「お手本はママ」女の子育児で気をつけるべきこととは?【花まる学習会 高濱先生】
小さいころからしっかりしている女の子。話は最後までしっかり聞くし、ママにいわれたことはきちんと守る。その姿は、まるで小さなママ。このままうまくいけば、友達のような仲良し親子となりそうですが、一歩道を踏み外すと、お互いにわかりあえない存在に。いつまでも仲のいい親子関係を築くためにはどんなことに気をつけたらいいのでしょうか。「花まる学習会」代表の高濱正伸先生にお話を伺いました。
小学5年生以降は「娘」ではなく「一人の女性」として接すること
女の子は基本的に強いし、生命力もあります。小さいときから大人で、いつもママのことやまわりのことを冷静に見ています。いつも先回りしてママのお手伝いをしてくれる反面、口も達者で、「ママ、いつもこう言ってるけど、できてないじゃん」といってくることもあります。ママからしたら、とっても頼りになる存在であると同時に、批判されてムッとすることもあるかもしれませんね。
ママと娘の関係で一番の心配は、思春期になったときです。そこで本当にうまくいくと、恋の話や学校の悩みなどなんでも相談しあえる仲になります。
では、うまくいくためにはどうしたらいいか。それは、小学5年生以降、「ママは、これからあなたのことを一人の女性として扱うから」と宣言し、実際にそう扱ってあげることです。具体的には、女の子が興味のあること、たとえば、ママが過去に何人の男性と付き合ったのか、どんな別れ方をしたのか、体のこと、下着のこと、男の子との付き合い方、別れ方、化粧の仕方など、全部話してあげるのです。いうならば、会社の新人OLが入ってきたくらいの気持ちで。その後輩に、人生のイロハを教えてあげる感じです。
人生の先輩・後輩として女同士のヒミツを共有
ママ「いい? あなたはもう大人だと思うから話すけど、パパとお兄ちゃんには内緒よ。ママね、実はお父さんと結婚する前に5人の人と付き合ったことがあったの」
娘「え!? 5人! うっそー。どういう人?」
ママ「そのうちの1人が野球部のキャプテンで、かっこよかったのよ!」
娘「えー!? そっちのほうがよかったじゃん。なんでパパと結婚したの?」
ママ「パパは優しかったから(笑)」
このように、具体的に話してあげるんです。女の子は、こういう話は大好きですからね。しかも、パパとほかの兄弟にヒミツとなったら、なおのこと喜びますよ。
ただ、これは女の子だから言っていいことであって、男の子には絶対に言わないでください。男の子はママのことを女神だと思っているので、「過去の男」の話なんかしたらショックを受けて立ち直れなくなりますよ(笑)。
うかつな一言が娘との仲を悪くする
母娘関係で失敗するときというのは、母親がいつまでも娘のことを「子ども」扱いするときです。たとえば「早く宿題をやりなさい!」「いつまで遊んでいるの!」「あなたのためを思っていっているのよ」こんなセリフを言い続けようものなら、娘はカッチーンときて、「うるさいから口出さないで!」と対立してしまう場合もありますからね。不要な一言は控えましょう。
叱るときのポイントは「厳しく、短く、あとをひかず」
女の子も男の子も、叱り方については一緒です。厳しく、短く、あとをひかず。叱ることの究極は、目です。目に力を入れてグッと睨むのです。さらに、声を普段よりも低くすること。これだけで動物としての風格が出るんですよ。「ママには絶対逆らえない」みたいな(笑)。
気をつけたいのが、「この前もあなたは○○してたじゃない」と過去を持ちだすこと。叱る事柄は、いま子どもがやったことに限ります。それさえ気をつければ、女の子は賢いから大丈夫です。男の子と比べると、女の子はいろいろ気を遣わなければいけないところもありますが、いい関係を築ければ最終的には強くて素晴らしい女性になりますよ。
取材、文・長瀬由利子