<奨学金で結婚が……>不甲斐なさに落ち込む「借金を背負わせてしまったのは私たち」【第4話まんが】
前回からの続き。私は50代後半の田上ミサエです。15年ほど前、世界的金融危機の影響を受けて夫マコトが無職になってしまいました。当時、3人の子どもたち(長女ユミカ・長男ユウスケ・次男タイキ)はまだ小中学生。日々の生活すらもギリギリの状態で、家族で協力しあいどうにか切り抜けてきたのです。このたび長男ユウスケの結婚が決まり、お相手の藤崎マイさんのご両親との顔合わせがありました。しかし奨学金の返還が数百万円残っているという話を伝えると、一気に不穏な空気になってしまい、数日後「破談にしたい」との連絡が……。私たちは奨学金を背負わせてしまった自分たちの不甲斐なさに落ち込むことしかできませんでした。
私たちは家にやってきた長女のユミカに事情を話しました。ユミカは地元の企業に就職をして、3年前に結婚をしています。「実は顔合わせのときに『奨学金の返還が数百万残っている』と伝えたら、あちらの顔色が変わったの」「あー……そっかぁ……」ユミカは切ない表情で私の話を聞いていました。
「そりゃ……奨学金に返還義務がある以上、借金みたいなものだってことは分かっているわよ。でも私たちだって好きでユウスケに背負わせたわけじゃない……。あの当時は、日々のやりくりだけで精一杯だったし」
「もし私たちが今ユウスケの奨学金を繰り上げ返還してあげたら、今度は老後の生活が回らなくなる……。それこそユミカたちに迷惑をかけてしまうわ」夫も私と同じ思いなのか、神妙な顔つきです。藤崎さんの非情な決断に対して、やるせない思いが沸いてきます。「奨学金を貸与してもらったおかげで今のユウスケがあるの。返還義務があることも含めて、ユウスケでしょ?」
「奨学金がなかったら、ユウスケは志望大学にも進学できていなかったし、今の会社にも就職できていなかったじゃない。マイさんはそんなユウスケを好きになってくれたんじゃなかったの?」
「別に借金って言ったって、ギャンブルに使ったわけでもないし、散財したわけでもない! 将来のために使っただけなのに……」ただひたすらに頑張ってきたユウスケの姿が思い浮かび、涙がこぼれます。
「ユウスケのことを思うと……申し訳なくて……」「奨学金を借りることなく大学に進学できていたら……。ユウスケは破談にならずに済んだんだよな……」
「俺があのとき……リストラされなかったら……。もっと幸せな人生を歩ませてやれたのになぁ……。金のことで苦労させて、さらに結婚まで破談にさせて……。情けない父親だよ……」ふがいない自分を責めて落ち込む夫。するとそれまで黙って聞いていたユミカがふいに口を開きました。
ユウスケの奨学金が借金だということは、私たちも充分わかっています。もしお金が潤沢にあれば、数百万もの返還を背負わせることもなかった。けれど日々の暮らしで精一杯だった私たち家族にとっては、それがあのときの最善の選択だったのです。親としての不甲斐なさを実感させられた気がして、私たちはますます落ち込んでしまうのでした。ユミカが言うように「仕方のないこと」だなんてとても思えません。
原案・ママスタコミュニティ 脚本・渡辺多絵 作画・猫田カヨ 編集・井伊テレ子