【体験レポート】子どもが熱性けいれんを起こした時の対処法は?「小児科オンライン」で相談してみました
「今すぐ救急外来に行く必要があるかを知りたい」「自宅での看病の方法を知りたい」「日ごろの子どもの様子で気になることがある」。そんな時、小児専門医に相談できる「小児科オンライン」。相談時間は子ども1人につき1回15分。LINEやSkypeなどを使ってどのくらい聞けるのか、実際のやりとりを公開します!
今回の相談は、熱性けいれんについて。思いがけず子どもが熱性けいれんを起こしたらママとしてはうろたえてしまうのではないでしょうか。しかし、対処法をしっかり覚えておけば、冷静に対処することができます。
対象者:3歳の女の子
質問内容:熱性けいれんへの対処法
アクセス方法:LINE電話
熱性けいれんを起こした時の対処法は?
質問者:先日、子どもが熱性けいれんを起こしました。今日、発熱が38.5度あります。今は落ち着いていますが、もしまたけいれんがあったらどうしようと不安です。もし、けいれんが起きた場合はどのように対処したらよいでしょうか?
橋本先生:お子さんのけいれんは親御さんにとってとても不安な気持ちにさせるものですよね。けいれんが始まったらまずは転落などで怪我をしないように体を地面に横たえてあげてください。嘔吐を伴っているときは、顔を横に向けてあげましょう。慌てて抱き上げたり、口に指を突っ込んで吐かせたり、舌を噛まないように何かをくわえさせたり、水を飲ませたりといったことはしないでください。
余裕があれば、けいれんの様子をよく観察しておいてください。見るべきポイントは、動きの左右差、けいれん時間、目線などです。5分以上続くようならば、すぐに救急車を呼んでください。5分以内にけいれんが収まった場合でも小児科を受診し、けいれんがおさまった後の意識状態や他の異常がないかどうか診察してもらいましょう。
相質問者:わかりました。先日、寝る時はとくに熱があったわけじゃなくて、突然、夜中にけいれんして……。その時に体を触ったら体が熱かったという感じでした。
橋本先生:そうですね、そのように熱の上がりばなにけいれんすることもあります。とても驚かれたんじゃないですか?
熱性けいれん後のてんかん発症のリスクは?
質問者:びっくりですよ! とくにけいれんを起こしたのが初めてだったこともあり、どうしていいかわからなくてとても慌てました。ところで、この間子どもがけいれんをした話をママ友にしたら、「熱性けいれんのあと、てんかんなどに移行する子もいるらしいよ」といわれたんですが、その可能性はありますか?
橋本先生:熱性けいれん患児の90%以上がてんかんを発症しないといわれており、熱性けいれん後のてんかん発症のリスクは一般的には高くないといわれています。熱性けいれんがてんかんに移行するということではなく、てんかん発症のリスクをもともとの素因としてもっていた場合にてんかん発症のリスクが高まる、と考えられています。
質問者:90%以上が大丈夫なんですね! ちょっと安心しました(笑)。先生、もう1つ質問があるんですけど、いいですか?
橋本先生:大丈夫ですよ。
発熱機会を減らすためにも適切な時期に予防接種を
質問者:けいれんって、1度起きると、そのあとも起こしやすくなると聞いたんですが、それは本当ですか?
橋本先生:可能性としてはありますね。これまでの多くの報告からは、熱性けいれんの再発率は24.2~40.4%といわれています。発熱する機会が多ければ熱性けいれんを起こす可能性は高くなります。なので、発熱機会を減らすための手段として年齢に適したワクチンの接種はしっかりと打ってあげておいてください。
質問者:そうなんですね。たしかにワクチンを接種したら病気にかかることも少なくなりますもんね。ところで、けいれんを予防することってできますか? またけいれんを起こすかもと思うと怖くて……。
橋本先生:発熱時にけいれん予防の坐薬(ジアゼパム坐薬)を使用することで熱性けいれんの再発を減少させることはできますよ。ただ、副反応もありますので必ずしも使用しなければいけないということではないです。適応についてはお子さんの発作の形や頻度などを踏まえて、かかりつけの小児科医師と相談してみてください。
質問者:副作用って、たとえばどんな感じなんですか?
橋本先生:ジアゼパム坐薬の副反応としては、眠気、不活発、興奮などみられることがあります。個人差もありますし、必ず副作用が出るというわけではないです。そういうことがあるということを頭に入れておいてくださいという感じですね。
質問者:わかりました。先生、今日はいろいろとありがとうございました!
橋本先生:またなにか気になることがあれば、いつでも「小児科オンライン」にお問い合わせください。
熱性けいれんについて確認しておきましょう
「熱性けいれん」の話は耳にすることが多いと思いますが、ここでもう一度おさらいしておきましょう。橋本先生にお答えいただきました。
Q 熱性けいれんってなんですか?
A 一般的にいうと、38℃以上の発熱に伴って起きる発作性のけいれんのこといいます。ただ、一点凝視や目が上を向いて固定するだけなど、手足の動きを伴っていないこともあります。主に6ヶ月〜5歳までに起き、もともとてんかんと診断されているものは除きます。
Q けいれんするとどんな状態になるのでしょうか?
A 熱性けいれんが起きた時、多くは、左右対称に腕や足が小刻みにガクガクと震えたり、つっぱったりします。白目をむいたり、目線が上方に固定したりします。このとき、呼びかけても返答はありません。こうした様子はだいたい2、3分でおさまり、そのあとはしばらくぼおっとしたあと、徐々にいつもの様子に戻ります。
熱性けいれん再発予測因子
現時点では、以下の項目4つのいずれかにあてはまる場合、再び熱性けいれんを起こす可能性があるといわれています。
①両親のいずれかが熱性けいれんを起こしたことがある
②1歳未満の発症
③発熱からけいれん発作までが短時間であった場合(概ね発熱から1時間以内にけいれんする場合)
④発作時体温が38℃~39℃くらいの普通の熱で出た場合
※熱性けいれん診療ガイドライン 2015より一部改編して抜粋
熱性けいれん後のてんかん発症関連因子
現時点では、以下の項目4つのずれかにあてはまる場合、熱性けいれん後のてんかん発症関連因子
①熱性けいれん発症が発症する前の発達の遅れや麻痺などがある
②両親・きょうだいにおけるてんかん家族歴
③複雑型熱性けいれん(体の一部分だけけいれんしている、けいれん持続時間が15分以上、1回の発熱機会内に再発する場合、のいずれか1つ以上)
④発熱からけいれん発作までが短時間であった場合(おおむね発熱から1時間以内にけいれんする場合)
以上のことにあてはまるからといって、必ずしも熱性けいれんを再発したり、てんかんを発症するというわけではありません。
※熱性けいれん診療ガイドライン 2015より一部改編して抜粋
橋本直也 先生
都内小児科クリニック勤務。小児科専門医。日本大学医学部卒。聖路加国際病院にて初期研修、国立成育医療研究センターにて小児科医研修。東京大学大学院にて公衆衛生修士号取得。
小児科医にLINE、電話、テレビ電話から相談できる「小児科オンライン」を運営。「救急外来に行くべき?」「子どもの発達が気になる」そんな時気軽に利用できるサービスを目指す。
取材・文、長瀬由利子 イラスト・はなめがね
※2016年2月に相談した内容です