登園時に子どもが大泣き。上手にバイバイする方法は?
子どもを保育園に預けるとき、「ママと離れたくない!」「おうちに帰りたい」と泣かれてしまうことがあるかもしれません。親としては心が折れそうな瞬間ですが、こんなときはどう対応するのがベストなのでしょうか?「グローバルキッズ飯田橋こども園」園長の小松崎珠美さんと、保育士資格を持ち保育園運営のサポートしている讃井素子さんにお話を伺いました。
子どもを預けるときに泣かれてツライ。ベストな方法は?
――お子さんが保育園に入園したての時期に「毎朝の登園時に子どもが大泣き」というのは、よくある話だと思います。こんなとき親はどのように対応したらいいのでしょうか。
グローバルキッズ:初めての集団生活で、大好きなお母さんから離れることになったら、子どもは不安になって泣いてしまいます。お母さんも子どもが大泣きする姿を見ると、「仕事に復帰して大丈夫かな」「子どもに申し訳ないことをしているんじゃないかしら」と思うかもしれません。でも大丈夫。
時間と共に保育士に少しずつ慣れて、そこから「お友達がいっぱいいる」「ご飯が食べられる」「おもちゃもたくさんある」と、保育士との信頼関係の中で安心していくのです。最初は泣いていた子どもたちも1カ月もすると保育園に慣れてきて、楽しく遊び始めますから、お母さんは安心して預けてくださいね。
――そんなとき、保育士の先生はお母さんに対してどのような声掛けをされますか?
グローバルキッズ:「お母さんはお母さんの、子どもは子どもの生活があるので、それぞれ別の時間を過ごしたからといって心を痛めなくても大丈夫ですよ」と伝えています。お母さんが心配しすぎると、子どもにもその不安な気持ちが伝わって、余計に泣いてしまいます。お母さんが仕事に復帰して慣れてくる頃には、子どもも笑顔で登園できるようになるので、心配しなくても大丈夫ですよ。
預ける際、子どもにかけるといい言葉は?
―――朝、子どもと別れるときは、どんな声かけをしたらいいですか?
グローバルキッズ:「お母さんも一緒にいたいけれど、お仕事をがんばるから、〇〇ちゃんもがんばってね」と言ってあげると子どもは落ち着きます。もちろん、まだ言葉が理解できない小さな子どもには難しいですが、何度か言い続けていると、「お母さんと離れて寂しいけど、お母さんも同じように寂しいんだ」と感じ取り、子どもは「お母さんも寂しいけどがんばっているんだ。だったら自分もがんばらないと」と受け入れられるようになります。
――泣いているときは、すぐに離れた方がいいですか? 落ち着いてからのほうがいいですか?
グローバルキッズ:お母さんはお子さんを保育士に預けたら、さっと離れた方がいいです。お母さんが近くにいればいるほど、子どもは「お母さんと離れたくない」という気持ちが大きくなって、子どもはどんどん大きな声で泣くようになります。仕事に行く前はお母さんも忙しいから、「早くしなさい」「何回言ったらわかるの!」などと、つい言葉が乱暴になってしまうんですよね。そうなると、子どもはさらに悲しくなって泣いてしまいます。
黙って立ち去るのはNG!?よけいに子どもが泣くことに
――保育士の先生に預けた後、子どもがお母さんを見ていないうちに立ち去るのはどうですか?
グローバルキッズ:子どもが知らないうちにお母さんが立ち去ると、そのあと子どもはすごく泣いてしまいます。以前、2歳のお子さんをお預かりしたとき、その子のお母さんは子どもがよそ見をしている間にパッと離れて、仕事に行かれたんです。「気づいたらお母さんの姿がない。でも、自分の荷物はロッカーに置いてある。お母さんはどこに行ったの?」と思ったその子はずっとロッカーの中を探し続けていました。その姿は、私たち保育士から見ていても、とてもつらかったです。
子どもと別れるときは「行ってくるね」と必ず言って、子どもに「お互いがんばろうね」という気持ちでタッチする。その挨拶を毎日繰り返してあげると、だんだん子どもは慣れてきますよ。保育園に着いて保育士に預けたら、「じゃあ、がんばるね。行ってきます」と子どもに言ってから立ち去ったほうが子どもも早く立ち直れます。
――4月に泣かない子は、5月になって園に慣れ始めると泣くと聞いたことがあります。
グローバルキッズ:そういうこともありますね(笑)。まったく泣かずに保育園に慣れる子もいますが、4月か5月かの違いはあっても泣いてしまう子が多いです。ただし、毎日通っていたら徐々に保育園での生活に慣れてくるので、大丈夫ですよ。「時間になったらお母さんが迎えに来てくれる」ということがわかれば、子どもは保育園で楽しく遊んで過ごせます。保育士もその間しっかり愛情をもって子どもたちと過ごしますので、お母さんは安心して仕事に行ってくださいね。
取材、文・長瀬由利子 編集・山内ウェンディ イラスト・にゃほこ