今の子どもはもっと苦労するべき?豊かで便利な現代に生きる子どもたちに教えたいこと
子どもの言動を受けてつい口出ししてしまったり、自分の意見を子どもに押し付けてしまったりしたことがある、というママは少なくないでしょう。ママスタコミュニティには、昔のドラマを引き合いに出して現代の子育てについて嘆くママからの投稿がありました。
『たいくつーって文句を言っている今の子は甘えすぎ。『おしん』みたいに凍える吹雪の中、下の子背負って川に洗濯に行かせるべき』
『おしん』とは明治時代後期以降を舞台としたドラマで、1983年からNHKで放送されていました。主人公のおしんは幼少期から家族の働き手として大変な苦労をします。投稿者さんは親に甘え気味な現代の子どもはかつてのドラマの主人公のような苦労をするべき、と考えているようです。投稿者さんの考え方に対してママスタのママたちはどのようなコメントを寄せたのでしょうか。
明治時代の子どもたちの生活と現代を比べるのはいかがなものか、という声が
『令和だからね。その時代からどれだけ発展したことか』
『明治時代と令和の今を比べられても……。昭和生まれの私でさえ洗濯は洗濯機だったわ。そもそも川で洗濯していたら怒られる』
『家に置いて働きに畑に行っていた時代とは違って、空き巣や不審者がウヨウヨの世の中だからね』
投稿者さんが想定しているドラマの主人公の幼少期であった明治時代から現代である令和までは100年以上が経っています。100年以上前と現代を比べられても……と困惑するママからのコメントがありました。川で洗濯をしていたら今の時代なら怒られる、と話すママも。たしかに洗濯機が普及している現代で、川で洗濯をしている人を見かけたら何事かと思ってしまいますよね。
また現代は空き巣や子どもを狙う犯罪が増え、子どもを1人で行動させることが難しい世の中になってしまいました。投稿者さんが想定しているドラマの主人公の時代とは子どもが1人で行動できる範囲が変わってしまった、と考えられそうですね。
かわいい我が子にあえてつらいおもいをさせるなんてできない。親が厳しいのが当たり前の昔は子育てしやすかった?
『かわいくてしょうがないからね~。吹雪の中、下の子背負って川で洗濯なんてさせられない』
『昔の方が親にとっては子育てしやすい環境だったと思う。子どもは苦労があったかもしれないけど。今は逆 』
『もうね、時代も治安も違うからね。放置して頼もしく1人でっていうのが虐待になったりする時代だしね』
投稿者さんが想定しているドラマの主人公の生家は小作農を営んでいました。小作農とは地主から土地を借り、小作料と呼ばれる土地の使用料を払って農業を営む農民のことです。小作農の家庭に生まれた子どもたちは生まれながらにして働き手の1人だったようです。子どもの人数が多いので1人ひとりにじっくりと時間をかけていられず、親は厳しくならざるを得ないという面があったのかもしれません。他人の目を気にしがちな現代よりも、昔の方が親にとって子育てしやすい環境だったのかも、というコメントもありました。何ごとも1人でできるように、と思ってやらせていることが見ようによっては虐待と思われかねない時代だ、というママからのコメントがありました。そもそもかわいい我が子につらいいおもいなんてさせられない、と言うママもいました。厳しく育て、たくましく成長してもらいたい気持ちと、かわいい我が子につらいおもいをさせたくないという気持ちとのどちらにウェイトを置いて子育てをするかというのは親にとって永遠の課題かもしれません。
衣食住に困ることも少なく便利な現代。その反面、一人で生きていく力が弱くなっているのでは
『私も投稿者さん寄りの考えだよ。今はなんでも便利すぎるから頭でっかちな子ばっかり。知識あっても経験がない。口だけは一人前。けどそれは時代の流れだから、言っても仕方ないのよ』
『経済が発達して裕福な時代になり、いろいろと工夫をしなくても便利な道具があって苦労しなくても生活できる世の中。それが当然になったぶん、親自身「危険予測」というのが鈍くなり、親がかまうぶん、子どももそれが当然で育って大人になっても甘える(生活面、金銭面、子育て面諸々)。それが今の時代だよ』
『そりゃ遊ぶ物も食べる物も着る物も選びきれないほど沢山あって裕福な時代に、投稿者さんが想定しているドラマの主人公みたいな子育てはできないよ』
『まあたしかに、子どもの頃から食べるものにも困って戦争も体験して……。自分は幸せな時代に産まれたなとは思った』
投稿者さんが想定しているドラマの主人公が生きた明治・大正・昭和はいくどとなく戦争がありました。現代の日本に暮らしていれば衣食住という生きることに困ることは少ないかもしれません。ママからのコメントにあるように、生きていくのに困ることが少ない、という意味では現代は幸せな時代といえそうです。その反面、便利なものや情報に溢れた環境で暮らしていると、工夫や努力なく生活ができてしまいます。経験もないのに情報量と口だけは一人前の子どもばかり、と嘆くママも。親が子どもをかまえばかまうほど、子どもはそれが当然と思い込んだまま大人になり、いつまでも甘えてしまうのが現代の子ども、と話すママもいました。
いずれ子どもは自立する。子どもが1人で生きていけるように育てたい
令和の時代にあっては投稿者さんが想定しているドラマの主人公のように働き人として子どもを育てることは難しいかもしれません。しかし親から離れても1人で生きていけるように育てることが子どものためには必要なのではないでしょうか。生きていく上で遭遇する困難な局面を乗り越えていけるように、楽しいことだけでなく、努力することや我慢することも経験させたいですね。
文・子持ち鮎 編集・しのむ