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【お金のギモン解決!第3回】貯金が一番安全と親にも言われて信じていたのに……違うの!?

中野晴啓さま3

前回からの続き。子どもの教育費や自分たちの老後の資金として、貯金をしているママも少なくないでしょう。「お金は金融機関に預けておけば安心」と考えているからかもしれません。けれど現代においては貯金が安全とは言い切れないようです。そんな驚くような話を、「なかのアセットマネジメント」の代表を務める中野晴啓さんにうかがいました。
中野様.prof

「貯金は安全」でなくなっている

――将来のためには貯金をしておくのが一番安心と考える人も多いと思います。それは適切な方法なのでしょうか?

中野晴啓さん(以下、中野さん):通帳にお金が入っていれば、それだけでお金の不安が解消される人も多いかもしれませんね。結論からいうと貯金が安心とは言い切れません。
親に「貯金をしなさい」と教えられて育ったママさんたちも多いと思うのですが、それはこれまでの話。親世代と今とでは社会の情勢が大きく違います。なかでも、貯金に大きな影響を与える金利の額がずいぶんと違うのです。ママさんたちの親が若かった時代は金利が高かったので、貯金をしているだけでお金は確実に増えていきました。金利が5%という時代もあり、その時代に100万円を預けたら1年で105万円に増えたんです。でも今はどうでしょう。金融機関で普通預金をしても、金利はほとんどつきません。100万円を預けても、金利が0.01%では100円しかつきません。要するに、貯金をしてもお金は増えないのが現実なのです。

インフレ社会では、お金の価値がどんどん減ってしまう

――貯金では増えないとしても、減らないから安全という考えもあるのではないでしょうか?

中野さん:現在(※取材は2023年10月)の消費者物価指数(インフレ率)は3%ですから、ものの値段は3%上がっています。これまで1,000円で買えたものが、1,030円になるということですね。

貯金をしても同じように3%の金利がつくのであれば、インフレ率と同じなので対応できます。またかつてのように金利が5%であれば、インフレ率よりも高いので、貯金しておいても問題はないのです。けれど今は、貯金をしても金利はほとんどつきません。となると、物価が上がれば上がるほど、お金の価値が減っていくと考えることもできるのです。

――それならば金利を上げればいいのでは? と考えてしまいますが……。

中野さん:金利を上げるかどうかは日本銀行が決めるのですが、残念ながら、金利はそう簡単に上げられるものではありません。貯金をしている人にとっては金利が上がることは喜ばしいことですが、お金を借りている人はどうでしょう。返済額が増えるので大変になります。たとえば金額の大きい住宅ローンのような場合、金利が少し上がるだけで返済が苦しくなる人も出てくるかもしれません。
また企業も同じです。お金を借り入れて事業をしている場合も多いですから、金利が上がると利益が減ってしまいます。借入金の金額によっては、返済コストが大きくなって経営が立ち行かなくなる可能性もあります。

お金の価値を下げない方法の1つは投資

――このまま金利よりもインフレ率が高い状態が続くと、ますますお金の価値が減ってしまうということですよね。お金を増やすには、どうすればいいのでしょうか。

中野さん:方法の1つは投資です。投資というと怖いとかリスクがあるというイメージがあるかもしれませんが、それはどこに投資をするかの問題です。

――どの会社に投資をすればいいのかわからない人も多いと思います。株を買うとしても、会社の数が多すぎて何がリスクなのか、素人では判断が難しいですが……。

中野さん:インフレに強い企業は、値段を上げても買ってもらえるような商品を作っている会社です。そのような会社は売上もアップしますから、株価も連動して上がっていきます。しかし一般の人がインフレに強い会社を見つけ、経営の中身まで分析するのはそう簡単にできることではないでしょう。
もし投資をしたいと考えるのであれば、投資信託に任せた方がいいと思います。投資信託は専門家が会社を選んで分析をし、投資をしてくれます。お金のことはその道のプロに任せておこう、と考えた方が気持ちもラクに投資ができると思います。

(編集後記)
「貯金をしなさい」。筆者自身も親にそう言われて育ちました。その影響もあり、貯金は安全だと思っていたのですが、今の社会では通用しなくなってきているようです。お金の価値を上げる方法としては投資がある、とのことですが、素人判断では難しいことも。投資はプロに任せた方が良いという視点は新鮮でした。
次回は、将来もらえるはずの「年金」についてうかがいます。

※本記事は2023年10月に取材を行いました。記事の内容は取材時時点のものです。

第4回へ続く。

文・川崎さちえ 編集・すずらん イラスト・加藤みちか

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