いざとなったときの力をつけるために、0歳からの安全教育を #子どもを犯罪から守る
子どもを狙った犯罪が後を絶たず、親の不安も尽きない昨今。子どもたちを守るためには、「0歳からの安全教育が大切です」とおっしゃるのは、犯罪行動分析を専門とし、全国で安全教室を行う清永奈穂さんです。0歳からの安全教育とは、一体どのようなことなのでしょうか?
大事にされている実感が、いざとなったときの力になる
0歳からの安全教育といっても、0歳の子どもに「悪い人はね……」と伝えても伝わらないですよね。赤ちゃんのときには「私のことを大事にしてくれる人がいるんだ」というのをしっかり味あわせてほしいんです。子ども自身がすごく大事にされているなと感じることや、「お腹が空いた」「オムツ替えて」と泣いたときに「おっぱいあげるね」「オムツ替えるね」と言ったやりとりをするなど、普通のお母さんやお父さんが行っていることを大事にしてほしい。実はそれがいざとなったときの「助けて」「おうちに帰りたい」と言った力になるんです。
本当の優しさと偽の優しさの境がわかるようになる
0歳の頃から大事にされ、少し大きくなったときには「あなたは大事な子」と常に言ってあげると、「大事にされている私を大事にしなきゃ」と思えるようになります。そうすると、そういうお母さんとは違う声のかけ方、触り方、「優しそうだけどなんか違う」といった違いがわかるようになってきます。「お母さんは私がいやだって言ったらそれ以上しないのに、この人は私がいやだって言ってもしつこくしてくる」というように、本当の優しさとそうじゃない偽の優しさの境がわかるためには、お母さんやお父さんがお子さんを大事にすることがとても大事です。そんな「大事にされている私」だから、いざとなったら何としてでもお母さんのところに帰りたいという力をつけられるのです。
年長ぐらいからは自助の力を
集団生活に入る3歳頃からは、人間もいろいろな人がいるんだなとちょっとずつわかってきて、いい人ばかりじゃないということがわかってくる年齢ですよね。ですが、3歳と4、5歳とはだいぶ違って、3歳ぐらいまではよくわからず、「イヤ」というのもなかなか言えませんので、そういう子は目を離さない、手も離さないという必要があります。4、5歳になって自立心も出てきた頃から、「イヤなときはイヤと言っていいんだよ」と少しずつ伝えてあげて、嫌なことに対して抵抗する自助の力をつけることも大切です。
犯罪に関することで言えば、具体的な行為を伝えてあげることが大切です。水着で隠すようなところを触ってくるとか、お母さんがいないところで写真を撮らせてと言ってくる人には、「いや」「やめて」と言っていいということを、少しずつ教えてあげるといいですね。
取材、文・山内ウェンディ 編集・横内みか