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アドラー式子育てってどんなもの?子育ての「目標」を持って“ブレない軸”を手に入れよう #アドラー式子育て術から学ぶ

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子どもが思うように動いてくれない、兄弟ゲンカばかりする、子どもを怒り過ぎてしまう自分に自己嫌悪……日々子どもと向き合うママたちの悩みは尽きません。育児のほかにもやるべきことは多く、余裕のなさから感情的に子どもに接してしまう場面も少なくないのではないでしょうか。そんなとき、アドラー心理学の考え方を取り入れることで、悩みの多い育児が少しでもスムーズに、楽しいものになるとしたら……知りたくはないでしょうか?

書籍『嫌われる勇気』で一躍話題となったアドラー心理学は、子育てにおいても活用できます。アドラー式子育て術の学習グループを主宰し、『3歳からのアドラー式子育て術「パセージ」』の著者である岡山恵実さんと清野雅子さんに、アドラー式の子育てについてお話を伺いました。

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 子育ての「目標」を持つと、自分の中に“ブレない軸”が手に入れられる

——アドラー心理学について教えてください。

清野さん:アルフレッド・アドラー(1870-1937)はオーストリア生まれの精神科医で、彼の考え方を元に発展した心理学をアドラー心理学と言います。彼は軍医として第一次世界大戦を経験して、戦争の悲惨さに衝撃を受けました。そして育児と学校教育こそが、暴力を使わない問題解決や良い人間現関係、良い社会を作ると考えて、育児と教育について熱心に取り組み始めたんですね。そこで世界で初めて、ウィーンに児童相談所を作って親や教師、子どもの相談に乗りました。こうしてアドラーは独自の理論と療法を整えることを始めたんですが、その後アドラーの後継者たちが理論や療法を発展させて、現在に至ります。

——アドラー心理学を育児に取り入れると良いところはどんなところでしょうか?

岡山さん:たくさんの育児本が出ている中で、例えば怒らない、叱らない育児方法とかいっぱいあると思うんですが、結局一時の対処法に留まっているなと考えていて、アドラー心理学に基づく育児プログラム「パセージ」というものがわかると、どこに向かって子育てしていけばいいのかという目標、つまり“ブレない軸”が手に入れられると考えています。まずは、子ども自身に「私は能力がある」、「人々は自分の仲間だ」という信念、心を持ってもらうために、育児していこうという心理面の目標が一つです。もう一つは、心が育った上で「自立する」、「社会と調和して暮らせる」ことができる大人になってもらおうという行動面の目標です。

これらの目標に向かっていくときに、親や子どものいい面を意識的に探すという練習もしていきます。パセージを親が実践することで親も子も変われる、そういうことが期待できると思います。

子どもの信念を育てる「勇気づけ」

——子育ての目標に向かって具体的にどうすればいいのでしょうか。

岡山さん:「私は能力がある」、「人々は自分の仲間だ」という子どもの信念を育てるために私たちが援助することを「勇気づけ」と言っています。子どもに勇気がある大人になってほしい、反対を言えば臆病な人になってほしくないと考えているんです。

自分のことを自分でできるとか、社会と調和して暮らせるとか、これをするとみんなにも良いと考えて自ら行動ができるようになるためには、まず「自分はダメだ」と考えていたり、「自分のことが好きじゃない」と思っていたりすると、相手のために行動できませんよね。まずは「自分は能力がある」ということを子どもに感じてもらいたいんです。

だからそのためには、「あなたこれができないわね」と子どもができないところを指摘するとか、何か失敗をした際に「余計なことをして!」と失敗を咎めるような声かけをしていると、子どもは「自分はダメなんだな」と思ってしまい、その結果自分が嫌いになったり、自信がない子どもになってしまいます。自信がないから臆病になって、その結果誰かに依存してしまう、自立しようとしなくなってしまうんですよね。まずは親が育児していく上で、自分には目標があると頭に置いて対応していくということなんです。

親が見守ることも「勇気づけ」のひとつ

岡山さん:親が子どもを援助するということもありますが、逆に子どもが自分で挑戦して何かできたら「自分に能力がある」と思えますよね。積極的な援助もあれば、親が子どもを信頼して見守っていたら「自分には能力がある」と思う場面もあるので、「こういう対応をしていると子どもは私は能力があると感じるかな、家族は私の仲間だと思うかな」と日々考えながら子どもと接することが大切です。

——忙しいママたちは、子ども自身にやらせる時間やじっくり待つことが難しい場合もあります。そんなときはどうしたらいいのでしょうか?

清野さん:完璧を目指さないことはすごく大事だと思います。余裕があるときに、子どもに自分でやってもらうように少し意識してみるとか。ほんの少しでも、親が無理なくできるところから、子どもに「自分は能力がある」「親は仲間だ」と感じてもらえる対応をやってみることは大事なことだと思います。

親は完璧じゃなくていい、失敗してもいい

——アドラー心理学に基づく育児を実践してきて感じたことを教えてください。

岡山さん:以前は私が子どもをしっかり育てなきゃと思ってたんですよ。でも「パセージ」に出あって親子で育つことを知って、ありがたかったです。この子は私がいなきゃだめなんだ、私がしっかりしなきゃだめなんだってすごく思ってたんですが、子どもが10歳ならあなたの親年齢は10歳よねって言われて。親子で育つというのが「パセージ」だから、親も失敗してもいい。親は全知全能じゃなくてよくて、ある物事が起きたら子どもと一緒に考える、それが結局は子どものためになるということを、ぜひお伝えしたいです。

清野さん完璧を目指さないってすごく大事だなって思います。「パセージ」では子どもを勇気づける練習をするんですけど、 親自身も自分の勇気づけがだんだん上手になってくるんです。どうしても私たちはできないところを見がちじゃないですか。でも練習すると子どものできているところを見ることができると同時に、自分のできているところを見つけることができるようになるんです。そうしたら自分のことをだんだん好きになってくるし、自分のことが好きになってくると相手のマイナスのところも好きになってくると思うんです。完璧を目指さないということと、当たり前の中にたくさんある、できて当たり前と思っているところをたくさん数えて、自分自身の勇気づけの力を培っていくと、育児も楽しくなると思います。

『3歳からのアドラー式子育て術「パセージ」』

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著者:清野雅子、岡山恵実
出版社: 小学館
定価:1404円(税込)

 

取材、文・山内ウェンディ 編集・木村亜希

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