【後編】おもちゃを「捨てる」というお仕置き。それって解決になるの?
子どもたちが大切にしていたリコちゃんを捨てました。
リビングに戻ると、姉妹はヒックヒックと泣いています。
姉妹:「ほ……本当にリコちゃん捨てちゃったの……?」
ママ:「当たり前でしょ? 何度言ってもお約束が守れなかったんだから、しょうがないよ」
姉妹:「リコちゃん……ゴメンね……」
ママ:「そうだね、リコちゃんがかわいそうだよね。泣くぐらいなら、なんでもっとしっかりお約束を守らなかったの?」
姉妹:「これくらいなら……大丈夫かもって……おもって……」
子どもたちの号泣は止まりません。私には迷いも出てきました。
(ヤバい。本当にやりすぎたかも。自分のやったことにどんどん自信がなくなっていく……。これがトラウマでグレたりしちゃったらどうしよう……。モノを大切にしない子になったらどうしよう……。やっぱり捨ててないよ~って持ってくるべき? でも「捨てる」って言った以上、捨てないと私も約束を守っていないことになるよね……? 一度言ったことをすぐに撤回していたら、ママってちょろいって思われちゃわないかな? う~本当にどうしよう……)
子どもの前では「さ、ご飯にするからお手伝いして!」と平静を装っていましたが、心の中では自分のしたことが本当に良かったのかどうか迷いっぱなしでした。
それから夕飯、お風呂、就寝と、元気のなかった娘たち……。その間、ずっと私は「どうしよう……いつ取りに行く?いつ渡すべき?」と考えていました。
次の日も元気のない娘たち。とりあえず反省はしているようです……。私の方には「罪悪感」という文字が大きくのしかかりました。夜になって娘たちが寝てしまってから、私はパパと話し合っていました。
パパ:「明日、俺がゴミ箱からリカちゃん取ってきてもいいかな?」
ママ:「……ね……。やりすぎちゃったよね」
パパ:「まぁ、ママの気持ちも分かるけどね……」
翌日、パパはリコちゃんを拾ってきてくれました。「パパ……! ありがとう!!!」と喜ぶ娘たち。その姿を見ながら、パパが諭すように言いました。
パパ:「……でも、パパが拾うのは一回だけだ。次からはないからな。今回のことで懲りただろ? 約束はしっかりと守らなくちゃダメだ。じゃないと大人になって失うのは、リカちゃんよりももっと重い“信用”だからね」
姉妹:「……はい」
私だって自分で決めたことをを守れないときはあるのに、大切なものを捨てられたら悲しいもんなぁ……。そう反省しながら、私も娘たちに自分の思いを伝えました。
ママ:「ママもついカッとなって、あなたたちの大事なものを捨てちゃってゴメンね。反省してます。でもママの言いたかったことも分かるよね?
パパも言っていたけど、約束ごとは守らないと何の意味もないの。そんなに大切なリコちゃんを捨てると言われているのに約束を守れなかったのは、「ちょっとなら良いかな?」って思ったんじゃない? そういう考えはやめて欲しいな。約束は約束だから。
次からはきちんと約束守ってね。もしその約束に意見があるなら、約束を決めるときに言って欲しい。約束を守れなかったときのペナルティも一緒に話していこうね」
姉妹:「……はい。本当にゴメンナサイ」
ママ:「ママもごめんね」
ついついカッとなってお人形を「捨てる」と言ってしまったのですが、「捨てる」ことは決して良い解決方法ではありませんでした。今回はパパがうまく収めてくれて、リコちゃんは無事戻り、子どもたちも反省したようですが……。
「約束」を守らせるためにどうした方がいいのか、一方的に親の言い分を押し付けるのではなく、子どもと話し合っていくことも大切なのだと考えさせられました。
原案・ママスタコミュニティ 脚本・渡辺多絵 作画・なかやまねこ