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くわばたりえ:第8回 子どもの成長と共に泣く理由も変わって、子どもの想いを知って泣くことが増えた

くわばたりえさんへのインタビューコラムは、今回が最終回となります。今年の春に長男が小学校入学を控えているくわばたさんは、お子さんの成長とともに、新しい悩みや問題にぶつかることもあるそうです。気になる“小1の壁”についてのお話、また、育児番組の司会や「ママ友会」の開催など、ご自身の出産・育児をきっかけに多くのママたちとの交流する機会を得ているくわばたさんに、今後の活動についてのお話を伺いました。

■早いもので、ご長男は4月から小学校に通われるんですね

くわばたりえ
そうやねん。めっちゃ心配! 行き帰り、ちゃんと大人の付き添いなしで帰ってこれるのかなって。ママ友はみんな「大丈夫」って言うけど、心配やわ~。
あと、「小1の壁」ってよく聞くじゃない? 私、ピンと来てなかったんだけど、「学童に入れるなら、夏休みは毎日お弁当だよ」と先輩ママに言われて、やっと「あー、そうなんや」って実感がわいてきた。

■息子さんの小学校入学にあたって、今は心配なことの方が多いですか?

この子がもう小学生になるなんて、まだ信じられないくらいだけど、日々成長を感じることがたくさんあるから、きっと大丈夫だなって思う。
でもね、最近、電話のかけ方を教えたんだけど、息子は電話をかけるのに受話器を置いたまま番号を押すんだよね。番号を全部押してから受話器を持ちあげるから、びっくりして。だけど、普段電話がかかってくるときは受話器が降りてるやろ? だから息子としては、「通信するときは受話器は降りてなきゃいけない」と思ってるわけ。受話器を持ち上げてから番号を押すんだよ。というところから教えなきゃいけないの。
使い慣れてる大人からしたら当たり前のことでも、はじめてだとわからないことってたくさんあるんだよね。

■ひとつひとつ、新しいことができるようになっていくんですね。お子さんたちは、何か習い事はしていますか?

長男はサッカーを始めたの。ほんまは、私も好きな野球をやらせたかったんやけど、本人が「サッカーをやりたい」って言ったのよ。私は、サッカーのルールが全然わからへんから、アドバイスができひんねん。でも、それがよかったと思う。野球をやっていたら「もっとこうやろ!」って親の私が口出ししまくって、子どもも楽しくなかったと思うもん。
今は、私がなにも口出ししないからノビノビしてるよ。
長男も、自分がやりたいことだから「お願いします、サッカーやらせてください」って、お父さんに頭下げたの。はじめて「自分からやりたい」って言ったことだから、やらせてみようかなと。すごく寒い日でも暑い日でも、いつも笑顔でやっているから、これはよかったなって思ってます。

■子どもから「やりたい」と言われたら、応援したくなりますよね。責任感も育ちそう!

よく「習い事をさせなくちゃ!」と考えるママがいるけど、『すくすく子育て』に出演する先生たちがよく言っていたのは、「小学校に行くまでは習い事はしなくていい」ってこと。
逆に、習い事をさせるんだったら、その時間をママと子どもふたりで公園に行く時間に当てたほうが、心と体が発達していいんだって。
あとは「子どもをプールに通わせてるけど、なかなか上達しない」と悩んでいるママがいてね、「毎月、月謝を払っているのがバカらしく感じる」って話していたの。習い事だと毎月お金がかかるから、うまくいかないとすぐにお金の心配になってしまうんだよね。できなかったらもったいない、みたいな。「それでイライラするようなら、習い事は絶対やめた方がいいですよ」と言われたな。

■親の気持ちで子どもを振り回すようなことになったらダメですよね

習い事って毎回の送り迎えとかもあるし、親も大変でしょ? ものすごくたくさん習い事してる子もいて、「いつも大変なのよ」と言う親もいるけど、「習わせてるの、あんたやん」て思ってしまう。
「習わせてあげてる」「大変なのに、送り迎えしてる」という気持ちに親がなってしまうのは、あまりいいことではないと思うわ。

■いつも明るいくわばたさんですが、子育てをしていて、最近泣いたことはありますか?

あるよ~。上のお兄ちゃんは毎日1ページ、算数のドリルをやっててね、その中に出てくる引き算の問題がけっこう難しいねん。
たとえば「赤い帽子を被っている人が5人、白い帽子を被っている人が8人。どっちが何人多いですか?」という問題。多い方から少ない方を引くだけなんやけど、子どもにしたら、これ、めっちゃ難しいやろ?
私が横で教えていたら、教えている私に対して息子がイライラしてきてるのが伝わってきて、「お兄ちゃんがわからないから教えてんねん」て言ったら、「あぁ、そうですか、はぁはぁ」とか、普段は標準語やのに、「教えてんねんかぁ」とか関西弁の真似をしてふざけてきてね。私、腹が立って、めちゃくちゃ切れたの。
そのときはほんまに腹が立ったんだけど、気持ちが落ち着いてきたころに、「なんであんなことしたの?」て聞いたら、お兄ちゃんが「だって、ママが何回も教えてくれてるのに、わからないから悔しかったんだ」と泣きだしたの。
それを聞いて、「だからあんな態度をとって、わからないということが悔しい、恥ずかしいという気持ちを表していたんや」と思ったら、私も泣けてきちゃって。「あんたの気持ちをわかってあげられなくてごめんなさい」って謝って、ふたりでワンワン泣いて……。
子どもの成長とともに、泣く理由も変わってきたね。昔は夜泣きが大変でよく泣いていたけど、今は子どもの思いや気持ちを知って泣くことも増えたよ。

