娘の生理や息子の精通などの体の変化。ママやパパがやるべきことは?
10歳をピークに急成長する子どもたちの体。意図しない体の変化に子どもたちは恐怖と不安を抱えています。でも、子どもが前もって自分の体にこれから起こる変化を知っていれば、その恐怖や不安も軽減できるかもしれません。
ママは、そんな成長期の子どもに、どんな声かけをしていくのがいいのでしょうか。『お母さん! 学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』の著者であり、性教育アドバイザーで元泌尿器科看護師である、のじまなみさんに聞いてみました。
生理が始まる2年前から不安定になる女の子の心とからだ
――女の子のからだの発達と言えば、わかりやすく「生理」がきますね。
女の子は、8~9歳頃が生理の前段階の時期になってきます。その2年後ぐらいの10~12歳が生理の始まる年齢となります。
――2年もの時間をかけて体が生理を迎える準備をするんですね。
その2年間はママたちでいうところの生理3日前とかと同じぐらい、イライラする時期になります。些細なことで泣いたりとか、不安になったりするなど気持ちの起伏がすごく激しい時期がきます。
――そのような状況で性教育をするのは大変そうですね……。
そうですね。だから女の子への性教育のデッドラインは10歳と思っています。あくまでもデッドラインが10歳としているだけですので、女の子は基本的にもっと早い段階から始めたほうがいいですね。
初潮をむかえた娘へのパパの対応
――生理を迎える多感な時期の娘に、パパはどのように対応したらいいですか?
この時期の女の子はすごく敏感な時期なので、我が家では「おめでとう」という一言だけにして余計なことを言わないように、夫にはそっと言っておきました。自分の体が変わっていく恐怖を抱えている時期に、異性であるパパからあれこれ言われたらすごく嫌がりますよね。だから余計なことは言わないように、ママが釘を差しておいてあげるといいですね。
男の子とは、常日頃からポジティブな性の話を
――男の子の体の発達は、ママにとってはよくわからないことも多いので、子どもにどんな声かけをしたらいいのか悩むママも多いと思います。
男の子の場合、ブラジャーをつけるといった、分かりやすく親がサポートすることがないですよね。ママとの関わりの中では特に成長の話をすることもないまま、精通をむかえてしまうことがあります。だからこそ、男の子のママは常日頃からポジティブな性の話を明るくしてあげておくといいでしょう。
――普段の会話で明るく話すというのは具体的にどのように話すのでしょうか。
精通が楽しみになるような声かけを精通になるまでにしておくということですね。精通は10歳ぐらいになると始まってきますので、それまでに「あなたのおちんちんの先からね、白い精液というものが出るんだよ。それは大人の仲間入りのサインなんだよ。楽しみだね」みたいな話をしておくといいですね。大人になるためには大事なことなんだと、精通を迎えることなどを常にポジティブに話しておけばいいと思います。
大人のマナーとして、パンツを自分で洗ってもらおう
――精通を迎える男の子に教えておかなくてはいけないことはありますか?
精通や夢精などで射精をするということも教えてあげてほしいです。精通後の対応を教えるのもママの大切な役割です。夢精などは病気じゃない、普通のことだからねという話から始まって、精液がついてしまったパンツをどうするかまで教えてあげてください。
――性の話をこれまでにしていないと難易度が高そうですね……
中学生ぐらいになってくると、ママが男の子に対して性の話をするのは、女の子にするよりも段々難しくなってきます。だからこそ精通が始まる前までに、明るくポジティブに話しておくことが大切なのです。
――汚した下着をどうするように伝えたらいいでしょうか。
精通の話をするときに、精子がついたパンツをそのまま洗濯機に入れてしまうのは、マナー違反だといえばいいですね。ママたちも生理で汚したパンツは洗ってから洗濯機や洗濯カゴに入れているからと。だから、「これは大人としてのマナーだから精液がついたものは手洗いしてから出してね」と話しておきましょう。このような話をしておけば、濡れていたものが入っていても、お互い暗黙のルールとしてやっていけますよね。
親は子どもに、自分の体を大切にする価値観を伝える
――子どもが自分の成長に関する体の変化を前もって知っておくことは大切なのですね。
そうですね。自分の体の変化を知っていればいざというときにも落ち着いて対処できますし、何よりママに変化していく自分を受け入れてもらえたという気持ちが持てます。その際に、親が子どもに「あなたのことがとても大切だよ」とか「あなたは価値がある人間なんだよ」と普段から伝えておくと、子どもが自分自身を好きになり、また他の人にも価値があることに気づきます。だから自分も他人も傷つけてはいけないということに気づけるのです。誰かを労る気持ちは、自分への愛情が深くないとできないことなのです。
――普段の会話から、ポジティブに性の話ができる親子関係を作ることが大切なのですね。
性の話はとにかく難しく考えがちですよね。でももっと明るく、ふつうのコトのように日常会話の中に組み込んでいけたら、すごく話しやすくなると思うんです。だから堅苦しく考えずに、自分の価値観を子どもに伝えてあげるといいと思います。「自分の体は大事にしてほしいな」とか「簡単に男の子に体を許すような人にはなってほしくないな」とか、「大好きな人に出会えるといいね」とかね。
――のじまさんとお父様はとてもオープンに話せる関係だったそうですね。
そうですね。父の話にはタブーがなかったので、性の話でもなんでもオープンに話してくれましたし、私たちのことが大切だということを、心と体と言葉、全部で示してくれていました。君たちは愛し愛され生まれた子であって、お父さんはお母さんが大好きだというのは常に言っていました。そんな父がものすごく好きだったんです。
性教育は「百利あって一害なし」。子どもの未来と笑顔を守る教育
――最後にママスタ読者のママたちにメッセージをいただけますか?
性教育って「百利あって一害なし」だと思います。性を伝えるということは、子どもの未来と笑顔を守るものだと私は信じて疑いません。もっともっと子どもと深く関わりたい、子どもとの絆を深めたい思うのであれば、お子さんにどんどん性教育をしていただきたいなと思います。
性教育を始めるのであれば早ければ早いほうがいいとお伝えしてきましたが、何歳からでも構いません。学校の性教育だけでは子どもたちを守ることはできません。すべては子どものため。「百利あって一害なし」の性教育をご家庭でもぜひ始めてみてはいかがでしょうか。
取材・編集部 文・櫻宮ヨウ 編集・山内ウェンディ イラスト・ももいろななえ