今どき小学生は「卒業式に袴」?きっかけはアニメ『ちはやふる』
卒業式シーズンですね。先日近所の小学校でも卒業式があり、卒業生と親御さんたちが学校へ向かってぞろぞろと歩いておられる姿を拝見したのですが……えぇ!?
小学生が袴!? しかも一人二人ではない! 目視では女子の3分の1が袴姿に美容院で綺麗にセットされた髪という出で立ち。
はい、時代なのでしょうね。
自分が小学校を卒業した四半世紀以上前は小学校の卒業式など、近所のお姉さんに借りた卒業式用スーツか、手持ちの服からそれっぽくコーディネートする子(というより、親にさせられる子)がほとんどでした。もちろん髪型は自前です。地域によりけりですけど。
昭和脳の私からすれば、「袴など、人生の中で最終的に自力で勝ち得た学業を修める学校(大学や専修学校)の卒業式で身に着けるものであり、押し出されるように卒業できる義務教育の卒業式で身に着けるものではない」という勝手な思い込みがあったのですが……。これをカルチャーショックというのですね。
たまたまその日美容院へ行くことになったので、スタイリストさんに伺ったところ、
「(小学校の卒業式に袴姿で出席する女の子は)増えましたね。3~4年前くらいからですかね」
きっかけはアニメ『ちはやふる』。競技かるたを題材にした同名の漫画が原作のテレビアニメで、袴姿で勝負に挑む主人公を見た小学生が「カワイイ!」と飛びついたことから、“卒業式には袴“が爆発的に増えてきているそうです。
それまではどちらかというと「ぜひ着せてあげたい!」という親御さんの強い要望で袴を着るお子さんが多く、ご本人は周りのお友達のようにAKB48っぽい制服のようなスーツを希望しているのに、しぶしぶ着付けられている様子の子が多かった、とのこと。
そのスタイリストさんは、小学校卒業式の袴率は今後も「さらに上がるでしょう」と予想しています。
学校にもよるでしょうが、卒業生を送る在校生代表として5年生が参加。その5年生が袴姿の卒業生を見て「来年は私も……!」となり、親におねだり。そしてある意味ねずみ算式に増えていく、との見解でした。
そういえば、こちらの記事が話題になっていました。
「小学卒業式、増える袴姿 華美な衣装 自粛呼びかけも」(中日新聞)
ある小学校では、昨年の卒業生の三分の二が袴だったとのこと。この年頃の子にすれば、「友達が着るんだったら、私も着たい!」という気持ちになるのでしょう。
いやぁ、親の立場としては子どもの希望は叶えてあげたいんですけどね。そのすぐ後に訪れる「中学校入学」にあたっての準備で、お札に羽が生えたかのように飛んでいくという、予想していたよりも大きな出費に愕然とするのも現実。
あまりに爆発的な卒業式での袴の流行に、「袴での卒業式」を自粛するよう要請する小学校もあるようです。
だって、ざっと計算しても
袴のレンタル(2万円~5万円)
着付け&ヘアセット(7,000円~15,000円)
プランによっては、下着や着付け用の小物や髪飾り、草履もしくはブーツを別途用意する必要があります。
半日の式の為に、諭吉が何枚飛んでゆくのか……。
そら、
『着せたくてもできない。仲間外れにされないか』と保護者の声もある」(記事より引用)
の気持ちもわかる。本来なら各家庭で自由なはずの、制服がない小学校。学校側から袴自粛の要請が入るのも苦肉の策だと察します。子どもの気持ち、親の財布、今後子どもにかけてあげたい費用、悩みますよね。
それでも、袴姿の小学生の団体を目の当たりにした我が娘の
「おねぇしゃんたち、キレイだねぇ」
と頬を赤らめながらも、羨望のまなざしで真っすぐ彼女たちを見つめていた姿を思い出して、
「全部コミコミで税込み2万円台」
袴レンタルのネット広告を食い入るように見つめてしまうのです。
どうしよかな。お母さん、アンタのために頑張ってみよかな?
娘の小学校の卒業式なんて、8年後なんですけどね。先々への無駄な妄想で、今宵も更けてゆくのでした。
ちなみに、新小学6年生の娘さんがいらっしゃるママ、来年の卒業式に袴を着せてあげるのなら、新学年を迎えてすぐに予約するのが良いそうですよ。人気の袴やサロンは早々に予約で埋まってしまうそうですから。
文・桃山順子