■つい怒ってしまう気持ちもわかるし、息子さんの思いを聞いたときの気持ちもわかるので、聞いているだけで涙が出てしまいます。多くのママたちが「はっ!」となるお話ですね

これがよその家の子どもやったら、おそらくイライラもせず、「この子、わからないのかな」「わからないのなら、まあいいか」と思ってあげることができるんだと思う。でも、自分の子どものことになると、なぜか余裕がなくなっちゃうのよね。
でもな、息子は自分のそのときの気持ちをちゃんと伝えてくれたから、やっぱりこれが一番大切なんだと思ったよ。聞くこと、伝えること。

■そんなくわばたさんですが、このたび東京都の意見交換会「東京未来ビジョン懇談会」のメンバーに選ばれたそう。このことについてのお気持ちを聞かせてください

くわばたりえ
めっちゃびっくりしたよ! だけど、やりたいと思っていることがたくさんあるから、それを「東京未来ビジョン懇談会」の場で発表できるというのは、すごく嬉しいです。
小池都知事なら、こちらが伝えたことを「そういうことやってみようか」と言ってくれる、聞いて終わりにしないでいてくれると思うから、少しでもプラスになるように頑張りたいです。
「何を聞かれても、返せるようにせなあかんな」と思って、今自分の頭の中でまとめているところ。

■くわばたさんが「やりたいと思っていること」とはなんですか?

保育園問題って、すごく根深い問題でしょ。「保育園落ちた……」ていうやつ。
そんな状況でこういうことを口にしたら、いろいろ言われるやろうけど、私は「子どもは全員、保育園に入ってもいい」というルールを作りたい。ママが働いている・働いていないとかも関係なく、「子どもを保育園に入れたい」と望む家は、どこでも入れられるというルール。実際にそういう政策の国があるから、できないということはないと思ってます。

■子育てがしにくい国だと言われる日本で、それはとてもハードルが高そうですね

根本的な問題として、この国では“育児”っていうものが舐められてんねん。“子育てしやすい国”になる前に、“子育ての大変さをわかってくれる国”にせなあかんと思う。そうしないと、絶対に“子育てしやすい国”にはなれないと思ってるの。
今って、孤独な育児をしている人が多いでしょ。そういう状況で、1日5時間でも子どもを預けられるシステムがあれば、絶対虐待も減るし、ママも笑顔で育児をする余裕ができると思う。
赤ちゃんがいたって習い事してもいいし、ママも自分をリフレッシュする時間を持っていいのよ。どこかの国では、赤ちゃんを預けて、お茶して習い事して、家で家事を終わらせてから、子どもを迎えに行って……っていうふうにして、ママが笑顔で子どもを育てているんだって。
日本には、一時保育という制度はあるけど、料金は高いし予約も必須で、いろいろハードルがあるでしょ? きちんとした理由がないとあかんとか。こんなこと言ったら怒られるかもしれないけど、気軽に子どもを預けられて、みんなが気楽に育児ができるようになったらいいのになって思います。

■他にも変えていきたいと思っていることはありますか?

中学校・高校で性教育の授業ってあるでしょ? もちろんそれも大切だけど、家庭科の時間とかに「家庭の勉強」をしたほうがいいんじゃないかと思う。
結婚して、子どもが生まれて、パパとママになったときに、一体どんな生活になるのか。実際に赤ちゃんのお世話をするというのはどういうことか、妊婦になるというのはどういうことか……。オムツ替えや入浴の体験をしてもいいし、父親学級でパパがするみたいな、妊婦さんの体験をしてもいいと思う。そういうふうに、もっと早い段階から、赤ちゃんを迎え入れるための勉強をした方がいいよね。
妊娠してからだと、赤ちゃんが無事に産まれるかで頭がいっぱいになってしまうから、産まれてからのことについてはそんなに考えられないでしょ? 夫婦の役割分担や、授乳のこととかも。
だからそういう勉強をして、家庭を築くことについてよく知ったうえで、「結婚したい」と思えたらいいなと思う。「自分もこんなふうに育ててもらったんだ」と知ったら、「自分もこんな家庭を作りたい」と考えるようにならないかな?

■「家庭の勉強」、いいですね。家族を持つということが素晴らしいことを、これから大人になっていく子どもたちに教えていけるのは、私たちですもんね

そうなんです。そのために、メンバーとして参加して頑張ってきます!


全8回に渡り、お届けしてきた、くわばたりえさんへのインタビュー。
「1人目の育児がほんまに辛かった……」と話すくわばたさんも、3児のママとなり、とても頼もしいママとしてたくさんのお話を語ってくださいました。
ご自身がたくさん悩んできたからこそ、育児を始めたばかりの悩めるママたちとの交流を大事にしているんですね。そんなくわばたさんの「ママたちのためにできることをがんばりたい」という気持ちがあふれるインタビューになりました。
くばわたさん、ありがとうございました。

(取材・文:上原かほり 撮影:chiai)