祖父の死の前後、家族に起こった不思議なこと。そのメッセージとは………
もしも身内の死の前後に不思議な出来事が起きたら、あなたはどう思いますか? 怖いと思う人もいれば、起きた出来事の真意を知りたいという人もいるかもしれません。故人がこの場にいるのならばこう思っているだろうと考えることもあるでしょう。
私も祖父の死によって不思議な体験をしました。亡くなった祖父のことは視えないですし、声を聞くこともできませんが、祖父はあの日、確かに私たちのそばにいたのだと思います。祖父が私たちに伝えたかったメッセージとはいったい何だったのでしょう……。
祖父の突然の訃報
2021年3月某日早朝。普段は朝早くから鳴ることのない携帯が鳴り、私は目を覚ましました。
『じぃじが亡くなったの……』
電話の相手は母。電話に出る前からなんとなく嫌な予感はしていました。淡々と母と話をしましたが、電話を切ったあと「なぜあのとき会いに行かなかったのだろう。子どもを預けてでも会いに行けばよかった……」と後悔し、涙が出ました。
実家を出て隣県に引っ越していた私が、母方の祖父と最後に会えたのは、息子を妊娠中のときでした。介護施設で過ごしていた祖父の容態が急変したのは、私の産後2か月ほど経過したころ。新型コロナウイルスの感染拡大地域ということもあり、そのときは会いに行くことをやめました。これが後に深く悔やむこととなったのです……。
その後祖父の容態は回復したのですが、新型コロナウイルスの感染拡大が進んだため、介護施設は「他県在住の家族は面会できない」という方針に。結局祖父が亡くなるまで、面会することは一度も叶いませんでした。
子どもが大好きだった祖父が会いに来た?
祖父が亡くなったと連絡を受ける前夜。普段は授乳後にすぐ寝付く息子が全く寝てくれず、私たち夫婦は困り果てていました。何とか寝かしつけ時計を見ると午前1時過ぎ。なぜ寝ないのだろう? こんなにテンションが高いのはなぜ? と不思議で仕方ありませんでした。
私は三姉妹の末っ子で、長姉(上の姉)には娘、私にも息子がいます。葬儀の連絡のため長姉に電話をしたときにこの話をしました。すると興味深い答えが返ってきました。
『うちの子も数日前から寝てくれないんだよね……』
私たちの子どもの共通点は2つ。1つ目は月齢が近いこと。2つ目は生前祖父とは会えなかったこと。母と祖母にこの話を伝えると驚きつつもこう言いました。
『じぃじは子どもが好きだったからきっと会いに来たんだね……』
「きっと会いに来た」というこの言葉に、私は妙に納得したのです。
葬儀中に肩をたたかれたと話す次姉
葬儀は家族葬で小さく行われました。葬儀も無事に終わり火葬場の待ち時間で私たち三姉妹は話していました。すると次姉が……。
『お焼香の順番待ち中、私の後ろには誰もいないはずなのに誰かに肩をポンポンってたたかれたの。あれは絶対にじぃじだと私は思うんだよね……』
私はふと祖父の癖を思い出しました。祖父は私たちがリビングにいると必ず後ろからやってきて、ポンポンと2回肩をたたくのです。その話に姉たちもハッとしたようで……。
『絶対にじぃじだ!』
三人の意見が一致しました。おそらくですが、三姉妹全員の肩をたたいたのではないかと私は思います。唯一次姉だけはそれに気づくことができ、祖父からの最後のメッセージを受けとれたのでしょう。
祖父から私たちへ、最後のメッセージ
四十九日法要の日、祖母と生前の祖父が二人で決めたお墓を初めて見ました。墓石に大きく刻まれた「絆」の一文字が、祖父母らしいなと思いました。というのも私の父と母は10年以上前に離婚。私と次姉は昔から仲が悪く、けんかの多い姉妹。母と次姉も最近はあまりうまくいっていない。そんな私たちの様子をみて、祖父はよくこう言っていました。
『家族なんだから仲良くしなきゃダメだよ!』
当時はその言葉を聞き流していましたが、祖父は私たち家族のことが心配だったのだと思います。自分の苦悩はあまり洩らさなかった祖父は、家族のことを誰よりも気にかけてくれていました。家族みんなに仲良くしてほしい。それに気づいてほしくて長姉や私の家に来たり、次姉の肩をたたいたりしたのでしょう。
絆を大切にしようと心に決めたあの日から
祖父が伝えたかったであろうメッセージは、私の心を前向きにしてくれたのです。次姉にLINEをしてみたり、祖母に電話をしたり、私は行動を変えていきました。その甲斐もあって次姉とは少しだけ会話ができるようになり、祖母とも電話越しに数十分話せるほどになっています。
私たち家族はまだまだ修復途中です。それでも、これからはもっと家族を大切にしようと私は心に決めました。もう二度と後悔しないように……。
身近な人の死が訪れたとき、あなたも不思議な体験をするかもしれません。そんなときはどうか、不思議な出来事の真意を考えてみてください。故人が何を伝えたかったのか、わかるかもしれません。
コロナ禍で実家に帰れない方も、密になるかもしれないお盆やお彼岸の時期を避けて、お墓参りに行ってみるのはいかがでしょうか。もしかしたら故人からの不思議なメッセージに気づくかもしれませんよ。
文・ゆきまろ 編集・荻野実紀子 イラスト・加藤みちか