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ドラマ『コウノドリ』主人公のモデル・荻田先生が語る!「妊娠・出産」の現状とは

妊婦(腹部は詰め物ではありません)
人生において大きな転換期となる「妊娠」。自分の中にもう1つの命がある、この上ない幸せとともに、その責任感で様々な不安を抱える方もいるかもしれません。

ママスタセレクト編集部は、環境省主催の「エコチル調査シンポジウム」を訪れました。ママたちが抱える不安に対して、TBS連続ドラマ『コウノドリ』主人公コウノトリサクラのモデルであり産婦人科医の荻田和秀先生が「妊娠・出産の現状と想い」について語ってくれました。

コウノトリサクラのモデル・荻田先生が語る!「妊娠・出産の現状」とは

TBS連続ドラマ『コウノドリ』で産婦人科医とジャズピアニストという異例の経歴をもつ主人公のコウノトリサクラ。そのモデルとなったのが、大阪府りんくう総合医療センターで産婦人科医として勤める荻田和秀先生です。荻田先生は『コウノドリ』の監修医としても関わられています。

「経済的な問題」だけではない!「未受診妊婦」が存在する理由

受診回数はおよそ14回ほどある妊婦健診。たとえば大阪府の平成21年~24年の分娩数は約30万件、そのうちの861件が未受診妊婦の方でした。

未受診妊婦の場合、現在赤ちゃんが何週目かもわからない、あるいはどんなリスクを抱えているのかなどがさっぱり分かりません。荻田先生も研修医時代、双子の未受診妊婦のお産に立ち会った経験があるのだそう。若年層に多い未受診妊婦は経済的な理由だと思われがちですが、「経済的な問題」は全体の28.4%。「知識の欠如」「妊娠に対する知識の甘さ」が併せて29.7%と上回っています。

実際に『コウノドリ』ドラマ内でも、未受診の妊婦に対して以下のようなセリフが紹介されています。

『貧しいっていうのはお金の問題だけではない……。
教育が受けられない
情報が得られない
家族や仲間の縁に恵まれない
……その結果が「かけ込み出産(未受診妊婦の出産)」だ』

「お産での事故」より、「妊婦の交通事故」の確率の方が高い

日本では、20~100分娩に1回は母児の命にかかる事象が起きています(日本産婦人科学会調査)。一見多いように見える数字ですが、日本のお産の95%が医療行為なしで分娩ができているのです。日本の分部は世界でベスト5に入るほど安全な分娩ができるといわれています。

しかし日本における妊婦の交通事故の割合は6~7%、重症である場合15~40%で胎児死亡、軽傷であっても1~4%が胎児死亡に至っています。

特に妊娠中は重心が高くなるので転びやすいことがあげられます。実際に料理をしていて、つまづいたことにより全身やけどをしたケースもあります。

出産による「死」で失うもの

ドラマ『コウノドリ』でも最終話で「死戦期帝王切開」について取り上げました。「死戦期帝王切開」とは、心肺停止をした妊婦に対して、お腹の赤ちゃんを帝王切開で取り出したあとに母親の蘇生を行うことです。

ドラマでは幸い、母と子のどちらの命も助かりましたが、出産による「死」で失うものとは何でしょうか?

荻田先生は、Earl A.Grollmanの言葉を紹介してくれました。

『親の死は過去を失くし、配偶者の死は現在を失くし、子供の死は未来を失くす』

つまり親を亡くすと子どもの頃の思い出や記憶などを失うように思えます。それが過去を失くすということに繋がります。

また配偶者を亡くすと、いつも隣にいた人がいなくなることで、現在を失くすということに繋がります。例えば夫の死であれば、経済的に不安定になる。妻の死であれば、家事や子育て、そして将来などに対し、これからどんな生活が待ち受けているかと不安になります。

子どもを亡くすと、希望に満ちあふれた未来があり、期待感も強いため、未来を失くすように思える、ということです。

荻田先生が語る、「妊婦の予期せぬ出産」に遭遇したときの対応とは

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──先日、「電車内での出産」のニュースが取り上げられました。「予期せぬ出産」に対して、荻田先生はどのようにお考えでしょうか?

荻田先生:急に分娩が進むというのは、妊娠何週目であっても起こり得ることです。生活するうえで電車に乗ることが必要な方もいると思います。電車の車両に1人ほどの割合で妊婦さんが乗っているこの時代、たまたま身近に居合わせた妊婦さんになにか起きた場合、居合わせた人間がどうするべきかということを世間に対して啓発していくことが必要だと思います。

──病院以外での出産に遭遇したとき、すべきことは何でしょうか?

荻田先生:低体温が赤ちゃんにとって1番良くない状況です。1番良い方法をご紹介します。

1、まずはタオルなどで赤ちゃんの身体についている羊水を拭き取ってあげてください

2、へその緒を縛ってあげてください

3、その後はママの胸で赤ちゃんを抱いてあげて、体温で温めてあげてください

周りにいる方が救急隊の到着を待つ間にできることとして、ひとまず清潔かどうかは後回しにして、タオルやコートなどで赤ちゃんとママを温めてあげてください。基本的にママは放っておいても大丈夫なのですが、赤ちゃんが低体温にならないようしてあげてくださいね。

ママやパパだけでなく、世の中全体で「妊娠・出産」に対しての知識や関心が高まっていくことで、妊婦さんたちが安心して過ごせるようになればいいですね。

 

取材、文・編集部

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