いつでも、どこでも、ママに寄り添う情報を

【堀江貴文さん×ママ・第2回】「子どもにやらせていいゲーム、悪いゲームを考えること自体ナンセンス」

前回からの続き。今の子どもたちは、生まれたときから身の回りにパソコンやタブレット、スマホなどがあったデジタルネイティブ世代。学校教育でもデジタル化が進み、子どものプログラミングなどのスキルは伸ばしたいと思うこともあるかもしれません。しかし、ことゲームに関しては「子どもにやらせないほうがいいのではないか」あるいは「どんなゲームならやらせていいのか」と考えてしまうことがあります。実業家で『ゼロ』の著者でもある堀江貴文さんは、どう考えているのでしょうか?
prof_h

親はゲームの良し悪しを判断できるのか

――子どものゲームを規制する動きは、昔からあります。しかし、最近はゲームを通じてプログラミングのスキルが身につくなどの製品も出てきています。堀江さんが思ういいゲーム、逆に子どもにやらせないほうがいいと思うゲームはありますか?

堀江貴文さん(以下、堀江さん):僕は、ゲームに対して親が「これはいい、あれはよくない」と区別すること自体、ナンセンスだと思ってます。親としては「子どもの教育にいいと言われるゲームならやらせたいけど、それ以外は子どもにとって害だからやめさせよう」と思っているんだろうけど、そもそも親がゲームの良し悪しを判断させようということ自体が間違っていると思うんです。
子どもにやらせていいゲーム、悪いゲームを考えること自体ナンセンス
つまり「子どもには判断能力がない」と勝手に決めつけているわけじゃないですか。僕からすると「あなたは親かもしれないけど、そもそもそんなにゲームに詳しいんですか?」と思うんです。

夢中になりすぎて母親にパソコンを捨てられた

――堀江さんが子どもの頃は、どうでしたか?

堀江さん:僕は中学生のときにパソコンにハマり、勉強そっちのけでプログラミングに没頭していたんです。そのため入学当時、トップ10だった成績がみるみるさがり、学年202人中199番になったほど。

それが原因で母親から、大事にしていたパソコンを夜中に近くのゴミ捨て場に捨てられていたんです。「頑張って一人息子を私立中学に通わせているのに、成績が大きく下がるほどパソコンにのめり込むなんて!」と思ったのでしょうね。

母親は、パソコンよりも勉強をすることのほうが、僕の人生において大事だと判断したわけなんです。当時の母親からしたら、パソコンなんて「絶対悪」だったんでしょうね。でも僕からしたら「あなたはパソコンのことをどれだけ知ってますか?」という感じでした。

でも、あの時期パソコンへの没頭体験があったからこそ、それから迎えたIT起業ブームに乗れたわけで。結果として、母親のほうが明らかに間違っていたと思うんですけど、親というのは、明らかに間違った判断をするときもある、ということなんです。

実は、わりと普遍的に親子間で戦いが起きているんですよね。親との戦いの中でパソコンを勝ち得た人の一部が現在成功している。もちろんすごく理解がある親もいて、勝手にパソコンなどを買い与えてくれて、しかもそのあと何も言われなかった、という人もなかにはいます。

詳しくないものに対して正確な判断はできない

――堀江さんのお母さんのように「学校の勉強が一番大事」と考える親は多いと思います。

堀江さん:僕は、新しいテクノロジーなど親があまり詳しくない分野に関して「子どもでは判断できない」というふうに、上から目線で決めつけちゃうのは不思議で仕方がないです。

この間、仕事でゲーム事業のことをやっているためあるオンラインゲームを試していたんです。そしたら友だちの子どもが僕のところにやってきて「そのゲーム一緒にやろうよ」と話しかけてきたんです。「いや、そんなに好きじゃないし試しているだけだし」と言っても「それ得意だから」という感じで勝手に教えてくるんですよ。

ゲームに関して、まったく親がやったことなかったとしたら、子どもの方が詳しいですよね。にもかかわらず、親が良いゲームかどうかを判断して子どもに「これはいい」「これはよくない」とは判断できないですよね。

親ができることは子どもの邪魔をしないこと

―ゲームに限らず、親としては、つい口出しをしたくなります。

堀江さん:「親が子どもの能力を引き出す」とか「頭の柔軟性を高めてあげたい」と考える必要はないと思うんですよね。そんなことをしなくても、子どもはそもそも柔軟なんですよね。元々柔軟なんだけど、成長していく過程で親や先生が子どもに「あれしなさい」「これしなさい」とか「これはしてはいけない」などと言えば言うほど、子どもの柔軟性や自由度を減らしていくんですよ。

だから、親は子どもの成長の邪魔をしないというのが一番いいんです。親はついつい子どもに言いたくなることもあると思いますよ。でも、そこは親が我慢する。もちろん明確な犯罪行為や命に係わることはだめだし、それは止めなければいけないと思いますよ。でも、それ以外であれば、子どものことを許容すればいいんじゃないでしょうか。

編集後記

ママたちの間で、子どものネットやゲームとの付き合い方に話が及ぶことがありますが、どちらかというとデメリットに焦点が当たりがち。さらにママ自身がネットに触れる機会が少ない場合、不安が膨らみやすい傾向があるようにも感じます。子どもたちを命の危険から守ることは大人の責任だと思いますが、同時に「危険」だと決めつけすぎることの弊害もありそうですね。親の口出しが子どもの成長の妨げになることもある、という堀江さんの言葉にドキッ。子どもに口出しするのは簡単ですが、ネットにしてもゲームにしても、子どもが興味を持った好奇心を潰してしまっている可能性もあるかもしれません。

【堀江貴文さん×ママ・第3回】へ続く。
取材・北川麻耶 文・長瀬由利子 編集・Natsu イラスト・よし田

長瀬由利子の記事一覧ページ

関連記事

【堀江貴文さん×ママ・第1回】「親になったら立派な教育者になれる」と思うのは間違い
子どもが生まれた途端「親としてしっかりしなくては」という気持ちになったママは多いかもしれません。また子どもが成長するにつれて「しっかりした教育をしなくては」と思う機会も増えたのではないでしょうか。しか...
【堀江貴文さん×ママ・第3回】「ITスキルを身につけたいと考える人に付加価値を感じない」
【第1回】から読む。 前回からの続き。就職や転職を考える際、「ITスキルを身につけたら、もっといい仕事に就けるかも」と考えることがあるのではないでしょうか。専業主婦歴が長かったりすると「自分にはIT...
【堀江貴文さん×ママ・第4回】「職歴ナシ45歳の専業主婦でも稼げる人はいっぱいいる」これからのママの働き方
【第1回】から読む。 前回からの続き。子どもが幼稚園入園や小学校入学のタイミングで、働き始めるママたちもいます。しかし、なかには「専業主婦期間が長く、たいしたスキルもないから、自分にどんな仕事できる...