
――学生時代の部活動などについても聞かれると伺いました。
勝さん:部活動について聞くのは、初めて会う方に対して、その人の過去の行動や経験を通じて、「これからも同じような行動をするだろうな」という確信を持てるかどうかを見ています。たとえば、「この人は粘り強そうだな」と感じたときに「中学、高校とバスケットボールを一筋でやっていました」という話を聞いたら、「この人は、途中で投げ出さずに頑張ってきた人なんだ」と確証が持てますよね。
――態度などはどんなところを見ますか?
勝さん:こちらが質問したことに対して反射的に答えるか、質問の意味をよく考えて回答するか。面接で出されたコーヒーをそのままにして帰るか、「ごちそう様でした」といって片付けて帰るか。カフェで面談した場合、当然のように会社側にコーヒーをご馳走してもらうのか、「お金を出します」と言えるか。そういったところも見ています。
ほかにも、スーツの生地を見たときに糸くずが出た場合、片付けるかそのままにするか。細かいところですが、ちょっとした行動から、その人の人となりが見えるところもあるので、そこも判断の1つとしています。
ママたちは、細かいところに気が付く方がたくさんいますよね。仕事の能力があって、気が利く人は、採用する会社にとってもメリットが大きいと思います。
ママが働きやすい職場の見つけ方
――子育てが一段落したのを機に再び働きたいママたちが企業に応募する際は、企業のどんなところを見ればいいですか?
勝さん:急な休みに対応できるかどうかがポイントのひとつかもしれません。子どもの年齢にもよりますが、子どもが小さいと熱を出して休まなければいけないときもありますよね。企業内に子どもをもつママが自分1人だけという状況だと、休みの申し出もしにくいと思います。逆に、働くママが多い会社だと、急な休みにも対応できる仕組みがあるかもしれません。
――働くとなったら、職種によってはスーツが必要になることもあります。「Re.muse」でオーダーメイドスーツを作ってもらうこともできますか?
勝さん:もちろんです。再就職のためにスーツを作りに来るママもいますよ。一般的なオーダーメイドスーツの場合、デザイン、カラー、生地選び、採寸などで1時間ほどです。「Re.muse」では、ただ単にスーツを作るだけではなく、そのスーツを着ることで、どんな自分になりたいかなどを丁寧にヒアリングしながら行うため、初回の所要時間は2時間~2時間半となります。
――「Re.muse」でスーツを作ることで、勝さんをはじめ、スタッフの人に応援してもらっている気持ちがして、仕事で大変なことがあっても乗り切れそうです。
勝さん:応援しています。採寸の際に、お子さんを連れてくるママも多いですよ。お子さんの感想にも耳を傾けながら、お気に入りの一着を作るのもいいかもしれませんね。
取材、文・長瀬由利子 編集・kunel イラスト・よし田