あなたの子どもはどのやり方が合う?子どもが楽しく&わかりやすく貯金・お金のやりくりを学ぶためのツールとは?
お金のやりくりと貯金については大人になる前にできるようになっておくべき必須の知識です。しかし、今の学校教育ではなかなか得られないもの。お金の管理や使い方の工夫について子どもに教えたいときに、どう伝えれば理解がすすむのでしょうか。
さまざまな家庭の家計相談を行っているFP(ファイナンシャルプランナー)海老原政子さんにお話を伺いました。
――お金の管理や使い方は、どのように子どもに教えていけばいいのでしょうか?
私はマネー教育の根底は「かけるお金に対してどうしたら満足度が最も高くなるか」つまりは「より良いお金の使い方」を考えさせることだと思っています。貯金や、賢く増やす方法をマスターすることが必要なのではなく、自分が必要なモノ、ほしいモノに納得してお金を使えるようになることが1番重要なのではないでしょうか。貯金の仕方を教えるのは、その後でいいと思いますよ。
より良いお金の使い方は「入るお金に対して満足度が最も高く使う」こと
――納得するお金の使い方はどうやって教えればいいのでしょう
自分が出せるお金を知り最大限に活かせるようになるという意味では「お小遣い」制度を取り入れる方法があります。お小遣いの基本は、期間を決め、その期間中に自由に使っていい金額を提示して見守ること。
例えば、1日に50円までなら好きなものを買ってもいいよ。その50円は毎日使ってもいいし、取っておいて明日100円使ってもいいよ。というやり方をすることで、「今日の50円で買ったこのお菓子はすぐになくなってしまったな」「昨日我慢したから今日はほしかったものが買えた」など子どもが分かってくると思います。このとき、子どものほしいといっているものにあまり口出しはしないほうが良いですね。失敗もいい経験になりますので。
このような経験をしていくことで「使えるお金は有限なのだ」とわかってくるので、それからやりくりや貯金について教えてみてはどうでしょうか。
――子どもにお金のやりくりや、貯金を教えるときにオススメの方法はありますか?
どんなことでもそうですが、万人に向く方法はありません。特にお金の使い方は夫婦でも案外と違いうもの、子どもにはコレ! と言える方法はありません。「簡単だから」「人気だから」いいというわけではなく、子どもの性格に合わせてやり方を変えたほうが効果的です。お小遣いを管理するツールにもいろいろあります。最初から成功するのは大変ですが、子どもに合ったツールを一緒に見つけていきましょう。
やりくり・貯金の方法は子どもによって変える
子どもの興味のあるものや好きなもので管理するのがうまくいく秘訣です。例えば目で見える方がわかりやすい、好きなキャラクターとなら頑張れる、絵や工作が好きなど、子どもの性格によって既製品や手作りするなどやり方を変えるといいと思います。いくつかツールをご紹介しますね。
お薬カレンダーを利用する
お薬カレンダーはご存知でしょうか。壁掛けカレンダーに透明なポケットがついていて、1日ごとに薬を入れるものです。お薬を入れるところには硬貨も入れられるので、1日100円を1週間分入れておくというように、一定の期間に使える金額を見えやすくすることができます。1週間の管理ができるようになれば、月2回渡す、金額を変える、ボーナスポイントを加算するといったように、ルールを発展させることもできますよ。
楽しい仕掛けがある貯金箱
職業柄たくさんの貯金箱をチェックしているのですが、注目しているもののひとつが、目的別に硬貨を入れる口がついている豚の貯金箱です。寄付や自由なお金といったように記載してあり、「貯めるときに目的をもって貯金をすること」を覚えさせることができます。
500円玉を入れられる本もあります。いわば本型の貯金箱ですね。他にも硬貨を入れると転がって仕掛けが動く貯金箱など、凝ったものはたくさんあるので探してみてください。
お絵描きが好きな子どもには「ぬりえ貯金」
1~365までの数字が書いてある絵にぬりえをしながら、数字を同じ額の金額を貯金するというシートがあります。35円貯金するなら、35番の絵に色を塗ります。全ての数字を塗り揃えるとカラフルなぬりえが出来上がって達成感があり、しかも66,795円貯まるという仕組みです。ぬりえが好きな子におすすめですよ。
交通系ICカードで電子マネーを学ぶ
――2019年はキャッシュレス決済のニュースが頻繁に流れているように思います。電子マネーの仕組みや概念を学ばせたい場合は、何を使えばいいでしょうか?
小さい子どもだとクレジットカードやキャッシュレス決済は使えないので、PASMOなど交通系ICカードはいかがでしょうか。一例として中学生の場合、部活や習い事で交通費が必要で、交通費と自由なお金を合わせて2,000円をお小遣いとしたとします。1,000円をカードにチャージして、1,000円は現金として渡せば、電子マネーと現金を両方使わせることができます。交通系ICカードの利点は明細が券売機で印字できることで、親の方で支出をチェックすることも可能です。最初のうちは親が一緒にチャージする様子を見せるといいと思います。あったはずの1,000円がなくなって、カードに入金されたことが見えますから。子どもに「このカードは1,000円札と同じ価値があるんだよ」と教えるよりも視覚的に見せるほうが理解が進むと思います。
いずれのツールを使うにしても、何か目的があり、そのためにやりくりや貯金をすることが第一です。入るお金に対して楽しみながら使える、満足度を最大限上げられるように、子どもの興味関心に沿ってツールを選んでみてください。
楽しく学ぶためのツールを使うと、お金の大切さも自然と知ることができそうですね。海老原先生、ありがとうございました!