「幼児教育無償化・高等教育無償化の具体策」が確定!年齢・対象施設・世帯年収・金額の上限などをおさらい
幼児教育無償化の導入が予定されている2019年10月まで残り1年を切った2018年の年末に、幼児教育無償化を含めた「教育無償化」に関するニュースがありました。それは、以下の通りです。
『幼児教育と保育の無償化をめぐって、政府は関係閣僚会合を開き、法整備に向けた方針を決定しました。再来年4月から実施される高等教育の無償化についても法整備に向けた方針が固まりました』
ようやく幼児教育無償化・高等教育無償化の実現に向けて動き出した実感を感じた方もいるのではないでしょうか。
では、幼児教育無償化について、まずはおさらいしておきましょう。
幼児教育無償化制度のおさらい
では、2018年12月28日に文部科学省より発表された資料をもとに幼児教育無償化についておさらいしていきます。
幼児教育無償化制度の対象の年齢・対象の施設・世帯年収や無償化の金額の上限
幼児教育無償化の対象となる子どもの年齢は3歳から5歳
幼児教育無償化の対象となる子どもの年齢は、3歳から5歳となっています。0歳から2歳までの住民税非課税世帯の子どもも対象です。
幼児教育無償化は世帯年収に上限がない
3歳から5歳の子どもがいるすべての世帯が幼児教育無償化の対象となる世帯です。無償化に世帯年収の上限は設定されていません。
幼児教育無償化の対象となる施設は、公立の幼稚園・認可保育所・認定こども園・企業主導型保育所など
どこまで幼児教育無償化の対象となるのかについては、子どもが通う施設によって異なります。公立の幼稚園、認可保育所、認定こども園、企業主導型保育所などの施設の利用料は一律で無償化されるようです。
利用料をみずから定めている私立幼稚園と預かり保育は上限の設定がある
ただし、施設の利用料をみずから定めている私立幼稚園の一部については無償化の上限金額が2.57万円と決められています。預かり保育については自治体が保育の必要性を認めていれば施設利用料の上限2.57万円を含めた3.7万円までが無償化の対象となります。
(例)私立幼稚園の預かり保育の計算式
つまり、一部の私立幼稚園において預かり保育が無償化になる上限金額は、
3.7万円 ― (保育料の無償化上限金額である)2.57万円 = 1.13万円
となります。
認可外保育施設に通う子どもについても上限3.7万円までは幼児教育無償化の対象となります。ただし認可外保育施設が、認可外保育施設としての届け出を出し、国が定める指導監督の基準を満たしている必要があります。国の指導監督の基準を満たしていない認可外保育施設は、5年の猶予期間のあいだに指導監督の基準を満たさなければ6年目以降は幼児教育無償化の対象とはなりません。
住民税非課税世帯が受けられる幼児教育無償化の内容とは
住民税非課税世帯の子どもは0歳から2歳も幼児教育無償化の対象となります。その際の上限金額は4.2万円となっています。さらに自治体の認定を得て認可外保育施設を利用する場合でも上限4.2万円までは無償化の対象となります。
幼児教育無償化でも無償にならない”給食費”について
幼児教育無償化の対象となるのは、施設の利用料(保育料)や預かり保育の費用のみです。施設の利用料や保育料が無償化の上限(2.57万円)に達していないとしても給食費は実費で負担することに決まりました。
これまで副食費が保育料に含まれていたケースについても副食費は保育料から除外され、実費負担となります。ただし、生活保護世帯については実費負担の必要はありません。
高等教育無償化の内容とは?対象の世帯年収と上限額について解説
幼児教育無償化が2019年10月から先行して実施されます。続いて高等教育についても無償化されることになりました。高等教育とは大学・短期大学・高等専門学校・専門学校のことです。
3歳から5歳の子どもをもつすべての世帯が幼児教育無償化の対象となるのに対し、高等教育無償化は対象となる世帯の年収が細かく設定されています。
住民税非課税世帯(年収270万円未満)
国公立の高等教育を受ける場合
大学の入学金約28万円と授業料約54万円が全額無償化の対象となります。
短期大学の入学金約17万円と授業料約39万円が全額無償化の対象となります。
高等専門学校の入学金約8万円と授業料約23万円が全額無償化の対象となります。
専門学校の入学金約7万円と授業料約17万円が全額無償化の対象となります。
私立の高等教育を受ける場合
大学の入学金約26万円と授業料約70万円が全額無償化の対象となります。
短期大学の入学金約25万円と授業料約62万円が全額無償化の対象となります。
高等専門学校の入学金約13万円と授業料約70万円が全額無償化の対象となります。
専門学校の入学金約16万円と授業料約59万円が全額無償化の対象となります。
年収270万円以上年収300万円未満の世帯
年収270万円以上年収300万円未満の世帯では、住民税非課税世帯を基準として入学金も授業料も3分の2がそれぞれ無償化の対象となります。
国公立の高等教育を受ける場合
大学の入学金約18万円と授業料約36万円が全額無償化の対象となります。
短期大学の入学金約11万円と授業料約26万円が全額無償化の対象となります。
高等専門学校の入学金約5万円と授業料約15万円が全額無償化の対象となります。
専門学校の入学金約5万円と授業料約11万円が全額無償化の対象となります。
私立の高等教育を受ける場合
