保育園の初登園。人見知りでよく泣く0歳娘にベテラン先生がかけてくれた言葉
初めて保育園に子どもを預けた時のことが、忘れられない思い出となっているパパやママは多いのではないかと思います。筆者も4月に迎えた保育園初日は思い出深いです。
筆者の娘は、育児休暇が終わる4月に保育園の0歳児クラスに入ることになりました。その保育園は筆者の近所にある認可外の保育園でした。4月の復帰から1日フルで預けられるように考えられていて、3月から保育園での慣らしが始まりました。慣らし保育のやり方は園によって違うと思いますが、その園では散歩がてら保育園に遊びに来て、親子で園の雰囲気に少しでも慣れておく、というような感じでした。
慣らし保育に「慣れない」娘
初めての場所でも平気な子は、初日から好奇心旺盛で、おもちゃで遊んだり、他の子たちに興味を持ったり積極的に過ごしています。ママがいなくても大丈夫そうで頼もしいです。
でも、筆者の娘は慣らし保育のつもりで来ても全く慣れようとしませんでした。何かを感じ取っているのか、筆者の膝の上から離れようとしません。先生に声をかけられてもそっぽを向いて、余計筆者にしがみつく手に力が入っています。
「最初はそんなものかな」と筆者は気を取り直して、週に何度か保育園に行くようになりましたが、何度行っても、全く娘の態度は変わりませんでした。ずっとママの膝の上。
ベテラン先生が言ったことは
3月も終わりになって、いよいよ慣らし期間も終わろうとしていたとき、さすがの筆者も心配になってきました。「本当にこのままで大丈夫なのかな。この子にはまだ保育園は難しいのかも……」
そのクラスで一番のベテランの先生が筆者に言いました。
「〇〇ちゃんは、4月の初日はもしかしたらすごく泣いちゃうかもしれない。でも、お母さん、大丈夫だからね。ずっと泣き続けてしまうかもしれないけれど最初の3日がんばって。だんだん慣れていけるから。私たちいくらでも抱っこしてあげるから。3日間くらいすると本当に私たちも仲良くなれるの。一緒にがんばった同志みたいで、そういう子も本当にかわいいんですよ」
「同志」という言葉を聞いて、筆者の心配な気持ちは少し軽くなりました。
「先生もがんばってくれるんだ。この子もがんばるんだ。私もがんばろう」
結局娘は保育園で一度も筆者の膝の上から離れることがないまま、保育園初日を迎えることになりました。
保育園初日はやっぱり大泣き
初日の朝、筆者が抱っこして保育園の部屋に連れていくと、案の定、大泣きし始める娘。今日はママがいなくなると、ちゃんとよくわかっているようでした。
「お母さん、心配しちゃうかもしれないけれど、大丈夫だから、本当に。いってらっしゃい」
ベテラン先生は泣いている娘を受け取りながら言いました。娘に泣かれてオロオロしている筆者でしたが、先生の言葉に背中を押されるようにとりあえず、園の外へ出ました。
子どもに泣かれたまま別れるのは、本当につらいものですね。外からは娘の泣く声も聞こえてきませんでした。後ろ髪を引かれるような思いでしたが、立ち去るしかありませんでした。
「私も今は仕事をがんばるしかない!」
仕事中はすっかり娘のことが頭から消えていましたが(あんなに娘のことを心配していた割には、自分の切り替えの早さに筆者自身も驚きました)、夕方は大急ぎで保育園に戻りました。
保育園初日はどう過ごしていた?
部屋では娘がやっぱりベテラン先生に抱っこされていましたが、楽しそうな様子です。私の姿を見つけた娘は、ちょっとびっくりしたような、楽しそうな姿を筆者に見られて恥ずかしいような、戸惑っているような顔をしました。ママのもとへすぐに戻って行ってしまっていいのか、迷っているようにさえ見えました。
「本当に〇〇ちゃんはいい子でしたよ。あの後朝はずっと泣いてしまっていたけれど、泣き疲れて寝てしまって、その後、離乳食をたくさん食べられたんですよ。そしたらすごく元気になって、ご機嫌でしたよ。他の子たちと一緒におもちゃで遊んだりもして。泣いちゃっても、ずっと一緒にいるうちに私とも仲良くなれましたよ。1日でこれだけ慣れていけたら立派なもの、がんばりましたね」
先生の言葉に本当にほっとしました。
「また朝泣いてしまうかもしれないけれど、大丈夫だから。この子はお母さんが迎えにきてくれるってわかっていて、ちゃんと待てますよ。お母さん心配しないでいいんですよ」
先生の言ったとおり、翌日の朝も娘は泣いてしまうことになるのですが……保育園初日は今でも忘れられない思い出です。
子どもを預けて行くときの後ろ髪引かれる思いやお迎えで子どもの姿を見てほっとする気持ち、いろいろな気持ちを抱えながら、みんな仕事をがんばっているのだなあ、と思います。ママは仕事をしていても、家事をしていても、いつも精一杯ですが、子どもにもそんなママの一生懸命さが伝わっているのではないでしょうか。
文・野口由美子 編集・山内ウェンディ