10歳息子、突然「ピアノを習ってみたい」と言い出した。やらせるべき? 遅すぎる?
筆者は音楽大好き、です。幼稚園の頃からピアノを習って、学生時代も音楽漬けでした。一方、夫は音楽を聴くのは好きなようですが、あまり関心はないみたいです。そして、息子は小さな頃から外で走り回ってばかりの、運動好き。
息子にも楽器に触れる機会があれば興味を持つかも、と5歳くらいから思い折に触れては
「やってみない?」
と誘うものの、楽器の体験レッスンは本当に「体験」だけで終わり。本人は全く興味がないようでした。
スポーツ少年が突然「ピアノやりたい」
そんな息子が10歳過ぎて、相変わらずテニスやサッカーに、とスポーツに忙しい生活を送っていましたが、ある日突然
「ぼくピアノ習ってみたいな」
とぽつりと言いました。
「ええ! 本当!?」
筆者はうれしかったのですが、内心は
「10歳でピアノはもう遅いのでは…」
という思いもよぎりました。
本物のピアノでなくて電子ピアノでも用意するのにお金がかかるだろうし、ピアノの先生は10歳で譜面も読めない息子をちゃんと受け入れてくれるのかな、といろいろ不安もあります。
本人の強い動機もなく、不安なママ
とりあえず、息子自身の意志を確認しようと話を聞いてみると、どうやら、息子の友達の男の子は自分以外ほぼみんなが何か楽器を習っていて、特に仲の良い2人の子がピアノを習っているらしく、自分もやってみようかと興味を持ったようでした。
筆者の住んでいるオランダでは、学校の音楽の授業で、楽器や譜面の読み方などをほとんど教わらないので、習い事で楽器を習うのは必須なのかと思ってしまうくらい、習い事が盛んです。なので息子の話はそれほど誇張しているわけではなさそうです。でも、
「動機としては弱いなあ…」
と筆者は心の中で思ってしまいましたが、他の習い事も、なんとなく、本人がやってみたいと言ったから、とか、たまたま誘われたから、とか、気軽な気持ちで始めているのでピアノだけダメ、と言うのも変です。
「 じゃあ、ママはピアノの先生と家に置くピアノを探すね」
ピアノの先生を見つけるために、ピアノを習っていそうな子のママ友に片っ端から質問メッセージを送り続け、ちょうど男の子ママの勧める先生に受け入れてもらえることになりました。電子ピアノも運良く他のママ友が譲ってくれることになり、家に電子ピアノも揃いました。
予想以上にレッスンは楽しく
全くの初心者の息子でしたが、レッスンを始めてみると、やはり幼稚園や小学校低学年の子よりも指先が器用に動くようでした。片手だけで弾いていると思ったらすぐに両手で弾く曲を練習するようになっていて、先生も
「しっかり弾けているよ! どんどん進めていこうね」
という感じで、息子のチャレンジ精神を刺激してくれて、始めて3ヶ月後の発表会にも出させてもらえることになりました。
せっかくレッスンを受けるのだから、親としては子どもに上手くなってもらいたいもの。家で筆者は
「毎日練習しなさい!」
と言いたくなるのですが、とりあえずガマン、様子を見ていると、息子は5分だけだったり、先生の課題は無視したり、かなりムラはあるのですが、毎日のようにピアノに触れています。まだ始めたばかりだからかもしれませんが、ピアノの音を鳴らすのが純粋に楽しいようです。
息子がピアノを始めてよかったと思うこと
まだまだきちんとした曲を弾けるようにはなっていませんが、子どもがピアノを弾いている音が聴こえてくる生活は筆者にとって、とても新鮮。息子といろいろなピアノ曲の演奏を聴くようにもなり、筆者にとっても今まで経験したことない楽しみができました。
もちろん、この程度ではプロのピアニストになれるわけでもないですし、息子がピアノをいつまで習い続けるのかさえわからりません。でも、息子の様子を見ていて、芸術でもスポーツでも、いろいろな趣味の楽しさを少しでも知ることができたら、習い事としては十分かも、と思うようになりました。
どんな習い事をさせるのがいいか、何歳から習わせるべきか、迷ってしまうパパやママも多いかもしれませんが、習い事でお子さんの世界が広がっていくといいですね。
文・野口由美子 編集・横内みか