「男の子はカブトムシだと思え」。大らかな気持ちで見守ることが大切【花まる学習会 高濱先生】
男の子を持つママたち、公園に行くたびに棒を持って走りまわったり、高いところから飛び降りたりと、目が離せませんよね。なぜ男の子は、危ないことをしたがるのでしょうか?「男の子ってわからない!」と思うママ、必見です。男の子の育児について「花まる学習会」代表の高濱正伸先生にお話を伺いました。
「自分とは違う生き物」だと理解する
よくママたちから「男の子を育てるのは大変!」という話を聞きます。「話は聞かないし、常に棒を持ち歩いて危ない。汚いところは触る、危険なことばかりする」というのです。
私からしたら、「男の子だから、当然でしょ」と思うのですが、ママはいろいろと心配ですよね。それが原因で、イライラしているママも多いのではないでしょうか。
こんなときは、ママ自身が意識改革をすることが重要です。自分とはまったく違う生き物であると認識したほうが、お互いにイライラしなくてすみます。
たとえていうならば、男の子はカブトムシです。カブトムシはすぐに木に登るし、戦うし、ひっくり返ると手足をバタバタさせますよね。そんなカブトムシに向かって、「なんでまたそんな汚いところでひっくり返るの!」「また木にしがみついて!」なんていわないでしょ。
「男の子はカブトムシと思え」というのは、別に悪い意味でいっているわけではないですよ。自分とは違う生き物だと認識することで、腹が立たなくなるということです。そうやって一生懸命、育児をしていれば、子どももその経験から得た知識や知恵を元に、中学3年から高校生くらいになるにつれて、人間らしくなっていきますよ。
ママにとってはただの棒も、男の子にとっては宝物
男の子には、ママにわからない「男ワールド」があるんです。ママは「すぐに棒を振り回して、危ない!」といいますが、男の子からしたら棒を持たない人生なんてありえない! ママにとってはただの棒でも、男の子にとってはすごく価値のあるものなんです。
「走り回っているときに棒を持っていると目をついて危ない」という場合は、短くしてあげるとか、転んでも大丈夫なようにスポンジ製のやわらかいものにするなどしてあげるといいかもしれませんね。
何歳になっても「すごい」「かっこいい」という言葉に弱い
男の子は、基本的に「すごい」と「かっこいい」という賞賛の言葉が好きなんです。この言葉をいわれたら大興奮。たとえば4歳くらいの男の子だったら、大好きなママに「かっこいい!」なんていわれたら、天にも昇る気持ちですよ。58歳になる私だってそうなんですから(笑)。だから、常に見えない敵と戦ってかっこよくいつづけようとするし、ソファーの上からジャンプして飛び降りたりもします。すべては「すごい」「かっこいい」自分になるための訓練なのです。
「かっこよくお片付けできるかな?」でスイッチオン
ママたちはこの「すごい」と「かっこいい」をうまく使っていくといいですよ。たとえば「かっこよくお片付けできるかな?」といったら、「ママ、見てて。カッコよくできるよ!」と、走りながら片付けてくれますよ。兄弟がいたら、「どっちが早く片付けられるかな?」という競争をさせてみるのもいいかもしれません。さらにやる気がアップしそうですね。男の子は、勝ち負けにこだわるので、いつも以上の力を発揮するかもしれません。
男の子はカブトムシのように元気いっぱいに動き回りますが、「元気に遊んでいるな」くらいの気持ちで見守ってあげましょう。そのうちに落ち着きますよ。
取材、文・長瀬由利子