束の間の休息を楽しむママが、「ゴールキーパー」になった日
昨今のサッカー人気の影響で、テレビで試合を見ることも増えてきました。PKのシーンで感じる、ゴールキーパーの緊張感。右か、左か、ど真ん中か。一か八かの賭けで手をめいっぱい伸ばして飛んでいく……。
そんなゴールキーパーを見るたびに思い出す、恥ずかしい経験があります。
束の間の休息。文化的で完璧な昼下がりのハズが……
それはある夏の日、たまたまパパが家にいた日曜日の昼下がり。
子どもを預けて、私は一人で普段なかなかできない文化的な(?)活動をしようと、代官山の某大手レンタルショップに向かいました。普段は娘と一緒に本屋さんに行っても、絵本に夢中になっている子どもが誰かに連れ去られたら……と恐れ、絵本コーナーからなかなか離れられません。大人の本を見るときは、せいぜい裏の棚か近くの棚で、それもちらちら娘の姿を確認しながらになります。なのでこの日は喜び勇んで、ひとりで本をチェックしていました。その後はコーヒーを飲んで……と完璧な昼下がりが終わるはずでした。
レンタルショップの裏には駐車場があります。そちら側の出口から出たほうが帰り道が近いので、カンカン照りの真夏の駐車場を歩いていました。スーパーにも寄りたいし、と少し早歩きで。
この「少し早歩き」が悲劇を生みました。
悲劇は突然に!駐車場で「走馬灯」を見る
少し早歩きが小走りになったところで、私は「駐車場の車止め」につっかかってしまったのです!
次の瞬間、私はサッカーのゴールキーパーのように右上に向かって飛んでいました……。両手を空にむけて(笑)。よく事故にあった瞬間などに「走馬灯のように」人生が駆け巡る、とかスローモーションのように景色が見えた、という話を聞きます。
まさにそれ。円を描くように宙に舞う私。でもここは、アスファルトの駐車場。ヤバイ。そう思った瞬間!
私が落下しそうな場所に、オシャレなグラフィックデザイナー的な男性が!
私は、体ごとその男性に体当たり! 体当たりどころか落下中の重力で体重以上の重さだったと思います。
たまたま大柄な方だったので、その方まで一緒に吹っ飛ぶということはなく、咄嗟に支えていただいたのは不幸中の幸い。私は膝下10センチのあたりをザザザザ―……とアスファルトにぶつけ、軽症ですみました。
男性は、あまりにびっくりしたのか、無言で、3秒くらい時が止まったよう。
「す、すみません!」と謝る私から、逃げるように去っていきました。
怪我をした膝下は後から2センチくらい盛り上がるほどの青あざになっていました。あの時、もしあの男性がワンクッション作ってくれなかったら、もっと大けがだったかもしれません。もし大柄な男性ではなく小柄なおばあさんや小さいお子さんだったら……危なかった……。本当に申し訳ありませんでした。
そして私は、血だらけの膝をおしりふきシートでふき、立ちあがり、スーパーへと向かったのでした。
ゴールキーパーってすごい。その日からサッカーを見るたびに思います。
文・編集部