【コラム:田村亮&庄司智春 ラブ嫁!ラブ家族!】第7回 自分が思ったことをさらけ出して、ボロボロになりながら育てたいと思います(笑)
父親として伝えていきたいと思っていることはありますか?
亮:努力して、何かを勝ち取る喜びを教えたいとは思いますね。特に10歳の子のほうには、そう感じています。
それに気づけば、スポーツにしても勉強にしても、仕事にしても、楽しみを見つけることができると思うから。
自分で努力して勝ち取る喜びを伝えたいってすごく思っています。
庄司:僕は、他人の痛みがわかる人になって欲しいと思ってます。
「虎之助」という名前をつけたのも、「之助」っていうのは、「人のために、人を助ける」という意味があって、「虎」は、「強くて男らしい」という意味があるので、「強くて、他人のために何かできる優しい子になってほしい」という意味を込めて命名したので、そうなって欲しいなと思うし、伝えていきたいと思いますね。
家庭のなかで、父親があるべき姿、こうありたいなというのはありますか?
庄司:理想は、ビシバシと仕事をして「俺の背中だけを見ろ! 見て感じて、俺のように育て!」みたいなのね(笑)。
これは、ほんと理想の話で、実際そんなことにはならない……(笑)。
だから俺は、ダメなことも全部見せちゃってもいいって思ってるんですよ。
仕事で失敗したことも聞かれたら答えるでしょうし、悔しい思いをしたら子どもの前でも泣くでしょうし、喜怒哀楽を子どもの前で包み隠さず表現したいなと思ってます。
全部、自分が思ったことをさらけ出して、ボロボロになりながら育てたいと思います(笑)。
亮:そうやな~、「どうありたいか」と聞かれると、寡黙でかっこいい父親を想像するんやけど、庄司が言うように、それは無理やねん。
庄司:無理ですよね(笑)。
だから、全部をさらけ出して、「お父さん、こういう風に思ってるんだよね。それってダメなのかな?」とか、相談しちゃってもいいんじゃないかなって思っています。
亮:俺は、芸人としても仕切ってる側の人間じゃないから、それを子どもがテレビで観てて、俺がどういう人間か分かってると思うねん。
そうだとすると、寡黙でかっこいい父親にはなれないし、自分はそれで仕事してご飯を食べさせているから、そのプライドももちろんある。
どういう父親でありたいかというよりも、実際は、かわいがっている後輩のように「ダメなところはダメ」「こうしたらかっこいい」とか、言うべきことは言う関係でありたいっていう感じ。
間違ってることをしたら、「それは間違ってる」と教えるし、それはかっこ悪いっていうことも教えていきたいなと思う。
「俺はカッコ悪くてもいいもん」みたいなことを言ったら、俺はそういうのは好きやないからって言うな。
「かっこいいことやりたいけど、できないわ」なら良いけど、「かっこ悪くても良いわ」みたいな男にはなってほしくないし、そうじゃないということを教えられる父親になりたいと思いますね。
庄司:亮さん、すごい深いですね。
亮:10歳の息子とはそういう話もときどきするから。
今は、「お父さんはこう思ってる」ということを伝えてるだけで、父親としてどう見て欲しいというのはないですね。
同じく子育てをしているパパさんから、お2人に質問が届いているのでお答えください。
◆「今、息子が7歳ですが、中学くらいになり反抗期が来る前に何か準備をしたいと思います。お2人なら、どのような準備をされますか?」
亮:うちも突然来たからな。というか、今の状況が反抗期なのかどうかもわかってないねん。
今のがずっと続くのか、たまたま学校でなんかうまくいかないことがあってこうなってるのかが分からんからなぁ。
準備も何もなく、突然やってくるから、反抗期に対しての準備なんてないと思います(笑)。
今までの「イヤイヤ期」と同じで、その時期が来たらそれに全力で対応するしかないと思いますよ。
嫁さんとタッグ組んで、「これ、どうや?」と話し合えばいいんちゃう。
2人で意見出し合って、怒らないでおくときも必要やし。
庄司:そうですよね。
俺、小学生の頃に家族で貯めてた500円玉貯金を、盗んでた時があったんですよ。
うち、貧乏だったからお小遣いが少なくて、友達がお菓子買ってるのが羨ましくて(笑)。
貯金箱の入り口を削って500円が出てくるように広げて抜いて、友達と遊んでたんですよ。それがばれたときがあって。
俺兄ちゃんがいるんですけど、兄ちゃんが寝たあとにこっそり俺だけ夜中に起こされて、両親にいきなり貯金箱を見せられたんですよ。「これ智春か」って。
それですっごくびっくりして、「ごめんなさーーい!!!」ってなったのがすごく記憶に残っているんです。
でも、そのときに強く怒られた記憶がないんですよね。「どうしてこういうことをしたんだ?」と聞かれて、「こういうことはしちゃいけないんだよ」とすごく優しく言われたことを覚えてて、それを考えると、例えば、息子が小学生とかになって、僕と同じことをしたときに、俺は怒らずにいられるんだろうかと思っちゃうんですよね。
俺はそうなったときにどう対応するんだろうとかは、すごく考えるんですよ。
亮:お父ちゃんもお母ちゃんもいろいろ考えてたんだろうな。
庄司:そうなんですよ。
自分が親になってみて初めて分かるんですけど、「あのとき、息子が家族のお金を盗むなんて、親父たち悲しかっただろうな」って思って。
自分はちゃんと、あんな風に大人の対応ができるのかなぁとか考えるんですよね。
亮:でも、すでにこういう会話になってるってことは、何かあったときには奥さんとちゃんと話し合いながら、解決していけると思うで。
庄司:頭ごなしに怒られなかったのは、すごくありがたかったから、そういうことに直面したときはそういう対応をしてあげたいなと思いますね。
亮:ほんまに悪いことされたときって、逆に怒られへんねん。今にそうなってくるわ。
「えっ? 何があったんやろう」「俺らのせいか?」っていうのも含めていろいろ考えて、子どもと一緒に親も成長していくんやろうな。
次回もお楽しみに。
取材、文・上原かほり 撮影・chiai