ビッグダディ:第6回 卒業式なんて来年も再来年もあるから絶対泣かないですね
第6回目となる今回は、立ち会い出産の感想と林下さんの子育てへの考え方をお聞きしていきます。
初めての立ち会い出産では、感動で泣きましたか?
そういうのは、俺のキャラにはないですね(笑)。
出産だけじゃなくて、子育てのことで涙を流す、というのは俺にはないですね。
つい最近、子どもたちに「小学校に上がる前の記憶」というお題を出して、俺のアメブロにブログを書かせたんですよ。
その中で、次女の柔美(よしみ)が書いたブログに、読者の方からたくさん反響があったんです。
うちの家族がいかに面白く暮らしてきたかということを柔美が振り返って書いていて、「うちのきょうだいたちは父ちゃんの子どもで本当に良かったと思ってる」という内容に感動したってね。
でも、子どもたちがそう思っているのは、そんなの俺からしたら当たり前なんですよ。
そう思われる為にめちゃくちゃ努力してきたわけですから。
だから、そうやって子どもが俺に感謝してくれていても、感動したりしないですね。
俺が、子どもたちのことで感動して泣くというのが今後あるとしても、今はまだその時期ではないですね。
長女・愛美(まなみ)の中学の卒業式の時なんて、式の途中で寝てしまって、ビッグダディのディレクターに起こされてますからね。「お父さん、ここは泣くところです!」って。
もし、いつか泣く時があるとしたら、末っ子の中学の卒業式とかなんですかね。
最後の義務教育が終わる時って、節目な気がするので。
間違っても、今は絶対泣いたりしないですよ。卒業なんて来年も再来年もあるし(笑)。
そんな華奢な子育てはしていないですね。
林下さんの結婚、育児に対しての考え方は独特なイメージがあるのですが、それはどのようにして作られたのでしょうか?
俺は、11人きょうだいの10番目の6男なんです。兄貴5人、姉が4人、妹が1人。
1番上とは20歳離れているので、きょうだい全員で揃ったことなんてほとんどないんですよ。
お袋が「一度で良いから、自分が生んだ11人の子どもが全員揃ったところを見てみたい」って言ってたくらい。
子育てに関しては、うちの親父は子どもにいっさい関心のない人だったので、その反面的な影響を受けていると思いますね。
母親には最初の子どもが産まれた時に、意見を聞こうと思って連絡をしたんですよ。
そしたら、母親が
「子育てで一番大事なことは、日に三度三度何か口に入れてやることだぞ」って言ったんです。
その時は「何言ってんだ、そんなことが聞きたいんじゃない」と思ったけど、本当にその通りなんだよね。
立派な父親になろうとか、尊敬される親になろうとか、お母さん大好きって言われる親になるという考えは、すごくくだらないことなんですよ。
親として一番大事なことは、子どもにちゃんと食事を与えてあげること。
それ以上大事なことはないと思いますよ。
林下さんが思う、子育てをしていく中で心掛けるべきことはなんですか?
俺はね、親は恐れることなく自分らしく子育てをして良いと思います。
5歳、6歳くらいまでは子どもって母親に対して全幅の信頼を置いているんです。
自分の子どもの時を振り返ってもそうじゃないですか。
だから、良いお母さんになろうと無理をして、イライラしながら子育てをするなんてもったいないなと思うんです。
とにかく子どもはお母さん大好きに決まっているんだから。
だから、恐れず自分らしく子育てをしていくべきだと思うんです。
子育ての中でこれはしない方がいい、ということはありますか?
小さい時には「かわいい、かわいい。本当、産まれてくれてありがとう」ってかわいがってたのに、だんだん大きくなって自我が芽生えて、ちょっとわがままを言うようになった時に、「あなた、そんな子じゃなかったじゃない」って言ってしまう母親がいるんだよね。
小学校も5、6年になったら言うことを聞かなくなったり、「うるせーな」なんて言われるのは当たり前。それも成長の一段階なんだから。
でもその子どもの成長に対して、「どうしてそんな子になったの!?」なんて子どもを100%否定するようなことを言ったら、子どもは本当にショックを受ける。
子どもは、大人という生き物を自分よりもはるかに優れた完璧に成熟した生き物だと思ってるから、大人が発したちょっとした一言でも容易に傷つくんですよ。
その一番身近な存在の大人である親に自分を否定されるというのは、耐えられないことなんですよ。
次回は、林下さんの計5回の結婚についてのお話を伺っていきます。
お楽しみに。
取材、文・上原かほり 撮影・chiai