トシ:第7回 芸人の子どもということで、恨まれる日が来るかもしれない
第7回目となる今回は、お子さんたちの将来について。父親になったトシさんご自身は子どもたちの将来について今どのように考えているのでしょうか。
「芸人の子どもということで、からかわれたり、それが原因で子どもから恨まれることもあるかもしれない」と話すトシさん。同じ親としても考えさせられることがたくさんありました。
もしお子さんが「芸人になりたい」と言ったら反対しますか?
基本的には、何をやっても人に迷惑をかけなければいいかなとは思ってますが、芸人には……まぁ、なってほしくないですね(笑)
おもしろければなってもいいんですけどね……売れる、売れないは運もあるわけで。
僕らは運がよくて、こうやってお仕事をらってますけど、おもしろくても世に出られなかった人をたくさん見てきているし、甘い世界ではないのを身を持って知っているわけなので「大賛成!」とは思えないですね。
息子がネタをやって、それで滑ってたら……わが子が目の前で滑るなんて……そんなの見てられないですよ(笑)
本人が、「やりたいんだ!」ってなれば、「ダメだ」とは言えないんですけど、「やってもいいけど滑らないでね!」とは言っちゃいますね(笑)
今のところ見ていて、息子さんに「芸人要素」を感じる事はありますか?
ありますよ。長男はすごくひょうきん者なので、すぐ「欧米か!欧米か!」って言うですよ。
そんなネタを真似する子どもは今どきいないんで、一応変装してるのに、「ばれるだろ!」って注意したりね(笑)
でも、僕の小さい頃もこんな感じだったんだろうなと思いますね。
人を笑わせるのは好きなんですよね。ただ、僕も好きだったけど、人前に出るのは苦手だったんです。
長男はそういうところが僕と似てるから、僕のように、芸人の道に誘ってくれるような出会いがないと、自分から出て行くタイプではないじゃないかなとは思います。
娘さんがやりたいと言うことも受け入れられそうですか?
もちろん。本人がやりたいと言うことがあれば応援しますけど、女芸人ですか?……えぇぇぇぇ! それは……ちょっと……。そんな……自分の娘がブサイクいじりなんてされてみてくださいよ。嫌ですよ。
「親父にそっくりなサルみたいな顔しやがって」とかいじられて「誰がサルだ!」とか返してる娘を想像するのは嫌ですね。見たくないですよ。
娘が芸人になりたいとなったら、それは嫌ですね。なかなかの根性が必要な職業ですよ。
芸人の父を持つ子どもたちに対して思うことはありますか?
これから、いろいろと「芸人の子ども」ということで言われることもあると思うんですよね。
だから、「なんで、パパは芸人になったんだ!」と、子どもに恨まれる日が来るかもしれないなと思うことはあります。
先輩芸人の中学生になるお子さんが「お前の親父呼べ!」とか「親父のギャグやれよ」と言われたなんて話もよく聞くのでね。
うちはまだ小さいけど、これから小学・中学と成長していく中で、そういう経験もするだろうし、そこはうまいこと切り返してくれよと願うしかないですよね。
想像すると、きっついですけどね(笑)
娘さんが大きくなったらお嫁にいってほしくないとかありますか?
いや……早いなぁ(笑)。まだ、その想像はできないですね。
もうちょっと大きくなって「パパ」とか言うようになったら、思うのかもしれないですよね。
2、3歳になったら完全に女じゃないですか。そうなったら、きっと感じるようになるんでしょうね。
お子さんができて、自分が変わったなと思うことはありますか?
相方には「感情もないロボットのような人間だったのに、子どもができて変わった」と言われるんですよ。
でも、僕の中では何も変わってないんですよね。
子どもができる前も、飼ってる猫には愛情を注ぎまくってたし(笑)
でも、面倒くさいことは後回しにするようなタイプだったのが、子どものためだと思うと「今だ!」と思って動けるようになったというか、根性ができたというのは変わったところかもしれないですね。
トシさんのお話を聞いていると、パパになった人がみんなそうできるわけではないので、“自らの気づき”で行動されていることがすばらしいと感じます。
いや、そんな素晴らしいなんてことはないんですけど、他の人の話を聞いてると、とくに九州の男の人とか何もやらないんですよね。
子どもと一緒に寝たことないなんて言う人もいますからね。
北海道の男性は、育児に積極的に参加するんですか?
いや、北海道と言うよりは東京のパパたちはすごいですよ。
本当にしっかり育児をしているパパがたくさんいますね。まさに「イクメン!」と言う人が多いです。
子どもたちの幼稚園の友だちのパパたちも、みんなすごく育児に参加してるし、それを奥さんも聞いてくるので、僕もやらないわけにはいかないですよね(笑)
トシさんのインタビューも残すところラスト1回。
最終回となる次回は、奥さまへの気持ちをたくさん語っていただきました。
お楽しみに。
(取材、文・上原かほり 撮影・白田京子)