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絵本「おれたち、ともだち!」シリーズから「あいつもともだち」~場に馴染めず孤独感を抱く気持ちにも寄り添う心~

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内田麟太郎さんの絵本「おれたち、ともだち!」シリーズの中の1冊「あいつもともだち」。先日、筆者の友人が息子さんに読み聞かせしたときの話とともに、こちらの絵本を紹介してくれました。絵本の中に登場するキャラクターに、小学校に入学した当初に感じた気持ちを重ね合わせ、人との関わり方に悩んだことや一人の時間を過ごしたことなどを話してくれたそうです。筆者には物語に感情移入して涙することがある年長の娘と、新しい環境や人に慣れるまでに時間のかかる繊細な性格の小学2年生の息子がいます。感情移入しやすい娘に、と思って読み聞かせてみましたが、娘よりも普段あまり絵本に感情移入しない息子から思わぬコメントが飛び出しました。そんな素敵な絵本をご紹介します。

友達との関わりを学べる絵本シリーズとして人気

絵本「おれたち、ともだち!」シリーズは全13巻(番外編も含めると14巻)あり、作者の内田麟太郎さんと降矢ななさんの絵によって友達との関わりを優しく教えてくれています。2018年にはシリーズ20周年を記念して原画展も開催されたほど人気のシリーズです。主なキャラクターであるキツネとオオカミの他に、シリーズごとにさまざまな悩みを抱えた動物たちが登場。ときにはケンカをしたり、相手に悲しい思いをさせてしまったり、どんなときも仲良く過ごすことは難しいけれど、それぞれが思い悩み、気持ちをつぶやきながら寄り添っていく様子が描かれています。絵本の対象年齢は3歳からで、ちょうど集団生活で他者との関わりを学んでいく年齢。小学校入学前後の筆者と友人の子どもは絵本の内容を深く読み取れるので、小学校低学年の子どもにもおすすめです。

「あいつもともだち」は苦手なともだちとの関わり方を描いている

「あいつもともだち」は冬が舞台。キツネと冬眠するヘビ、そして二人を見守るオオカミの物語です。キツネは長くて巻き付いてくるヘビがなんだか苦手。まもなく冬眠するヘビに出会っても声をかけられず、しばらくお別するあいさつができないままヘビは冬眠してしまいます。キツネはヘビの冬眠中ずっとそのことが気がかりでどうしたらよいのか悩んで……という物語。終盤は冬眠から目覚めたヘビにようやく声をかけることができたキツネが描かれています。苦手だから何もできないではなくて、ともだちだから苦手でもできることがある、そうするとお互いが嬉しい気持ちになる、読み終えると心がポカポカする絵本です。

絵本には苦手とされる側の孤独感も

主人公のキツネに注目されがちですが、筆者の息子も友人の息子さんも思いを寄せたのは苦手とされているヘビ。握手もできない細長く手足のないヘビは他の動物と距離を取ってしまい、すんなり輪に入ることができないのです。冬眠中の夢でも「みんな」を探すものの自分一人しかおらず、関わりたいのに関われないという孤独感や寂しさが描かれています。
筆者の娘は読み終えた後「ちょっと悲しいお話」「最後は嬉しかった」という感想だったのに対し、息子がボソッと発した感想は「ヘビが自分に似ている」というものでした。もともと新しい人や環境に慣れるまでに時間がかかる性格。小学校入学時も自分から話しかけたりできず慣れるまでに半年以上かかりました。同じように友人の息子さんも「ヘビの気持ちが分かる」と話してくれたとのこと。自分自身が感じていたことや戸惑いを絵本に出てくるヘビと重ね合わせ、それを表現することができた子どもたちに心の成長も感じることができました。

登場人物それぞれの心情が伝わってくる

絵本では登場人物のやり取りだけではなく、それぞれの心情が描かれています。キツネの思い悩む様子や、終始横で見守るオオカミの優しさ、ヘビの孤独感など心情がひとりごととして描写されていて、想像して考えるだけでなく小さな子どもでも分かりやすいのが特徴でしょう。苦手なともだちとの関わり方だけでなく、進学やクラス替えなどで新しいともだちとの関わり合いに戸惑う子どもたちの気持ちに寄り添ったおすすめの絵本です。ぜひ親子で一緒に読んでみてはいかがでしょうか。

文・ゆかりんご 編集・木村亜希

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