カジサック第2回:「5人目の出産で無痛分娩を選択。夫から見た自然分娩との違いは?」
毎年10月19日は“イクメンの日”。毎年10月半ば頃に開催される「イクメン オブ ザ イヤー」では、その年に育児を楽しみ、頑張ったパパたちが部門別に表彰されます。「イクメン オブ ザ イヤー 2020 イクメン動画クリエイター部門」は芸人として、YouTuberとして活躍するカジサックこと、お笑いコンビ「キングコング」の梶原雄太さん。
2020年2月に第5子が誕生しました。奥さんは4人目までは自然分娩で出産をしたのに対して、5人目は無痛分娩を選択。夫であるカジサックさんから見た無痛分娩と自然分娩の違い、第1子出産時に「やってしまった」エピソードなどを語ってくれました。
陣痛で苦しむ嫁さんに、自分が背中をさすってもらうハメに
――現在お子さんが5人いらっしゃるとのことですが、最初から予定していたのでしょうか?
当初から嫁さんも僕も「子どもは3人くらい欲しいね」といっていたんです。実際に育ててみると子どもは本当にかわいくて、それで現在5人になりました。
――最初のお子さんが生まれたときはどのような感じだったのでしょうか?
人生で初めて感じた感情でした。同時に「申し訳ないな」という感情もありました。というのも第1子となる長男の出産で嫁が陣痛で痛がっているとき、僕は何もできなかったんですよ。あのときほど男の無力さを感じたことはないですね。
嫁が「腰が痛い」といっていて、何かしてあげたいと思うものの、何もできない。しかも僕は喘息持ちで……。本当に申し訳なかったんですけど、嫁が何時間もものすごくしんどそうにしているのを見ていたら、僕もしんどくなってきて、気が付いたら僕が倒れていたんですよ! 結果、嫁が僕の背中をさすってくれていたんです(笑)。
(一同、爆笑)
――奥様は陣痛で苦しみながらカジサックさんの背中をさすっていたんですか?
はい、そうなんです……。「俺、やばいかもしれん」って。具合が悪くて病室の隅にある長椅子に横になって、嫁さんが背中をさすってくれていたんですよ。あれを動画に撮っておけば相当面白かったと思うんですけどね(笑)。
結局、嫁さんは20時間くらい陣痛が続いて、その後ようやく長男が生まれました。俺が「お疲れさま!」と嫁さんの顔を見たら、顔の毛細血管が切れていたんです。改めて「お産というのは壮絶だな」と実感しました。それもあり看護師さんに連れてこられた我が子をみたときの感動はひとしおでした。
嫁さんの年齢や第1子の難産もあり、5人目は無痛分娩を選択
――お子さんが5人いて、奥さんは4人までは自然分娩を選択されていましたよね。5人目で無痛分娩を選択されていますが、カジサックさんからみて違いはありましたか?
まったく違いましたね! 違いすぎてびっくりしました。その違いに感動もしました。僕は4回立ち会い、嫁さんが陣痛で苦しむ姿を見てきたので、5回目の無痛分娩で「これほど痛くないものなの!?」と驚きましたね。
もちろん今までも無痛分娩のことは知っていたし、嫁さんとも何度も話し合いました。しかし最終的には嫁さんが自然分娩を希望したので4回目まではそうなりました。ただ嫁さんも年齢を重ねてきたこともあり、僕としてはなるべく体に負担が少ない方法で出産してほしいと思いました。「5回目は無痛分娩という選択もありなんじゃないかな? ただあくまでも、みっこ(奥さんの呼び名)が決めていいからね」と伝えたんです。
それで嫁さんも無痛分娩について真剣に考えるようになり、嫁さん自身も調べていました。そのなかで「この病院なら無痛分娩を安心して行えそうだからやってみようかな」という話になり、5人目の出産は無痛分娩を選択しました。
――自然分娩と無痛分娩の違いは大きかったですか?
