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初めての赤ちゃんに疲労困憊、当時の私に渡したいもの

私が初めての出産を経験したのは8年前のこと、今思い出しても、初めての出産、赤ちゃんの世話、ママになって初めてだらけの生活は、いつも余裕がなくていつも一生懸命で、なんだかとても大変でした。

母乳育児や赤ちゃんの体重変化、寝かし方や体のふき方、今にして思えばそんなにこだわる必要あったの? と思うような小さなことでも、すごく頑張っていました。世話の仕方で実の母とのケンカもしょっちゅうだったような気がします。初めての自分の子どものことで頭がいっぱいで、余裕なんてありませんでした。

過ぎてしまえば、あの大変さも懐かしい、なんて言えるのかもしれません。でも、私がもし当時の自分に会えるならば、1つだけ渡したいものがあります。

それは私がオランダでもらった母子手帳です。私は2人の子どもを出産した後にオランダに引っ越して保健師さんからもらったのですが、これを知っていたらもっと違っていたかもしれません。

オランダの母子手帳に何が書いてあるの?

産まれてから3か月までの赤ちゃんについて書かれたページ。出産後に最初に開くこのページにはこんなことが書かれています。

初めての赤ちゃんが生まれると、あなたの生活は完全に変わります。赤ちゃんの世話に疲れきって、自分の時間がまったくなくなってしまったように思えることもあるでしょう。もちろん、だからといって自分が楽しんでいたことを全部あきらめなくてはならないわけではありません。時々は赤ちゃんの世話を家族や友人に頼むことをためらう必要はありません。ほんの少しの時間でも自分の時間を持てれば、親がリフレッシュして元気に子育てできるのです。

産まれてまだ間もない赤ちゃんを他の人に預けるなんて! 当時の私は考えたこともありませんでした。病院に行くとか、特別な事情がないと一人で出かけることはありませんでしたし、せいぜい気分転換として、一人で美容院に行くくらいでした。

2人目の子を出産して気が付いたのですが、親の気持ちに余裕があるかどうかで赤ちゃんの様子はだいぶ違うようです。親に余裕がないと赤ちゃんは不安なのです。不安でよく泣いて、どうしたらいいのかわからずオロオロするママ、余計不安になり泣き止まない赤ちゃん、という悪循環だったように思います。

赤ちゃんの世話を頼むなら?

では、もし赤ちゃんのお世話を誰かに頼むとしたら誰に頼みますか。

休日、夫に頼むことを思いつく方もいるかもしれません。私も、たぶん一番最初に思いつくと思います。でも、実はオランダの母子手帳は、

あなた(母親)とパートナー(日本だったら通常は夫、ですね)も赤ちゃんの世話で自分の時間どころではなくなっていることでしょう。

と、実は夫も世話を「頼みたい」側になっています。子育ての環境はオランダと日本で違いますが、夫婦2人で妊娠期間から出産、赤ちゃんの世話にも参加することが、その後においても、子どもの人生によりよく関わっているという感覚につながっていくのだそうです。日本だったら、パパにもっと赤ちゃんの世話を分担してもらうのはいい考えかもしれません。

でも、シングルマザーだったらどうでしょうか。

もしあなたがひとり親だったら、あなた自身の時間を持つことは一層重要な意味を持つことになるでしょう。

とオランダの母子手帳には書いてあります。シングルマザーでも自分自身を大切にすることを忘れてはならないのです。

自分や夫の両親や兄弟を思い浮かべる人もいるかもしれません。オランダでも現実的な選択肢のようです。小さな赤ちゃんだけでなく、学校に入学する前の子の面倒はじいじとばあばに、というのはよく見る光景です。

実家が遠くて頼めない人は、友人同士で、という手もあります。日本でこんな話を聞きました。出産で病院に入院している間にできた友人や、健診で知り合いになった人同士、3人くらいで、1回2時間くらい、赤ちゃんを預け合うそうです。その間預けている人は外で自由に過ごし、気分転換して戻ってきます。私自身はそんな友人が近くにいませんでしたが、同じ赤ちゃんがいる人同士の助け合いも心強いのではないでしょうか。

自分だけではない、みんなで子育て。助けてもらえると自分も人に優しくなれます。そんな優しい気持ちで赤ちゃんとの生活を始められたら、と思います。

 

文・野口由美子 イラスト・んぎまむ

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