「自然分娩」から「帝王切開」へ。経験したママの体験談
筆者が20代後半で息子を出産したときの体験談です。あらかじめ「立会い出産」を考慮して病院を探した筆者夫婦。夫も立会い出産に対して意欲的で、出産のためのパパ教室に参加したり、心の準備をして出産当日に備えてきました。そんな中、医師から私たちに告げられたのは「帝王切開」への変更でした。
筆者の中の「出産の計画」が次々と崩れていきました。やむを得ません。
一つだけよかったのは、事前に計画された帝王切開だったので、出産日が予定より早く(出産の1ヶ月くらい前)に決まったことです。そのため出産前後の予定が立てやすく、実家の両親に来てもらう日付やパパの休みの予定などを事前に決めることができました。
手術日の前日は「とにかく空腹に耐えた」
出産にあたっては手術日前日から入院することとなりました。
妊娠後期の空腹はすさまじく、病院で出される朝食の前にもおにぎりを食べられるほどの食欲。しかし出産にあたっては、食事は出産前日のお昼までと決まっていました。さらにお水も前日の夕方までという指示が(これがかなり辛かったです。)
そのため、出産前日はかなりの空腹でしたが、とくにすることもないので早めに寝て当日に備えることにしました。
手術日の当日は……
出産当日、前日からの断食で起きたときからやはり腹ペコ。「青汁でもいいから飲ませてほしい」と看護師さんに訴えるものの却下されます。手術までに準備することは、診察や剃毛、浣腸、点滴などたくさんありました。
点滴をしたままベッドで横になっていると、予定通り家族が到着します。そして手術になりました。
手術中にはコンタクトレンズやメガネなどは外さなくてはならないため、筆者も看護師さんにメガネを預けます。
手術台に横になって手足を固定されると、背中から局部麻酔を入れます。さらもお腹に氷を載せて「冷たいですか?」と麻酔の効き具合を確認されました。麻酔の注射は予防接種などの注射と同じくらいの痛みだった記憶があります。いざ帝王切開されているときも、身体を触られている感じはなんとなくありましたが、痛くはありませんでした。
そして、誕生の瞬間 第一声は「すみません!メガネください」
そして出産。麻酔の影響か、うとうとしてきたころに「オギャーオギャー」と元気な泣き声が聞こえました。
「おめでとうございます。生まれましたよ!」と言って顔の横に看護師さんが赤ちゃんを連れてきてくれました! しかし裸眼では肝心の赤ちゃんが見えません。
そこで筆者の第一声は「すみません! メガネください」でした(笑)。
赤ちゃんと対面をすると、胎盤や閉腹などの手術をします。その間に手術室の外にいたパパたちは赤ちゃんと対面していたそう。
私が手術室から出て、赤ちゃんとパパと会ってじっくり話したいと思っていると、早々に寝るように看護師さんに言われ一人に。私は痛みがほとんど無かったので、ぐっすりと寝ることができました。
手術後は「元気でも、安静に」とお医者さん
「帝王切開後は痛くて大変」と事前に情報を得ていた私は、母とパパ以外は面会を断るようにしていましたが、実際にはそこまでではなく、元気に歩くことができていました。赤ちゃんだけ見る予定だった義父母とも会うことができ、「大丈夫なの? 痛くないの?」と驚かれます。看護師さんたちも「痛み止めはいらないの?」と何度も聞かれました。ただし聞いたところによると、基本的には多くの方が追加で痛み止めや睡眠薬を希望するそうです。
食事は手術から3日目まではおかゆ生活でした。それ以降に通常の食事が出されたときはすごく美味しかったのを覚えています。
病院によって異なりますが、初産で帝王切開だと入院日数が長くなりがちだそう。筆者は9日間の入院でした。期間中、赤ちゃんのお世話や授乳教室などがありましたが、一人で部屋にいる時間も多く、「早く退院できないかな?」と暇を持て余していたのを覚えています。
退院の日、医師も筆者の元気な様子に驚きながらも「お腹切ってるんだからおとなしくしてなさい。外出しないようにね」と念押しされました。退院時に元気でも、そのままお買い物などに行ったことで、体調を悪化させる人もいるそう。
以上の体験はあくまで筆者自身の場合です。出産は10人10通りのものであり、生命の誕生という”奇跡”の瞬間です。
これから出産を控えるすべての妊婦さんが、無事出産されるよう、心より祈っております。
文・後藤 イラスト・んぎまむ