大学の入学金約17万円と授業料約46万円が全額無償化の対象となります。
短期大学の入学金約16万円と授業料約41万円が全額無償化の対象となります。
高等専門学校の入学金約8万円と授業料約46万円が全額無償化の対象となります。
専門学校の入学金約10万円と授業料約39万円が全額無償化の対象となります。
年収300万円以上年収380万円未満の世帯
年収300万円以上年収380万円未満の世帯では、住民税非課税世帯を基準として入学金も授業料も3分の1がそれぞれ無償化の対象となります。
国公立の高等教育を受ける場合
大学の入学金約9万円と授業料約18万円が全額無償化の対象となります。
短期大学の入学金約5万円と授業料約13万円が全額無償化の対象となります。
高等専門学校の入学金約3万円と授業料約7万円が全額無償化の対象となります。
専門学校の入学金約2万円と授業料約6万円が全額無償化の対象となります。
私立の高等教育を受ける場合
大学の入学金約9万円と授業料約23万円が全額無償化の対象となります。
短期大学の入学金約8万円と授業料約20万円が全額無償化の対象となります。
高等専門学校の入学金約4万円と授業料約23万円が全額無償化の対象となります。
専門学校の入学金約5万円と授業料約20万円が全額無償化の対象となります。
高等教育無償化の一環で拡充された給付型奨学金。対象世帯はひろがり支給額は増える
拡充される前の給付型奨学金の仕組み
独立行政法人日本学生支援機構のホームページによると、給付型奨学金の申し込み資格は「3種類」あります。
1.住民税非課税世帯
2.生活保護世帯
3.18歳時点で児童養護施設に入所しているなど社会的養護を必要とする人
上記に加え、学業が優秀であることなど厳しい条件が設定されているのです。給付型ということは将来、返還をしなくても良い前提なのです。支給される金額は以下のようになっています。
拡充された給付型奨学金の仕組み
日本学生支援機構を通じて支給される給付型奨学金が2020年4月から拡充されることになるようです。拡充される前の金額は1ヶ月当たりの支給額であり、拡充後の支給額は年額表示となっています。
給付型奨学金の申し込み対象世帯年収は「380万円未満」まで
拡充される前の給付型奨学金の申し込み資格が緩和され、世帯年収380万円未満までとなりました。また、支給額も増加しています。幼児教育無償化のようにすべての世帯が対象ではないものの、大きな一歩といえるのではないでしょうか。
拡充された給付型奨学金を受けられる住民税非課税世帯(年収270万円未満)の支給額とは
国公立の大学・短期大学・専門学校に自宅から通う場合、約35万円、自宅外から通う場合は約80万円が支給されます。
私立の大学・短期大学・専門学校に自宅から通う場合、約46万円、自宅外から通う場合は約91万円が支給されます。
国公立、私立問わず高等専門学校に通う場合は、大学に通う場合と比べて、5割から7割が支給されることになっています。
拡充された給付型奨学金を受けられる年収270万円以上年収300万円未満の世帯の支給額とは
日本学生支援機構を通じて支給される給付型奨学金については、入学金や授業料のケースと同様に住民税非課税世帯の3分の2が支給されます。
国公立の大学・短期大学・専門学校に自宅から通う場合、約23万円、自宅外から通う場合は約53万円が支給されます。
私立の大学・短期大学・専門学校に自宅から通う場合、約30万円、自宅外から通う場合は約60万円が支給されます。
国公立、私立問わず高等専門学校に通う場合は、大学に通う場合と比べて、5割から7割が支給されることになっています。
拡充された給付型奨学金を受けられる年収300万円以上年収380万円未満の世帯の支給額とは
日本学生支援機構を通じて支給される給付型奨学金については、入学金や授業料のケースと同様に住民税非課税世帯の3分の1が支給されます。
国公立の大学・短期大学・専門学校に自宅から通う場合、約12万円、自宅外から通う場合は約53万円が支給されます。
私立の大学・短期大学・専門学校に自宅から通う場合、約30万円、自宅外から通う場合は約30万円が支給されます。
国公立、私立問わず高等専門学校に通う場合は、大学に通う場合と比べて、5割から7割が支給されることになっています。
2020年4月から、すでに高等教育を受けている途中の生徒も無償化の対象となる
2020年4月から高等教育無償化が実施されます。実施後はすでに高等教育を受けている途中の生徒も無償化の対象となるのです。
ただし、留年している場合は無償化の対象とならないこともある、とのことです。高等教育を受けたい、と願って入学したからには勉強を怠らないように、とのことでしょう。
さらに、保護者の経済環境が急変したことなどにより高等教育無償化の条件をとなった場合には、無償化の対象となるということです。
すすむ幼児教育無償化・高等教育無償化。少子化は解消されるのか
2019年10月からは幼児教育無償化が、2020年4月からは高等教育の無償化が実施されることになりました。幼児教育無償化の対象となる子どもをもつ世帯にとっては待ちに待った制度ということになるのでしょう。しかし、幼児教育無償化の対象となる子どもをもつママたちからは、世帯年収で無償化に制限がある大学について全面的な無償化を希望する声もあります。
「教育無償化」が実施されたあとの出生率や高等教育への進学率がどのように変化していくのか、数年をかけて経過を見ていくことになるでしょう。