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妊娠5・6ヶ月の「安定期」は母親の安定ではない!?産婦人科医が語る「マタ旅」の危険性とは

妊婦さんの中には、妊娠中に急に出産が始まることは稀なケースだと思っている方も多いと思いますが、実は産婦人科の先生によると妊娠中は誰にでも起こり得ることなのだそう。このような妊婦さんと医師との間にある認識のズレのようなことは他にもあるのでしょうか? 産婦人科医の重見大介先生にお話を伺いました。
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妊娠5・6ヶ月の「安定期」は「母親の安定した状態」ではない

今は旅行会社が「マタ旅」という言葉を使ったり、産後忙しくなるから妊娠中に旅行に行こうと思われたりする方もいるでしょう。妊娠初期や後期はリスクがあると自覚している方も多いですが、安定期に入れば問題ないと考えがちです。その「安定期」という言葉の認識に、完全にズレがあると感じています。本来の意味としては、胎盤が子宮の中で完成する時期の目安が安定期の始まりです。赤ちゃんにとって、安定した血液や栄養をお母さんからもらえるという意味の安定なのです。お母さんはつわりも落ち着いてくる時期ですが、安定期だから遠出しても問題ないということではないのです。

妊婦さんが旅行に行くのは「賭け」のようなもの

すでに妊娠中に何らかのトラブルがある方や、もともと何か病気を持っている方には、安定期でも旅行はいかない方がいいとお伝えしています。健康な状態の方にとっては、飛行機や新幹線の移動についてはお腹の赤ちゃんに悪影響はないとは言われています。ただ医師の立場からいうと「賭け」なのです。例えば、9割5分以上は大丈夫だとしても、一定の確率でトラブルが起きる可能性があります。大丈夫だと医師に言われた人の中でもトラブルは起こり得るということです。自分が旅行に行っておきたいという気持ちを満たすことと天秤にかけて、数パーセントのリスクを冒してまで、今出かけるのかはよく考えて欲しいと思います。

妊婦さんは「エコノミークラス症候群」になりやすい体質

新幹線や飛行機の移動は問題ないと言いましたが、長距離の移動は妊婦さんにとってはやはり負担にはなります。長距離の定義は明確には決まっていませんが、ハワイや沖縄などは長距離の移動となりますし、飛行機や新幹線で2、3時間かかるのは妊婦さんにはリスクになります。特に移動中は、血液の流れが悪くなって血管が詰まりやすくなる「エコノミークラス症候群」に気をつけて欲しいと思います。妊婦さんは産後に備えて、血を固めやすくなる体質に変化しているため、発症しやすくなっているのです。

移動中だけではなく、移動先のリスクもあります。例えば海外に行くと、蚊に刺されて感染症になったり、海でクラゲに刺されたりすることも考えられます。食中毒などもありますが、下痢や嘔吐は普通の状態ならそれほど問題なくても、妊婦さんは入院して流産になるケースもあります。

旅先では「処置の対応が遅れる」ことが問題

旅先で万一トラブルが起きるとまず病院を探して、そこが受け入れてくれるかどうかを待ちます。受け入れてくれることになっても病院にはカルテがないので妊婦さんの今までの状況も分からず、どんな処置が必要かを把握するのに時間を要してしまうのです。もし旅先で手術が必要になった場合、初期に行った血液検査の結果を持ち合わせていなかったら、病院の規則として感染症の検査からしなくてはなりません。そこで血液検査の結果が出るまで待つとなると、お腹の赤ちゃんが危なくなることもあります。
覚えていてほしいのは、偶然起きることがたまたま旅行中に起こる可能性があるということ。いつもの場所にいればすぐ病院に行き、迅速に対応できることも、たまたま旅行中に起きたことで、対応が遅れてしまうことが問題なんです。

移動中は10~15分ごとにこまめな「水分補給」を

止むをえず出かける際には、直前の妊婦健診で問題ないか必ず確認してください。また移動中は「エコノミークラス症候群」を避けるためにも、水を10~15分ごとに1〜2口とこまめに飲んだり座っている間はふくらはぎや足首を上下に動かし血流を促したりしてください。トイレに行きたくなる回数も増えますが、歩くことも血液の流れをよくするにはいいことなのですよ。

車の移動では、どんな短距離の移動でも必ずシートベルトを締めてください。お腹の上と下にベルトがくるようにかけるといいですね。無理したときのサインのひとつとして、お腹が張りやすくなります。旅行中は「もうすぐ目的地に着くから」などと言って無理をしやすいので、お腹が張ったときには無理せず休むようにしましょう。

持ち物は「母子手帳・飲み物・連絡先・保険証・検査結果」

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遠方に出かける際には、母子手帳や飲み物はもちろん、病院の連絡先やすぐに連絡を取りたい人の連絡先、保険証、検査結果のコピーも母子手帳にはさんでおくとベストです。妊娠中の移動では、医師の許可が必要な場合があるので、旅行会社や新幹線、航空会社などに事前に確認を取っておくことも大切ですよ。

妊娠中の旅行に関わることは「産婦人科オンライン」で相談

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「産婦人科オンライン」は、妊娠中と産後の方を対象とした遠隔健康医療相談サービスで、無料で利用が可能です。今後は株式会社Kids Publicで正式なサービス展開を見越していて、現在はテストサービスを運営しています。相談対応は、現役の産婦人科医もしくは助産師が行いますので、安心してご利用いただけます。

例えば、つい健診で聞き忘れてしまった旅行に関することや、最後の健診後に自覚した体調の変化についてなども、気軽に相談いただけます。また旅行先からでも、スマホとインターネット環境さえあればどこからでも利用が可能(※)です。ぜひ、ご活用ください。
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(※)対象となるのは妊娠中の方もしくは産後2年以内の方。事前に予約すれば1回10分相談することができます。

取材、文・山内ウェンディ

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