「学習習慣」を身につける前にやるべきことは?
「何時になったら宿題に取りかかるの!」「いつになったらお片付けするの?」。言葉で言っても動かない子どもにイライラして、結局はママ自身が片づけるハメに……。一度このサイクルに入ってしまうと、なかなか抜け出せません。こんなときはどうしたらいいのでしょうか。花まる学習会の進学塾部門、スクールFC 代表の松島伸浩先生にお話を伺いました。
片付けない、宿題をしない。負のループにハマる原因は……
子どもが遊んだあとになかなか片付けない、なかなか宿題に取りかからないとお困りのお母さんたちは多いと思います。つい「早くやりなさい!」といってしまうところですが、これはかえって子どもに片付けや勉強を嫌なものと認識させてしまうことになります。
あげくの果てに、お母さん自身が「もう!」といいながら、散らかったおもちゃを片付ける。カバンから連絡帳を取り出し、宿題を確認して、ノートと鉛筆を用意して、無理やりやらせる。これを続けていると子どもは片付けない、宿題をやらないループに入ります。
まずは生活習慣の見直しから始めること
こんなときは、まず生活習慣の軸を見直すことが大切です。何時に食事を食べ、何時にお風呂に入るか、生活の軸となることの時間を決めることが大切です。その軸の中で、子ども自身がやるべきこと、お父さんお母さんがやるべきことが決まります。たとえば、毎日、食事は夕方7時からと決まっていたら、お母さんは6時半から食事の支度をする。お父さんはお風呂の掃除をする。子どもは宿題をやる、食事の前まで遊び、時間になったら片付けると決めておくのです。
つまり、生活の軸をしっかりと定めることで、子ども自身が「次は何をやる時間」なのかが明確になり、それによって遊んだあとにおもちゃを片付けたり、自分から机に向かって宿題を始めたりすることが当たり前の雰囲気になっていくのです。
毎日の時間軸が変わったら習慣化しづらい
小学校に入学したての子どもであれば、慣れない学校生活で寝る時間が極端に早くなったり、疲れてすぐに宿題に取りかかれないこともあります。日々あわただしい時間が過ぎていくだけのときもありますが、徐々に学年が上がっていくなかで、生活の時間軸に合わせて、「ここは、あなた自身がやるべきことよ」というのを示していくのです。それを決めずに、毎日食事の時間やお風呂の時間が変わってしまったら、何事も習慣化しづらくなります。規則正しい生活リズムの中で、「勉強は何時からやるもの」というように学習習慣も身についていくのです。
小学校低学年のうちに生活習慣を身につける
勉強も生活の一部です。最初から学習習慣を身につけようとするのではなく、まずは生活習慣を見直しましょう。低学年のうちでも、自分でできることは自分でやるように導いてあげてください。もちろん、いっぺんにできるようにはなりません。小さなことから一つひとつだんだんと身についていくのが習慣というものです。
取材、文・長瀬由利子 編集・山内ウェンディ イラスト・わたなべこ