【「男性育休白書 2025」発表会取材】男性育休がもたらす効果とは? 後編
男性の育休取得が急増するなか、中編では「満足のいく育休にするには夫婦のコミュニケーションが大切」ということをお伝えしました。では、充実した育休期間を経たあと、どんな効果が生まれるのでしょうか。
今回は、男性育休がもたらす実際の変化やメリットをご紹介します。
男性育休がもたらすポジティブな効果
横山亜由美さん(積水ハウス株式会社 ダイバーシティ推進部長)によると、育休を経験したことで、旦那さんのポジティブな変化を実感する方が多いようです。
■「寝かしつけや食事などをひとりで任せても安心」
■「育休前より頼れる存在になった」
といった声が上がり、ママたちが太鼓判を押すほど。こんな旦那さんがいてくれたなら、ママたちの負担もぐっと減るのではないでしょうか。
さらに育休を経験したことで、旦那さんの家事や育児の実践数が育休取得前の約6個から、育休取得後には約8.5個と、約2.5個も増えているそうです。育休を取ることで、より自分ごととして家事や育児のことを考えられるようになったのかもしれませんね。さらに、旦那さんが育休を取ったことでママのストレスが減り、睡眠時間の確保がしやすくなったという結果も。
家族の満足度も高まり、なんと 約8割が「家族の絆が深まった」と回答しています。
もちろん旦那さんがただの休業ではなく、“育児”休業を取ってくれることが前提ですが、これだけの効果があるのなら男性にももっと育休を取ってもらいたいものですね。
育休が夫婦を「チーム」にする
今回の発表会では、実際に育休を取得した木村昇平さん(積水ハウス株式会社 戸建事業戦略部 SI戦略室)のお話もありました。木村さんは、育休前にしっかりとコミュニケーションを取ることができたようで、とても満足のいく育休期間を過ごせたそうです。
木村さんは、育休取得の約5か月前から奥さんと相談し、会社の「家族ミーティングシート」を活用。
■取得の目的
■理想の過ごし方
■家事・育児の分担(育休前・中・後で分けて考える)
を夫婦で話し合い、しっかり準備を整えてから育休を迎えたそうです。
この話し合いがあったおかげで「とるだけ育休」や「手探り育休」にならず、有意義な育休期間を過ごせたのかもしれませんね。
そして実際の育休期間を経て、育児の大変さが共有でき、助け合う意識が付いたそうです。
その結果、手探りではなく充実した時間を過ごすことができ、奥さんの手術入院時には2回目の育休を取得。1回目で培った育児スキルを活かし、なんとワンオペで子どもを見られるほどに成長。「育休は、育児スキルを身につけるための準備期間」と実感したと語っていました。
「一緒に子育てする関係」へ
大日本印刷株式会社の事例では、育休を取得したことで、「育児・家事ともに、相談したり一緒に考えたりする相手が常に身近にいるのがいちばんありがたいと妻に言われました」という声もありました。
育児をするなかで必要なことは、相談したり一緒に考えたりできる相手かもしれません。とくに初めての育児では、誰かと話して共有したいものではないでしょうか。いちばん身近にいる旦那さんが育休を取得して、一緒に子育てをすることで夫婦がチームとなり、どちらか片方にだけ負担がかかることも少なくなるのかもしれませんね。
これからますます男性の育休取得は増えていくことでしょう。ただの「とるだけ育休」にならないためにも、夫婦でしっかりとコミュニケーションを取って一緒に満足いく育休期間を過ごせたら、その後の家族の形もよりよいものに変わっていくのではないでしょうか。
取材、文・いけがみもえ 編集・編集部
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