小学1年生の初めての面談。”これまでの教え方”を反省した先生の言葉
筆者の娘が小学1年生になったばかりの時のことです。
当時娘はまだ5歳でしたが、イギリスの学校制度では小学校1年生。義務教育となり、国語や算数などの勉強が本格的に始まりました。
3歳年上の兄もいるせいか、兄のマネをして器用に要領よく何でもできる(ように親からは見える)娘だったので、筆者は新しく始まった学校生活に何の心配もしていませんでした。幼い頃から兄の様子を見て、学校生活について実際に始まる前からよくわかっているようでしたし、何より楽しみにしていました。
担任の先生と初めての面談
1学期に担任の先生との初めての面談がありました。多分あまり悪いことは言われないはず、先生も褒めるばかりだろうから面談は楽勝……と面談を軽く見ていた筆者でしたが、先生から意外なことを言われました。
「娘さんは間違えないんです」
間違いをしない? 何のことを言っているのか、最初筆者には全くわかりませんでした。
音読の時間、読み方がわからないと、すぐ先生に読み方を聞く。
作文の授業で、綴りがわからない言葉があると、先生にスペルを教えてもらわないと書くのが止まる。
数がうまく数えられないと、すぐやめてしまって、教えてもらえるまで待っている。
先生によると、自分なりに考えてやってみようとチャレンジしない、間違えそうになるとそこでストップしてしまう、ということでした。先生は筆者に言いました。
「間違いを恐れなくなること、それが1年生の課題ですね」
答えを先に与えていたことを反省
先生の話を聞いていて、筆者には授業での娘の様子が手に取るようにわかりました。家でも全く同じです。でも筆者は、間違えたやり方でやってしまうより、最初から正しいやり方でやろうとすることはいいことだろう、と思っていたくらいで、むしろ筆者が進んで「正解」を教えていました。勝手に間違えて覚えてしまうより、正しいものを最初に教えた方がいい、と思っていたのです。
「間違えることは誰にとっても嫌なこと、子どもが怖がるのも当たり前なんです。だけど、それを避けているだけでは学ぶことはできません。難しいことでもチャレンジする。自分の力で考える。なぜ間違えたのか知る。そういうことができるようになってほしいのです」
親が間違える「お手本」に
先生の話に反省するしかない筆者でした。先生からはこんなアドバイスがありました。
「子どもは親をよく見ているもの。親が間違えるお手本になってあげてください。わざとでもやってほしいくらいなので、子どもの前で間違える姿を見せてあげてください。ママ、間違えちゃったわ、とか明るく言いながら、間違いを直すところまで一緒にやるといいと思いますよ」
「それなら私にもできます!」
筆者は即答していました。
いつの間にか
「子どもが間違えないようにしなくちゃ」
と完璧主義になってしまっていた筆者。それだけでは、娘のためにはならないという先生の言葉は、本当に目からウロコでした。先生との面談で教えてもらったことは、ずっと大切にしていこうと思っています。
文・野口由美子 編集・山内ウェンディ