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【東京都品川区森澤恭子区長】第4回子育てが応援されていると感じることが大事。つながりを届ける政策

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子育て中に再就職の難しさや制度の使いにくさを実感したことから、政治の道を志した森澤恭子品川区長。都議から品川区長となった今、孤立しがちな子育て世帯を支える「おむつ宅配」など、現場発の施策を次々と実現しています。ママとして、区長として活躍する森澤恭子品川区長にお話を伺いました。

「おむつ宅配」は、孤立に気づくきっかけに

— 政治活動を始めて8年が経ちました。振り返ってみて、今どのように感じていらっしゃいますか?

森澤区長:大変ですが、やりがいは本当に大きいと感じています。都議のときは課題を聞いて、議会で提案するのが仕事だったんですね。これに対して区長は「執行する立場」。たとえば、都議時代から必要だと思っていた「0歳児見守りおむつ定期便」を、区長になった今、実現できています。“提案して終わり”じゃなく、実行まで責任を持てるのは区長ならではの醍醐味ですね。

— 「0歳児見守りおむつ定期便」はどんな思いで始められたのでしょうか?

森澤区長:コロナ禍の中で、出産したばかりのお母さんたちの話を聞いたとき、里帰りもできない、ご両親も近くにいない、マンションでひとりっきりという方が何人もいました。慣れない育児で大変なのに外出もできず、「相談するほどのことじゃないかも」と思って誰かに伝えることを躊躇してしまう。そうすると、ますます孤立してしまうかもしれません。

とくに0歳児の育児期間は、育児疲れや寝不足が重なる時期でもあり、最悪の場合、虐待などに発展してしまうリスクもあります。虐待で亡くなった子どものうち4割超は0歳児なんです。だからこそ、「おむつを宅配する」というきっかけを作り、行政側から各家庭につながりに行く「アウトリーチ」が必要だと思ったんです。

— アウトリーチ……まさに「つながりを届ける政策」ですね。

森澤区長:この宅配はおむつだけでなく、育児用品を一緒に届けながら、基本的には毎月同じ担当者が訪問して声をかけているんですね。赤ちゃんはもちろんのこと、お母さんやお父さんなどご家族に何か変化があれば、専門機関につなぐ仕組みも整えています。この取り組みに限らず、困っている人、潜在的なニーズを抱えている人に行政が何らかの形で主体的につながっていく、役所で待つのではなく、直接アプローチする。行政が少しでもつながろうとすれば、何らかの支援や困りごとの解決につながりますので、直接アウトリーチすることは非常に重要だと思います。

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“応援されている”と感じられることが、何よりの支えになる

— 子育てしやすい“空気感”って、本当に大切ですよね。
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森澤区長:何より大切にしているのは、「子育てが応援されている」と感じられる環境をつくることです。日本ではどうしても、子どもが少し騒いだだけで「うるさい」と言われてしまうような風潮もありますが、少子化が進む今こそ、子どもがいること自体が社会の力になるのではないかと思います。

— 品川区には、引っ越してくる家族も多いと聞いています。

森澤区長:三世代で暮らす方ももちろんいらっしゃいますが、転入世帯も増えていて、マンションで暮らす方も多いです。そのため、そういった方たちが孤立しないよう「つながり」を大切にした地域づくりを進めています。顔の見える関係性を築けるよう、支援の仕組みも充実させていますので、安心して子育てをしていただけたらと思います。

— 最後に、現在品川区に住んでいる方、そしてこれから引っ越しを検討しているママやパパたちに向けて、メッセージをお願いします。

森澤区長:今、よくいただく声のひとつに、「品川区で子育てしてよかった」「これからもここで子育てを続けたい」という言葉があります。それが本当に嬉しくて、私たちも励みになっています。

品川区では、妊娠前からのサポート、妊娠中のケア、出産後の支援、そして子どもが成長していく過程まで、一貫して子育てを応援しています。産後ケアの充実や、教育支援、地域による見守りなど、「社会全体で子どもと子育てを支える」という視点で取り組んでいます。

子育ては「自分だけでがんばるもの」ではなく、社会全体で支えていくもの。だからこそ、どうか無理をせず、肩の力を抜いて、笑顔でいられる時間を少しでも多く持ってください。それが子どもにとっても、お母さん自身にとっても、何より大切なことだと思っています。

※取材は2025年5月に行いました。

取材、文・長瀬由利子 撮影、編集・編集部

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