「本当に宿題やったの?」。疑ってばかりでは子どもは成長しない
「宿題終わったの!?」「やったよ」「本当に終わったの? ちゃんとノートを見せなさい」。自宅で子どもとこんなやり取りをしていませんか? いわれたことをちゃんとやったかどうかいつも疑っているようだと、子どもはいつまでたっても成長しないといいます。花まる学習会の進学塾部門、スクールFC 代表の松島伸浩先生にお話を伺いました。
「宿題をやったけど家に忘れた」とウソをつく子ども
「うちの子、いわないと宿題を全然やらなくて。やったといっても、結局見たら口ばかりでやってなかったのよね。ちゃんと見張ってないと、すぐにズルするから」。こんなふうに嘆くお母さんがいます。こういうお母さんは、常に子どもの行動を疑いがちです。
「A君のところで勉強してきた」「本当にしたの? ちょっと電話して聞いてみようかしら」。まるで取り調べをするかのように、「やっていない」証拠集めをするのです。子どもからしたら、たまったもんじゃありませんよね。こうなったら「いかにやっていない証拠を残さないか」「うまく言い逃れられるか」ばかりに気がいき、宿題をやるのが憂鬱になってくるのです。
子どもが宿題をやっていないときは、「約束を守ってもらえなくて、とても悲しい気持ちになった」
塾の宿題をやってこなかったとき、どう対応しているのか。いろいろな方法はありますが、私は、子どもを信じてあげるということ大切にしています。子どもによっては「宿題をやったけど、家に忘れちゃって」「ノートを新しいのに変えたから、古いノートはもってきていません」という子もいます。普段の勉強の様子を見ていれば、それが本当か嘘かはわかります。しかし、そんなときも「そうなんだ。でも、うちの塾では“宿題は先生との約束です”という言葉があるよね。先生は、約束を破られてすごく悲しい気持ちになったよ。君もそうでしょ? 友達と約束をしていたことを破られたらいい気持ちはしないよね」という話をします。
「ルールを破ったことによって、先生は本当にがっかりしているんだよ」ということを伝えてあげる。子どもを疑うのではなく、約束を破ったことに対して自分がどう思うかを伝えていくのです。「なぜやってこなかったの?」と理由をきても、子ども自身がやろうとおもわなければ、何も解決はしません。
宿題をやらないことを責めるよりも、やってくる日を待ち続ける
私としては、宿題をやってこなかったことを責めるよりも、どうしたら次につながるかということを常に心がけています。何度か約束を破られたとしても「いつかはやってくれる」と思って待っています。もちろんそれだけではなく別の方法も試みますが、その「いつか」がきたときに、ちゃんと子どもに言葉をかけてあげることが大切です。「今日はちゃんと宿題をやってこれたね。先生との約束を守ってくれてありがとう」と伝えます。子どもからしたら、「先生は信じてくれている」という気持ちになります。その気持ちにちゃんと答えてあげることが大事なのです。
取材、文・長瀬由利子 編集・山内ウェンディ イラスト・んぎまむ