【後編】高卒のママ友が子どもに国立大学に行ってほしいと言っている。親の学歴を考えたら無理じゃない……?
たとえば親が中卒、高卒レベルでも、その子どもは国立大学に合格できたという声が複数届いています。親の学力と子どもの学力は必ずしも比例しないのだとしたら、子どもの学力を伸ばすために親ができることはどんなことなのでしょうか?
幼稚園卒か保育園卒かより学力差に影響することとは?
たとえばよく、親の所得格差が子の学力差に繋がるという議論がされます。その例として話題に挙がりがちなのが、「幼稚園卒の子どもは保育園卒の子どもよりも成績が高い」という説。これは幼稚園に子どもを通わせている親のほうが経済的にも時間的にもゆとりがあるだろう、という見立てをベースにしたものです。ですが実際には親の所得よりも、重要になるのは、幼少期に親が子どもにどう関わるかだという意見もあります。
たとえば、日本と、韓国、モンゴル、ベトナムの3~5歳児、各国3,000名ずつを対象にした調査では、次のような結果が出ています。子ども中心の保育がなされていたり、自由遊びの時間が長く取られている幼稚園、保育園の子どもは、いずれも語彙検査で高得点を獲得できたいうのです。日々の遊びや活動を通じ、保育者や友達、保護者に気持ちを伝えたくなるシーンが多いからかもしれません。反対に、入学準備のための教育(早くから跳び箱を飛ばせたり、漢字を学ばせるような)を行う幼稚園や私立保育園では、たとえ教わったことができるようになったとしても、その後、運動嫌いや勉強嫌いになってしまう子どももたくさんいることがわかっています。
そして、主体性を持たせるような自由保育で育った子どもたちは、小学校に入学して1年後に再度行われた校内の学力テストなどの調査でもやはり好成績をおさめています。
またこの調査では、親子の触れ合いを念頭に置いて、絵本を読む、工作遊びをするなと一緒に楽しい時間を過ごすよう心掛ける「共有型しつけ」の家庭の子どもは、読み書き、語彙得点とも高いという結果も出ています。一方で、親が子どもをしつけなくてどうする、悪いことをすれば、当然、罰も与えると考える「強制型しつけ」をする家庭の子どもは、どちらの得点も低い結果となりました。
「共有型しつけ」「強制型しつけ」に代表されるしつけスタイルというものは、子どもの成長とともに平行移動し、そう大きく変わるものではありません。幼いころからトップダウンでしつけられた子どもが中学生、高校生と大きくなってもガミガミ言われ続けたとしたら……。読み書き、語彙力どころか、もっと大きな学力格差が生まれてしまうことでしょう。
つまり、子どもの学力の伸びに影響を与えるのは、親の所得がいくらかではなく、幼稚園、保育園で自由にのびのびと育っているか、ひいては親や大人が子どもたちとどんな関わり方をするかだと言えそうです。
「共有型しつけ」「強制型しつけ」はどう違う?
もう少し具体的に「共有型しつけ」「強制型しつけ」の違いを見ていきましょう。たとえばそれぞれのしつけ方をする家庭に同じ絵本を読み聞かせしてもらうと、その仕方で違いは明らかになります。「共有型しつけ」をする親は、絵本の内容に合わせて表情を変えながら、子どもの反応を注意深く見守るような仕草をします。悲しいシーンなら、心配そうな表情で子どもの顔をのぞきこむなど。子どものほうから「かわいそうだねぇ、どうして死んじゃったの?」などと質問があれば、「そうよね、どうしてかしらね」と余計なことは言わず共感しながら子どもをサポートするのです。一方、「強制型しつけ」をする親は、読み終えると同時にパタンと絵本を閉じてしまい、「どういうお話だったか、言ってみて」と言い、子どもの答えに対して「ママはそんな風には読んでいない、ちゃんと聞いててよ」という感じです。
どういうことかというと、「共有型しつけ」をする親は、子どもと楽しく過ごしたいと考えるので、「3つのH(ほめる、はげます、ひろげる<視野を広げる>)」の言葉がけが多くなります。子どもは親から褒められたりすればもっと頑張ろうと思いますよね。それで循環がよくなって、さらに子どもの能力が伸びていくのでしょう。逆に「強制型しつけ」では禁止や命令が多くなるので、子どもは親の顔色をうかがい、ビクビクしながら育ちがちです。自分から学ぼうとする意欲が湧きづらくなってしまい、能力も伸び悩んでしまう可能性があります。
子どもの学力は親の働きかけによって違ってくる
国立教育政策研究所が実施した、学力調査にまつわる研究でも、親の働きかけが子どもの学力に及ぼす影響は大きいという結果が出ています。それによると……、
・自分でできることは自分でさせる
・子どもの良い点を褒めて自信を持たせる
・本や新聞を読むように働きかける
・子どもと一緒に美術館や劇場、博物館などにいく
・子どもから学校での出来事の話を聞く
など、先ほどの「3つのH」に通じるような、子どもと良好な関わりに積極的な家庭ほど子どもの学力が高くなったそうです。
ママ友や子どもの努力しだいで進路はいくらでも変えられる
『大卒とか高卒とか中卒と言っても、本来の頭の良さは関係ないよね? 学んできたかどうかは勉強ができるかできないかだけで、本来の頭の良さとは違うからね。そのママ友の子だってやる気しだいでどう進むかなんてわからないよ』
『実家が倒産して私は進学を諦めて、働いて家計を助けた。でもそれまでずっと恵まれた生活をしていたから、辛くて結婚に逃げたのね。とっても後悔してるから、子どもには国立大学で思う存分勉強してもらいたい。勉強が好きな娘だから、私の分まで学んでほしいと思うのは笑える?』
冒頭のママ友が、自身が高卒でも子どもには国立大学に進学してほしいと願うのは様々な事情があってのことかもしれませんし、そんなこととは無関係に、子どもの将来の広がりを大いに楽しみにしているにすぎないのかもしれません。珍しい話でも、変わった話でもないのです。
いずれにしても、「賢い子に育ってほしいなぁ」と願うなら、幼いうちから子どものやる気や頑張りを認めたり褒めてあげたりすることが大切です。
ママ友を悪く言うのではなく、応援してあげよう
子どもが頑張る姿を見ると、親は嬉しくなるものです。特に自分自身に挫折経験があったりすると、子どものチャレンジ精神がすごく頼もしく映るのです。実は筆者の子も年明けに大学受験を控えていて、まさに今が追い込みの時期。ラストスパートで頑張る姿を見ると、つい「私(筆者)が入れなかった大学に入ってくれたら!」という思いがよぎってしまうことも……! 期待の押し付けとは違い、あなたなら私には叶えられたかったことも叶えられる、そのくらい頑張っているわよ! という激励の思いと言いますか……。
表現は違っても、子への思いはきっと皆、同じです。投稿者さんもママ友に「合格するといいね」「ママもお子さんの応援頑張ってね」と言ってあげてください。ちょっとしたメッセージでも、ママ友の心に響くと思いますよ。
文・こもも 編集・blackcat イラスト・Ponko
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- 自分は高卒のくせに子供は国立大学行ってほしいとか笑う