【体験談】呼んでも振り向かないわが子、まさか聞こえていなかったとは……滲出性中耳炎の発見から治療まで
娘が幼稚園の年中さんだったころの話です。自我が出てきて、反抗的な態度をとることも多かった日々の中で、親の言うことを無視することが増えてきました。
ある日、テレビを見ていた娘に話しかけたのですが、何度呼んでも振り向かないので「ちゃんと返事をしなさい!」と怒りました。娘は憮然として「聞こえなかった」と言いましたが、テレビを普通に見ていたので、まさか本当に聞こえていなかったとは思いませんでした。
鼻づまりで耳鼻科を受診、滲出性中耳炎と診断
それからしばらく経ったころに、鼻がつまって苦しそうだったので耳鼻科に連れていったところ、先生からこんな診断を言い渡されました。
「おかあさん、この子、中耳炎だよ」
「え!」
それまで「耳が痛い」とは言わなかったし、実際娘もなんの痛みも感じていないようだったので、中耳炎と言われて驚きました。「これは滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)といって、気がつかない人も多いんだよね」と先生はおっしゃいました。
そうだったんだ。「本当に聞こえづらかったのに、怒ってしまってごめんね」と娘に謝りました。
2種類の滲出性中耳炎の治療法
聞こえの検査をして、治療法について説明を受け、娘の場合は鼓膜切開か、鼓膜チューブ留置術をすすめられました。
先生の説明によると、鼓膜切開は、鼓膜に少しだけ穴をあけて、奥にたまっている膿や滲出液を抜きとる治療法。鼓膜チューブ留置術(挿入術)は、切開した鼓膜にチューブを入れ、常に空気が出入りできるようにして、自然に液体が抜けていくように様子を見るという治療法。どちらも、鼓膜に麻酔をかけて行うそうです。
たくさんのお子さんが安全に行っている、ポピュラーな治療法だということなのですが、娘は先生の説明を聞いただけで怖くなってしまい「耳にストロー入れるなんて嫌だ!」と断固拒否。
その日はひとまず、次回の治療の予約をして帰宅しました。
セカンドオピニオンで提案された治療法
受信した耳鼻科は、自宅から近くて便利な病院。しかし距離ではなく評判のいい耳鼻科にいってみよう、と調べてみました。そして2つ目の病院を受診。先生に診ていただくと、やはり滲出性中耳炎という診断でしたが、別の治療法を提案されました。
「チューブを入れる方法もあるけれど、少量の抗生剤を1~2か月飲み続けるという方法もあるよ」
旅行の話もして、それなら抗生剤を試してみて、ダメならばチューブにしようということになりました。
少量の抗生剤を飲み続けた結果、1か月程度で娘の滲出性中耳炎はよくなりました。飛行機にも乗りましたが、痛みが出ることもなく一安心。娘に怖い思いをさせることもなく、薬で治療ができたことで、セカンドオピニオンの大切さを感じました。
もし気がつかずに放っておいたら……
娘の友人は先日、耳鼻科で「何年も前に滲出性中耳炎になった跡があるね」と言われ、親子で驚いていました。気づかずに治ってしまうこともあるようです。しかし放置して、滲出液がたまったまま炎症が進むと、真珠腫性中耳炎や癒着性中耳炎など、手術が必要な中耳炎に進行する場合もあるそうです。
お子さんの聞こえが少し悪いかな? と思ったり、痛がらなくてもなんとなく耳をさわっているという予兆がみられたら、早めに耳鼻科を受診するとよいのではないかと思います。また、鼓膜切開だけではなく、いろいろな治療法がありますので、提案された治療法に納得できなかったり、心配があった場合はセカンドオピニオンを検討してみてはいかがでしょうか。
文・編集部 編集・杜咲みう