妊娠中の旅行「マタ旅」は自己責任で済まされない?ママと赤ちゃんを守るために知っておきたいこと
妊娠は、病気ではありません。しかし、通常とは異なる身体の状態が10か月近く続く妊娠期間は、病気以上に大変な時期ともいえます。投薬や治療も妊娠中だと普通の治療もできないので、病気よりも気を使わなければならない場面もあるでしょう。妊娠の週数にもよりますが、つわりや腰痛、めまいなどで具合が悪くなる方もいれば、まったく違和感なく生活できる方も。体調が安定していると、「最後に旦那さんと2人で旅行に行きたい!」と思う方もいると思います。妊娠中の旅行について、みなさんのコメントを見つつ考えてみたいと思います。
「マタ旅(マタニティ旅)」ってどう思う?
『妊娠中にみんなは遠出した? もしかしたら現地で迷惑かけるかもとか考えてるのかな?』
妊娠中に旅行をすることを意味する「マタ旅(マタニティ旅)」ですが、かかりつけ医から許可をもらったとしてもなんとなく不安になりませんか? 今回ママスタコミュニティにいるママたちに投稿者さんが投げかけたのは、そのような不安からくる問いかけでした。
妊娠中に遠出した経験ありのママたちの声
『祖母に会うために、飛行機で東北から北海道に行ったよ』
『5ヶ月くらいのときに、東京から金沢に行ったよ』
『6ヶ月のときに、関東から関西に旅行に行った』
妊娠5か月目から7か月目(16~27週)の時期は「妊娠中期」とされ、「安定期」とも呼ばれています。安定期に入るとつわりが落ち着くなど、体調面で安定する妊婦さんが増えてきます。体調やおなかの赤ちゃんなどに問題がなければ、ストレス発散や体重管理などの運動を兼ねて積極的に外に出たくなるママたちの気持ち、よく分かります。そうなってくると欲が出てくるのか、「子どもが生まれたらそんな暇もないし今のうちに……」とちょっとした遠出や旅行を計画する妊婦さんも出てくるようです。
無理のない範囲で、お医者さんのOKが出ているならいいのでは?
『いろいろ想定して病院も調べた上で遠出した。迷惑は家の外にいる限りどこでもかける可能性あるよね』
『病院も調べて、近場で無理のない範囲で出かけた。迷惑かかるからとか言ってたら妊婦は家に引きこもらないといけなくなるよ』
『健康な人だって旅行先で倒れることはあるでしょ。安定期に国内旅行ぐらい普通じゃない?』
本人の体調やおなかの赤ちゃんにもトラブルがなく、お医者様が許可を出してくれているのであれば、「自己責任・自己判断でいいのでは?」という声もありました。しかし、いつ何時、何が起こるかが分からないのが妊娠・出産です。ママにもおなかの赤ちゃんにも負担のかかる不必要な長距離の旅行や、保険が使えない可能性のある海外旅行などは、できれば避けたほうが無難なのかもしれません。
マタ旅は誰にどんな迷惑をかけるの?ママたちが考える可能性とは
『旅行して気持ちをリフレッシュさせるのも大切なことだよ。それに妊娠中だとなぜ現地で迷惑がかかるの?』
ママたちはあくまでも体調などを自分で判断した上で、何かあっても自分で責任を取るという気持ちで「マタ旅」をしているかもしれません。ですがママスタコミュニティに寄せられたコメントによると、自己責任では片付けられない事態が発生することも考えられるそうです。いったい誰にどんな迷惑をかけるというのでしょうか?
医療機関に迷惑がかかる可能性がある
『もし出血や早産になった場合、かかりつけの病院に行けないので、カルテも情報も何もない救急病院に運ばれることになり、そこの病院に迷惑がかかる』
『母子手帳を持っていても、大体の体重とか前置胎盤の兆候があるとか、胎児に異常を指摘されているとか、そういうのは載ってないよ』
例え母子手帳を持参していても、かかりつけ医療機関が持つカルテほどの詳しい情報は記載されていないのが普通です。いざというときにママや付き添っている方が、母子手帳に記入されていないことを説明できるかどうかも分かりません。もし旅先で手術が必要になった場合、妊娠初期に行った血液検査の結果を持ち合わせていなかったら、まず感染症の検査からしなくてはならないという病院の規則もあるそう。検査結果を待ってからとなると、母体やおなかの赤ちゃんの処置が遅れてしまう可能性もあるとママたちは考えているようです。
他の妊婦さんや赤ちゃんに迷惑がかかる可能性も
『旅行中に早産で産まれてしまったら、赤ちゃんもそこで何ヵ月も入院になっちゃうかもしれないよ』
『どこも産科は混んでるし割り込みになっちゃうよね』
年々、産科が減少していく中、飛び込みで運び込まれた方がいると、その地域の妊婦さんが受けるための設備や、NICUのベッドの枠を奪ってしまうことにもなりかねません。そう考えると、医療機関にだけ迷惑がかかるのではなく、その病院に通う他の妊婦さんたちや、治療が必要な赤ちゃんにまで迷惑が及ぶ可能性もあるということです。
万が一のときに影響を受けるのはママだけじゃない
『先生がOKだしたからと言って何でもありじゃないからね。結局のところ妊婦さんの自己責任につきる』
安定期で落ち着いているから、お医者さんがOKを出したから、自己責任で無理のない範囲で……。「マタ旅」で遠出するというママたちもきっと、母体や赤ちゃんの状態を第一に考えた上で出かけていることでしょう。しかし、たとえ大丈夫だと医師に言われた人の中でもトラブルは起こり得るもの。そもそも安定期とはママの身体が安定した状態という意味ではなく、赤ちゃんが安定した血液や栄養をお母さんからもらえるという意味なのだそうです。安定期に入れば遠出しても問題ないということではありません。リスクを冒してまで「マタ旅」に出かけることが本当に必要なのかどうかを今一度考えてみてほしいと思います。
危険性のある長距離の「マタ旅」は避け、近場でできるリフレッシュを
国内・国外を問わず「マタ旅」をしたいという気持ちは分からなくはありません。万が一のことばかりを考えて身動きが取れなくなり、ストレスを抱えてしまうのもよくありませんよね。ですがやはり今はママの体とおなかの赤ちゃんのことを一番に考えて、何かあってもすぐ対処できる距離で気分転換やリフレッシュを行ってみてはいかがでしょう。意外に身近にも楽しめるスポットはきっとあると思いますよ。
文・櫻宮ヨウ 編集・井伊テレ子
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