夫が妻に「20年越しのありがとう」を伝える。実在する夫婦のサプライズ動画からあふれる「ありがとう」のパワー
「ありがとう」
何気ない一言に聞こえるかもしれません。ですがこの言葉は私たちが想像するよりも、ずっと大きなパワーを持っています。
結婚をし、子どもが生まれ、毎日の生活やお互いの存在が当たり前になっていく中で「ありがとう」の言葉を伝えたり、伝えられたりする回数、減っていませんか?
妻、母親、主婦……、毎日いろいろな立場で頑張っていると、夫からの感謝の気持ちを求めてしまうことは、どうしたってあるはずですよね。
「『ありがとう』とただ一言言ってくれるだけでいいのに……。そうしたら、3日は笑顔で過ごせるのに」と思うときが、しばしばあります。
そんなモヤモヤを心の中に抱えていた筆者の心にふれたのは、こちらの「20年越しのありがとう」という動画。
わずか3分ほどのこの動画が、筆者に「ありがとう」の一言が持つパワーを再確認させてくれました。
とある家族のストーリー ~夫から妻へ「20年越しのありがとう」~
「今度さあ、ドライブ行かない?」
「いいけど?」
こんなちょっとした会話から始まった夫婦のドライブデート。車に乗って二人がやってきたのは、梅雨の鎌倉でした。紫陽花が咲く山道を「久しぶりじゃない? こういうところ来るの」と話しながら登っていきます。慣れない道によろける奥さんを、旦那さんがさりげなく手を繋いでエスコート。「俺がよろけちゃうよ。ほら君重心低いからさ」「うるさい」というやりとりも微笑ましいです。
山道を登っていくうち、奥さんの顔に驚きの表情が浮かびます。傍にしげる紫陽花の木々に、何かが留めてあるのに気がついた様子。「なにこれ!」と目を見張る奥さん。留めてあったのは、たくさんの写真でした。結婚式の二人、旅行中のスナップ、そして生まれたばかりのお子さんを抱っこする奥さんの姿……。そう、そこに写っていたのはすべて、大切な夫婦の思い出だったのです。
そして坂を越え、いよいよ二人は目的地にたどり着きます。そこに踊るのは「Welcome」「1997 6 20 Restaurant」の文字と、花が飾られ、食事の準備がされたテーブル。結婚20年目を記念するこの日のために、旦那さんが奥さんのために用意した特別なレストランがありました。
サプライズに動揺を隠せない奥さんに、背中を向けたまま語りかける旦那さん。
「いつも明るく『おはよう』って言ってくれてありがとう」
「おいしいご飯、土鍋で炊いてくれてありがとう」
「大雨の平和台球場で野球観てくれてありがとう」
「片っぽだけになった俺の靴下探してくれてありがとう」
「二人の大切な子ども、産んでくれてありがとう」
「俺の大好きな冷たい冬瓜の煮物、母さんから習って作ってくれてありがとう」
「母さんの最期、一緒に看取ってくれてありがとう」
「俺のかみさんになってくれてありがとう」
「ずっとずっと、ありがとう」
ぼろぼろと涙をこぼす奥さん。「これからもよろしくお願いします」という旦那さんの言葉に、声をあげて泣き出します。握手をし、号泣しながら抱き合う二人。
「ありがとう」と言われた妻の立場から感じる喜びと、夫の「ようやく伝えられた」という喜び……。
夫婦として過ごしてきた20年を考えると、本当はもっともっと多くの「ありがとう」があふれてくるのかもしれません。
でも、このシーンの中で旦那さんが伝えた9つの「ありがとう」こそ、このご夫婦が20年の間に築いてきた絆を感じさせるものでした。
実はこの動画は、実在するご夫婦の旦那さんが横浜トヨペットの協力のもと、長年連れ添った奥さまへのサプライズを企画し、20年間の感謝の気持ちを伝えるというドキュメンタリーなんです。
感謝を伝えた夫・好司さんと、感謝を受け取った妻・直美さんの出演の感想も一部ここでご紹介します。
夫・好司さん
「今年結婚20周年を機にこの企画に応募しました。
実のところ、20周年どころか結婚記念日さえもついつい忘れがちな20年間日頃の仕事の忙しさなどから、妻への感謝を怠っていた気がしておりました。とはいえ 今さら・・・みたいな感じでいたのです。
本当に久しぶりのドライブデート。この撮影を境に新たな気持ちでお互いを確かめ合えた気がします。」
妻・直美さん
「撮影日 少し緊張しながら現場に向かったところ、まさか、こんなサプライズが待っていると思いませんでした。
スタッフさん達が私とあまり目を合わせずなにか そわそわした感じ・・・。
なんだろうなと思っていたら、まさかのサプライズ。
毎日忙しく忘れていた20年間。ページをめくるように思い出すといつの間にか涙がとまりませんでした。20年間ありがとうそして毎日ありがとう。」
「ありがとう」を伝えられることは、こんなに嬉しい。
「ありがとう」を伝えることは、こんなに大切。
当たり前の日々をともに支え合う“夫婦”だからこそ、日頃からこの言葉の持つパワーを意識し、「ありがとう」を言うこと、言ってもらえることを大事にしていきたいと感じさせてくれる動画でした。
文・鈴木じゅん子 編集・伊東杏奈