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子育てに”失敗”はない。大事なことは失敗からどれだけ学べるか


「子どもを幸せにしたかったら、まずは親自身が幸せを実感できるようになること」と語るのは、慶應義塾大学大学院で「幸福学」の研究を行う前野隆司先生。前野先生自身の育児体験から学んだ「幸せな子どもを育てる方法」について、お話を伺いました。

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「3歳まで母親が育てることが大事」の本当の意味は?

「子育ては3歳までが大事」という3歳児神話。よく巷で「3歳までは母親と一緒にいないと愛情不足になる」という話もありますが、本当の意味はそうではありません。子どもは、親からの虐待を受けるなどとつらいことがあると、すごくよく覚えています。とくに3歳までというのは、記憶に深く刻まれやすいときだからこそ、なるべく愛情を与えることが大切だよ、という話です。

よく働いているママで「私は子どもと一緒にいてあげられないから、だめな親だ」と思う人もいますが、そんなことはありません。ママは朝の短いひと時に抱きしめて、子どもは保育園でも健全に過ごすことが大事です。接する時間が短くても、子どもがのびのび元気に過ごせているならば、全く問題ありません。

逆に、子どもと一緒にいても「ダメでしょ!」と怒ってばかりいるのは、お互いにとってストレスです。プロの保育士さんに預けた方が、子どももママも幸せな場合もあると思います。自宅にいる短い間で愛情を与えて、あとは保育園に任せる。欧米ではこれが一般的です。それによって、多くの欧米人は、日本人よりも自己肯定感が高い大人になっていくのです。自立を促すという意味では、むしろ預けた方がいいかもしれません。

親の愛情は「量より質」が大事

僕自身のことでいえば、子どもと接する時間は非常に短かったため、いつも顔を合わせたときに「かわいいね!」「いい子だね」「愛してるよ!」と伝えていました。僕が帰ってくる時間には子どもたちは寝ています。子どもと顔を合わせる時間は、朝ごはんのときくらい。そんな生活は、子どもたちが大学生になるまで続きました。

おかげで子どもたちはとてもいい子に育ったし、子どもも「お父さんが、ちゃんと僕らのことを育ててくれているのはわかっている」と言ってくれます。そのことからも、愛情は時間の長さとは比例しないといえます。愛情は、量より質です! 単身赴任しているお父さんだって「一緒に住んでいないけれど、お父さんはみんなのためにがんばってくれているよ」と伝えておけば、子どもには伝わります。

ママは毎日の子どもの成長を、パパは子どもの人生を考える

できれば、パパとママがうまく役割分担できるといいですね。たとえば、ママは毎日の子どもの健康や安全について考え、パパは子どもの人生について考える。基本的には、大きな愛情で包むことができていれば、どんなやり方でも大丈夫です。しかも、これは3歳までの話ではありません。僕が研究している「幸福学」(※)から考えると、大人は70歳になっても100歳になっても育ちます。人生100年としたら、100年間育ち続けるのです。

(※)「幸福学」とは、人が幸せを感じる仕組みを心理学や統計学を用いて科学的に研究する学問

失敗をしても学べる子どもに育てておけばいい

実は、うちの母親はどちらかというと過保護で、いつも僕に「ハンカチ持った?」「どこにいるの?」と、持ち物チェックをしたり、心配してすぐに電話をかけてくるようなところがありました。自分でできることまですべて母親が先回りして用意してくれるため、友達の家に行って挨拶できなかったりして、恥をかくこともありました。母親は「自分の育て方が悪かった」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。当時の僕はその失敗から学ぶことがたくさんありました。だから、失敗をしても、失敗から学べる子どもに育てておけばいいんですよ。

子どもは親の感情にものすごく敏感

子どもを幸せにしようと思ったら、まずは親が幸せであることが大事。「子どもにかわいそうなことをしてしまっている」と思うと、子どもはそれを敏感に感じてしまいます。親は仕事に家事にとあちこちを見ているけれど、子どもは親しか見ていないのです。だから、親の変化にはものすごく敏感です。親が悲しんでいる、うしろめたく思っている、愛してくれているなど、すべてを敏感に感じ取っています。

「ママはあなたのためを思って働いているのよ」

働くママは、「仕事で忙しくて子どものことを見てあげられない」「休みの日もどこにも連れて行ってあげられない」と気にしがちですが、それは気にしなくても大丈夫。「ママは、あなたのためを思って働いているのよ」と、堂々と誇りをもって伝えてあげてください。そうしたら子どもだって「ママ、ありがとう」と思いますよ。

「お母さんは働いていて不十分なところもあるけれど、あなたは伸びる子だから大丈夫よ」といっておけば、子どもは「よし、自分は伸びる子だ」となるわけです。それでいいと思います。全部をやってあげなくても、愛が100%ならだいじょうぶ。もしかしたら、子どもにやってあげられることは10%かもしれませんが、それでもいいのです。

 

取材、文・間野由利子 編集・しのむ イラスト・nakamon

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