<外資系企業の働き方>海外の企業では社長を下の名前で呼ぶ!?外資系企業における上司と部下の関係【ドーモ 川崎友和さん・第6回】
「やたらフレンドリーに話しかけてくる人がいると思ったら社長だった」そう語るのは、外資系企業の日本法人ドーモ株式会社プレジデント ジャパンカントリーマネージャーの川崎友和さん。日本の企業と比べ、外資系企業では上司やCEOとの距離感や付き合い方がまったく違うといいます。どんなふうに違うのか、詳しくお話を伺ってみました。
職場を離れたら、上司と部下ではなく対等な付き合いに
――川崎さんは長年外資系企業で働かれていますが、日本の企業と違いすぎて驚いたことはありますか?
川崎友和さん(以下、川崎さん):外資系企業の場合は、日本と比べて圧倒的に距離感が近いですね。日本の場合は、上司と会うときは「敬語はもちろんのこと、姿勢も正して礼儀正しく振舞うべき」というのが一般的だと思います。逆に敬語を使わず、礼儀に欠ける言動が見られると叱られますよね。
英語には「敬語」という概念があまりないので、上司との距離も圧倒的に近くなるんでしょうね。もちろん仕事の立場上の階級ははっきりしていますが、仕事以外のところでは「上司と部下」ではなく、一人の人間としての付き合いになります。
以前、私が海外にある本社に行ったとき、誰かわからないけれどやたらフレンドリーに話しかけてくる人がいたんです。「いったいこの人は誰なんだろう?」と思っていたら、本社の社長だったんですよ。まわりにいた他の社員たちは、彼のことを「ジョン」と名前で呼んでいて、距離感の近さに驚きましたね。
――日本でいったら、社長を下の名前で呼ぶようなものですもんね。
川崎さん:日本の企業の場合、社内にいようと休日に街中でばったり遭遇しようと、社長は社長じゃないですか。でも外資系企業は職場を一歩離れたら、お互い一人の人間としての付き合いになるんですよ。どちらがいいとか悪いとかはなくて、外資系企業の場合は、明確に仕事とプライベートを分けているなと感じた出来事でした。
外資系企業で働いているからこそわかる日本企業の良さは?
――川崎さんは過去に日本企業でも働いた経験があるとのこと。外資系企業と比べて日本企業の良さというのは、どんなところですか?
川崎さん:日本企業、そして日本人の良さは、「ちゃんと説明してしっかりと理解しましょう」というところですね。昔から言われていることですが、日本人はとても真面目なので、業務もミスなく行います。また「社員の満足度調査」などを配布した場合、回答率は100%なんです。お客様に必要な書類を作って渡すとか、契約書を交わすときなども、ひとつずつ丁寧にやるから、ミスが少ないんですよね。そういった意味でも、日本人は安心して仕事を任せられる人が多いと思います。
日本は「もの作りの文化」といわれていて、職人としての誇りや技を持った人がたくさんいます。縦型組織としても非常にしっかりしているので、全体の統制は取りやすいのでしょう。日本人は、物事をひとつずつ積み上げてやっていく、信頼を得ていくっていう行為はすごく優れていると思います。
また日本人は製品開発をする際にもすごく厳しいんですよね。そのため海外からの日本の製品に対する信頼度は抜群に高いです。海外の人がチェックする場合、ちょっと製品に不具合があっても「次はうまくやってくださいよ」的な感じで、それほど細かくチェックしないこともあります。こういった日本人や日本企業の真面目さ、器用さというのは、もっと海外に伝わってほしいなと思っています。
――そういった意味ではドーモのように日本にある外資系企業というのは、日本企業と外資系企業の良さをそれぞれ取り入れていいですね。
川崎さん:そうですね。私たちは外資系企業の日本法人なので、できるだけ海外の良いところを取り入れながら、同時に日本人としての良いところも発揮できます。お互いの良さを組み合わせて独自のモデルをつくれるのは、外資系日本法人の強みになるんじゃないかなと思います。
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取材、文・長瀬由利子 編集・荻野実紀子