いや、かなり違いましたね! 本当にびっくりしましたよ。これまでの出産ではとにかく嫁さんはつらそうで、数分おきにくる陣痛の痛みに必死に耐えるという感じだったんです。それが無痛分娩にしたら、陣痛の合間に携帯をみる余裕があったんですよ。出産を一緒に楽しむ余裕が生まれたように感じました。だから「本当に無痛分娩にしてよかったね」と声を掛けました。僕もびっくりしましたが、嫁さん自身が1番びっくりしていましたね。
「お腹を痛めて産んだ子ほどかわいい」?
――日本のお産では、「おなかを痛めた子ほどかわいい」という考えもあります。無痛分娩で出産の負担が減りラクになることについてどう思いますか?
ラクになったというよりも、嫁さんの体力が削られなくなったのは、本当によかったと思います。出産は嫁さんにとっても赤ちゃんにとっても大変なことじゃないですか。1番上の子が出産のときにうまく出てこられなくて、心臓に穴があいてしまったんです。それもありできるだけ出産の際には、体に負担がかからないほうがいいと思っていたんです。無痛分娩を選んだことで、結果的に体への負担はかなり軽減されるので、選択してよかったと思います。
「おなかを痛めた子ほどかわいい」という言葉もありますが、どちらでも嫁さんが産んだ子なら問答無用でかわいいですよ!
あと無痛分娩は体に負担がかからない分、出産後の母体の回復も早かったと思います。もしも6人目ができたら嫁さんには無痛分娩をおすすめします。
嫁さんの入院中、パパは子どもたちをどうサポートする?
――出産後、奥さんが病院に入院している間、カジサックさんは4人のお子さんをどのようにサポートされたのでしょうか。
「ママは妊娠して、赤ちゃんを産んで、今すごく大変なときなんだ。ママは今闘っているんだよ。だから応援してあげようね」と、子どもたちに説明してあげます。まずそこが大事です。
僕が子育てで大事にしていることは、言葉ではなく温度で教えてあげるということ。2、3歳だと、まだ言葉で説明してもわからないことって多いと思います。ママは入院して大変なんだということを伝えるときに、当時3歳だった4人目の子どもに「せんちゃん、ママ、今入院して本当に大変なんだ!」と、子どもと視線の高さを同じにして、目を見て真剣な表情で伝える。このいい方だけで、子どもにはきちんと伝わります。
「お姉ちゃんになるんだから、家で一緒に留守番しような」といってあげる。言葉ひとつひとつの意味まではわからなくても「一緒にがんばろう」ということを伝えてあげる。そうしたら子どもは「うん、がんばる」となる。
ただ「がんばる」だけだとしんどくなるので、どうやったら子どもたちをワクワクさせられるかということを考えています。
「お姉ちゃんになる」という言葉を伝えるときも「さあ、せんちゃん! もうすぐお姉ちゃんになるんやで! お姉ちゃんになったら何をしたい?」と、勢いをつけていってあげる。そうなったら「お姉ちゃんになるの、楽しみ!」と、ワクワクする気持ちしかないですよね。
――夜、お子さんが寂しくなってしまうこともあるかと思いますが、どうしていましたか?
そういうときは「1番寂しいのはママなんだよ」といってあげる。子育て中はとにかく子どもをたくさん笑わせてあげる。これを大切にしています。
出産に関しては嫁さんが1番大変で、生んでくれたことに対して感謝しかないです。だから入院中でも嫁さんが安心できるように、少しでも子どもたちが楽しく過ごせるように考えていました。
(編集後記)
5人目のお子さんが生まれて、一段とにぎやかになったカジサックさん一家。子どもが5人ともなると、夫であるカジサックさんのサポートも相当必要になってくるはず。次回はお子さんの成長について、またカジサックさんが子どもを叱るときに気を付けていることなどについて伺います。
取材、文・長瀬由利子 編集・北川麻耶