<彼女は上司のオキニ>保育園からの呼び出しに「チッ、子持ちさまが!」舌打ちする上司【前編まんが】
数年前のお話です。私は小森ミナ。子どもの保育園が決まり、先日育児休業から復帰したばかりです。しかし私がいない間の人事異動で、上司である課長が私の知らないかたに変わっていました。
子どもが体調を崩すと、私は仕事を途中で切り上げてお迎えに行かなければなりません。その日もまた保育園から連絡があり、私はため息をつきます。復帰したばかりの職場で急な早退をするたび、私はとても肩身が狭い思いをしているのです。
「何? もしかしてまた早退?」新しく来た課長からは、育休明けの私は明らかに良く思われていません。「はい……」私がうなずくと、次々と辛らつな言葉を浴びせられます。
「これだから子持ち様は……」ボソッと小声でつぶやかれましたが、迷惑をかけるのは事実なので何も言い返せません。「しょうがないから林田さんに引き継ぎしといて」と指示され、私は林田さんのもとに向かいます。
林田さんは23歳、私がいない間に部署に加わった若手社員です。一見クールでそっけないタイプですが、なんでもできて仕事も早いです。課長は彼女のことを気に入っているらしく、彼女の前ではデレデレしていて態度が全く違います。
私は林田さんに仕事をお願いし、バタバタと帰る準備をして急いで保育園へ向かったのでした。そしてしばらく後、私はこんな光景を目にします。
黙々と仕事をしている林田さんに、課長が執拗に絡んでいます。容姿のことや彼氏の有無などプライベートな質問まで……。私の席から林田さんの表情は見えませんでしたが、きっと困っているはず。慌てて近くに駆け寄り、それとなく課長に伝えようとします。
「あの、課長。さすがに今のご時世、その質問はちょっと……。それってセクハラになるんじゃないですかね~?」お気に入りの林田さんとの時間をジャマされ、イラついた課長にはギロっとにらまれてしまいました。
林田さんは課長のセクハラめいた発言も気にすることなく、淡々と仕事を続けている様子です。私が課長の発言を制止した後も、普通に課長に話しかけていました。もしかしたら余計なことをしてしまったかな……。私はそう思ったのでした。そしてまた別の日も……。
課長は林田さんだけには甘いのです。同じミスをしても私だけが延々と怒られて、林田さんのことは全く怒りません。それからというもの課長が私に嫌味を言うたび、林田さんがサッと割って入って課長に話しかけるようになりました。しかも課長が不機嫌なときほど、ニコニコと笑顔で……! 林田さんはもしかして課長に好意があるのでしょうか?
文、作画・はなめがね 編集・井伊テレ子