新型コロナウイルス陽性の自宅療養者に配られる東京都足立区の「自宅療養セット」。気になる中身を聞いてきました
東京都足立区では新型コロナウイルスの感染拡大を受けて2020年4月下旬、「自宅療養セット」の配達をスタートしました。これは新型コロナウイルスの検査で陽性反応が出た足立区民のうち、症状が軽い、あるいは無症状でやむを得ない事情により自宅療養をすることになった方を配達対象とした、生活必需品が入ったセットです。
「自宅療養セット」の中身や配達のきっかけなどについて、足立区データヘルス推進課の担当者の方に取材しました。
東京都足立区が配達を始めた「自宅療養セット」の中身とは
足立区の「自宅療養セット」は、新型コロナウイルスの陽性反応が出てやむを得ず自宅で療養することになった足立区民の方が、配達を希望すれば受け取ることができます。
――「自宅療養セット」に入っている具体的な中身を教えてください。
足立区データヘルス推進課の担当 湯本さん(以下、湯本さん):具体的には以下の表のものが入っています。さらに区長からの手紙、感染症予防リーフレットと各種相談窓口の案内リーフレットも入れています。
<食料品(1週間、1人分)>
<日用品(初回のみ:1人分)>
<女性用(初回のみ:1人分)>
<入手困難品(初回のみ:1人分)>
――かなりの量と品数が「自宅療養セット」には入っているんですね。全部でどのくらいの金額に相当するのでしょうか?
湯本さん:食料品だけの金額はだいたい8,000円くらいです。日用品だけの金額はだいたい1,000円くらいになります。合計で9,000円くらいになりますね。
――「自宅療養セット」を発案したきっかけはどういったものでしたか?
湯本さん:もともと韓国や台湾で自宅で療養されている方向けに食料品や日用品を配達している、というニュースを聞いたことがきっかけです。それが現地で好評であったことや感染者が外出せずに済むことから感染拡大防止に有効であるという話があったんですね。
――韓国の「自宅療養セット」を参考にされたんですね。「自宅療養セット」に入っている品目はどのように選定されたのですか?
湯本さん:まずは韓国で配達されている「自宅療養セット」の内容を調べてみました。するとお国柄もあり、キムチなどが含まれていることがわかりました。韓国の品目をそのまま日本の「自宅療養セット」にすることは難しいものがいくつかあったんですね。そこで足立区の衛生部に在籍している保健師、歯科衛生士、若手の男性職員などと相談して1週間分のシミュレーションをしたうえで中身を決めていきました。
――1週間分、ということですが1人3食としての量ですか?
湯本さん:はい。1人が1週間3食で、1週間分入っています。
「自宅療養セット」への利用者・区民の反応は?
――「自宅療養セット」の配達がスタートしてから利用者、あるいは区民の方などからどのような反応がありましたか?
湯本さん:利用者からは「助かりました」、「安心しました」といった感想をいただきました。2週目の食料の注文を伺ったときに「足りないものはありませんか?」とも聞いてみましたが、「大丈夫です」とのことでした。遠慮されているのかもしれませんね(笑)。
――そうかもしれませんね(笑)。利用者以外の方からはどのような反応がありましたか?
湯本さん:「自宅療養セット」の記事を見たという方から「おかゆを入れたほうがいいのでは」というご意見をいただきました。基本的に自宅療養する方は軽症の方か無症状の方なのでしっかりめの食べ物で構成していましたが、確かに少し食欲がないときもあるかもしれないとおもい、今後改善していく方向で考えています。
東京都足立区の「自宅療養セット」の今後について
――「自宅療養セット」をいつまで配達するといった期限や、配達数の上限などは決まっていますか?
湯本さん:新型コロナウイルスの影響がいつまで続くのかわからない状況ですので、「自宅療養セット」をいつまで配達するのかや、配達する数の上限などは決めていません。必要とされる限り続けていきたいと考えています。
――「自宅療養セット」の利用者に2週目の食料の注文を聞いたとのことでしたが、「自宅療養セット」は何度も利用できるのでしょうか?
湯本さん:はい。新型コロナウイルスに感染している方が自宅療養をする期間が2週間とされていますので、日用品以外の食料品については追加で配達します。
――「自宅療養セット」は新型コロナウイルスに感染した自宅療養者が対象ですが、感染していない人にとっても備えの参考になりそうですね。
湯本さん:「自宅療養セット」は感染した方にしか配ることができません。でも「自宅療養セット」を参考にしていただき、各ご家庭で備えていただけたらいざというときに安心できるのではないでしょうか。
自宅療養されている方に向けて。足立区からのメッセージ
――では最後に足立区として自宅療養されている方に向けて、何か伝えたいことはありますか?
湯本さん:自宅療養されている方は不安だとおもいます。足立区としてはやむを得ず自宅療養をされている方の不安を解消できるように努めていきたいと考えています。感染されている方が外出していろんな方と接触されることが感染のリスクを高め、感染拡大につながってしまいますので、感染拡大を防ぐためにも「自宅療養セット」は続けていきたいと考えています。
「自宅療養セット」についてはほかの自治体からも問い合わせが来ているとのことでした。お住まいの自治体でも「自宅療養セット」が配達されることになるかもしれませんね。
足立区役所の皆さん、取材に対応していただいた湯本さん、ありがとうございました!
取材、文・しのむ 編集・しらたまよ