<最高のママ友は元カノ>【第5話】妻がいないところで行われた元彼・元カノの秘密の会話
前回からの続き。マサエが自宅にママ友であるメグミを招いて、初めての家族ぐるみでのBBQとなりました。でも初めましてであるユウゴとメグミの様子がおかしいようで……。
マサエの車が遠くに走り去りました。子どもたちは奥の和室で寝ていて、家の中はシンとしています。ユウゴはメグミと、初めて目をあわせました。
「メグミ、久しぶり……」
「ほんとう」
「ビックリした」
「……私も」
「メグミ、元気だったか?」
「まぁ、いろいろ、あったけれどね。元気でやっているよ」
「シングルマザーって、どうして。なにがあったの?」
ユウゴの質問にメグミはそっと顔をそむけ、皿に残った野菜をつつきます。
「親の言いなりになっていたら、こんな人生になっちゃってさ。でももう腹くくって、これ以上親の言いなりにならないようにと思って地元を出てきたの」
「大丈夫か?」
メグミは優しい言葉を掛けられて、少しムッとした顔。
「私のなにが?」
「すごく無理しているように見えるから」
「無理はしているよ。ひとりで育てるって大変だもの。でも今は子どもといられる時間が何よりの宝物だから頑張るよ!」
「そうか。それでもあんまり無理するなよ」
冷たい態度をされても気をつかうユウゴに、メグミの心は溶けていったようです。
「……ありがとう。ユウゴこそ、いい子見つけたね。マサエさん、すごく素敵な人じゃない。幸せそうでよかった」
「ありがとう」
「私、もうマサエさんとは会わない方がいいかな……」
「どうして?」
「ママ友が旦那の元カノなんて知ったら、普通はイヤでしょう。しかもさっき、“はじめまして”って言っちゃったし」
「そんなものなのか……。“はじめまして”とメグが言うから、ついつられてしまった」
「そんなものかって、そういうものなの! 相変わらず女心がわかっていないな。あのときは焦って、他人のフリをしちゃった。ごめん」
「メグミが謝る必要はないよ」
そのとき、ユウゴの脳裏には「メグミさんと知り合ってから毎日が楽しいの!」と笑うマサエの笑顔が浮かびました。
「メグ、できれば」
「どうしたの?」
「これからもマサエと仲良くしてあげてくれないかな? アイツ、こっちに来て、あまり友だちもいなくて、メグのことすごく慕っているし……」
「私はもちろん嬉しいけれど、私たちのことは」
「マサエには、言わないでおこう」
「わかった」
2人の間に共犯めいた雰囲気が漂った瞬間でした。同じ穴のムジナ。遠くから車が近づいてきて、マサエが帰ってきました。
【編集部のコメント】
なんとマサエの夫であるユウゴはメグミの元カレでした。マサエには絶対に知られてはいけないことと、2人はその関係を隠し通すと決めたようです。夫婦の間での隠し事はトラブルに発展してもおかしくないですが、こういうときは隠し通すほうがうまくいくものなのでしょうか。
文・編集部 編集・ここのえ イラスト・めい
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