気づかずに子どもをひいきしていた……もしかしたら私、「毒親」かも?
「自分のお腹から生まれてきたわが子は、上の子も下の子も、みんなかわいい」
きょうだいみんなを大切に思うのは当然。同じ親から生まれてきた子どもたちでも顔も性格も違って、それぞれかわいいもの。筆者には上に男の子と下に女の子がいますが、2人とも全く違う性格、どちらもかわいいわが子だと思っていました。
「親が子どもをひいきするなんてあり得ない!」
と思っていた筆者ですが、実は自分はきょうだい差別をしているかも、と思ってしまったことがあります。
学芸会での息子の姿に涙、娘の時は?
学校の学芸会で、息子は初めてセリフをもらった時のこと。3単語だけで、それも一人でではなく、同じ役の子と一緒に言うセリフです。簡単な脇役といってしまえばそれまでですが、それでも本番に舞台上の息子の姿を見ただけで、涙が出ました。
息子が1歳の保育園でのおゆうぎでも泣いていた筆者だったので、子どもができてからは涙腺が弱くなるばかりです。
今年は下の娘が当時の息子と同じ学年になり、劇で役をもらってきました。セリフは3つ、しかし一人で言うセリフで、どれも長い。息子より大役をもらったみたいです。
家でもひとりでよくセリフの練習をしていて、娘はがんばっていました。しかも本番は難なくセリフも言えて、いつもは引っ込み思案の娘が一生懸命やっていることがすごくよくわかりました。
でも、それを見ていて涙は出ませんでした。
感動するよりむしろ、
「今のセリフもうちょっとゆっくり言えたらいいんだけれど」
「手持ち無沙汰になった時に自分の髪の毛触るのやめてほしい!」
心の中ではいつの間にか、客席から娘を批判的に見ていました。
娘のがんばりに感動しない親?
涙もろくなったはずなのに、思い返してみると、娘がしたことに感動して泣いたことがあまりなかったかもしれない筆者。今まで気にかけたことさえありませんでしたが、自分は子どもに悪影響を与える毒親なのかも、と引っかかりを残しました。
下の娘は何でも2回目になってしまうから、感動も薄らいでしまうのかな、とか、同性の娘のことは、無意識のうちに息子より冷静に見てしまうのかも、とか、いろいろ理由を考えてみます。しかし考えれば考えるほど、自分は子どもたちを差別していた、と認めるしかないと思えてきました。
娘のわがまま、実は私のせいだったかもしれない
下の娘のわがままも、もしかしたらこういう筆者の気持ちに原因があるのかもしれない、思い当たる節もあるような。そんなふうにも思えてきます。「いつも自分のことを冷静に見ているママの気持ちをもっと自分に向けさせたい」と、娘自身も意識していないかもしれませんが、そんなことを感じているのかもしれません。そう考えると、親を困らせる娘のわがままっぷりも納得できてしまいます。
きょうだいで差をつけるのはよくないこと。わかっていても、つい上の子ばかりに手をかけてしまう、下の子を可愛がってしまう、子どもをひいきしてしまう。そうならないようにしたいものです。筆者は落ち込むくらい反省するしかありませんでした。
子どもたちみんなに、ママからの愛情を伝えられているか、時にはちょっと立ち止まって考えてみるのもいいかもしれません。
文・野口由美子 イラスト・んぎまむ